004
少年? どう見ても僕のほうが年上なんだけど。
でも、その声には見た目からは想像できない威厳のようなものがあって、僕は思わず素直に答えそうになる。
「あ……あんたたち、いったい何なんだ」
「アーム」
少女が答える。
「アーム? 武器の窃盗団なのか」
「違う。私たちは――」
そのとき、家から少し離れたところにいた例の乗り物が父を乗せて飛び去った。土煙が舞う。
「どうやら何も知らないらしいな」
そうつぶやいた少女に、銃を収めた『眼帯』が尋ねた。
「どうするんすか、こいつ」
「子どもがいたなんて知らなかった」
「何もできないでしょうが、あとあと厄介なんで、始末しましょうか」
「待て」
「えっ、なんでですか」
「利用価値があるかもしれないだろう。父親が協力しなかった場合の」
「ああ、なるほど。そうっすね」
「……まったく」
「でも、こいつふたり乗りですけど」
『眼帯』は、かつてキッチンのテーブルだった木片の上に二本足を曲げて座っている乗り物を指差した。
「お前はこの少年と馬で来い」
「えっ、なんでですか」
「いいか、お前はMAの操縦ができない、私は馬に乗れない、とすると、私がMAにあいつを乗せるか、お前が馬にあいつを乗せるかのどちらかだ、で、私は乗せたくない、だからお前があいつを乗せて馬で行く、わかったか」
「ああ、なるほど、そうっすね」
「ほんとにわかってるのか」
「え、なにがっすか」
「……いや、もういい」
ふたりのやりとりを聞きながら僕は迷っていた。
反撃するなら今だ。
でもやっぱり一歩も動けない。おかしな動きをしたら奴は確実に僕を撃つだろう。
「そんなわけで、少年。私たちと一緒に来てもらおう」
少女はそういい放った。
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