第2話
A.D.2069 3・21
「ここは⋯⋯どこだ」
いつもと違う天井だ。そこが病院と気づいたのはそう遅くはなかった。
「俺は確か⋯⋯発掘のバイトをしていたはず」
記憶が混乱している。
「今日は何日だ、え?あれから2週間が経っているだと?つまり⋯⋯え?」
彼はあの事故からずっと寝ていたのだった。
自己紹介が遅れた、彼は佐々木政宗。
1年前に第1人類移住プロジェクトにより火星に来た1万人の中のひとりの学生だ。
「おい。ということは学校を2週間も休んだのか?でも19日から春休みだから休んだのは11日だけか―
って3日も春休みむだにしたぁぁ! 」
政宗は中学二年生である。
そして、中学2年生の春は宿題がない。
中学生にとってはまさに夢の2週間である。
「あー畜生!しくじったわ」
悔やむ姿はとても滑稽だ。しかし彼はまだ自分がどうなった状況を理解できていない。
そしてあのことにも気づいていない。
自分が超能力者になったということに⋯⋯
「まじで。5日前くらいに戻らないかなぁ」
普通ならただ後悔している人と思われるがそうはいかなかった。
グググゥゥゥン
目の前が一瞬歪んでいるように見えた
「久しぶりに起きたから、目が慣れていないのかな?」
と吐露しながら目を擦る。
さっきまでは聞こえなかった音が聞こえる⋯⋯
パラパラパラ
「え?さっきまで雨降ってたかな?ゲリラ豪雨ってやつかな?いや。でもそんな地球っぽい機能なんかあったかな」
彼はまだ気づいていない。
「あっようやく目が覚めたんだね」
白い服を着た元ヤンのようなサングラスをかけたオールバックのイカツイ医者が入ってきた
「ひぃっ!あんた本当に医者か?」
見た目のインパクトの強さに驚いた。
「いやいや。悪いね見た目がイカツイのは勘弁してくれよ。」
流された。なんかハラタツ。
「いやぁでも。随分と長く意識がなかったね」
「まぁ2週間も経ってますしね」
「え?何言ってるのまだあの事故から9日だよ」
「何言ってるんでか?だって今日は3月21日であの事故は⋯⋯」
先生の言っていることがとても不可解だった。さっきスマホを見たときは確かに⋯⋯
「ちゃんと日付を確認したかい?今日は16日だよ」
スマホをもう一度見た。
「あ、16日だ。いやでも確かにさっきは」
「ずっと寝ていたんだ日付がわからないのは無理ないよ」
と先生は哀れみの目を向けながら笑った。
違う。何かがおかしい。
突然の雨。さっきとは違う日付。
「⋯⋯⋯⋯もしかしてさっき」
“5日前くらいに戻らないかな”と言ったことを思い出す。
「え?タイムスリープしたのか?」
だがまだ自分の勘違いということもある。
確証はないんだ。
「ちょっと佐々木くん。ヘルスチェックしよか」
頭がおかしいと思われたのか?
無理もない、こんなことを考えている自分がなによりも馬鹿らしい。
「わかりました」渋々だった。
「じゃあこの体温計を⋯⋯はい。」
体温計を渡してきた。
「ありが あっ!」
指先にうまく力が入らなかった手を伸ばした。
どうやら反射神経だけは健全らしい。
「あっぶねぇー。落として壊しでもしたら弁償でしたよね?」
返事がない。先生のを見てみると。まるで人形みたい動かない。
「センセー。マネキンチャレンジやらなくていいっすよ。カメラなんてないっすから」
動かない。そういえばさっきからバカに静かだ
外を見てみるとさっき降っていた雨が止んでいる。
否。止まっているのだ。雨粒ひとつひとつが浮かんでいて、とても神秘的だ。ってそんな呑気なこと言ってるんじゃあなぁい。
「もしや、俺以外みんな止まってるの?」
体温計を取るだけのはずが時間を止めてしまった。
「まて。どーやって戻すん。」
あまりの静寂に恐怖すら感じてきた。
「よし。以来と試してみようか」
もうヤケだだった。
「時よ動け!」違う
「俺は死に戻をして!」これは違うな
「常盤台中学!」うん。もうトキしか合ってない。
「くっクソォ。思いつかない。」
もっと真面目に考えろよ。もうここは無難に
「時間よ戻れ」
静寂が消えた
「どうしたの?佐々木くん。体温測って。」
「えー。単純。もうちょい作者考えろよ。」
「どうかしたのか?」
先生は今の流れを知らない。動いている先生をみて一息ついた。
「わかってます。」
と言い脇に体温計の先を挟んだ、3秒後合図がなって
測定完了。ハイテクだなぁ
「うん。36・9か大丈夫だな。次は血圧な」
先生はヘルスチェックを続けている。
俺は、確信した。"時間を操れる"ことを。
ヘルスチェックが終わって先生が行ったあと⋯⋯
「もしかして。俺最強なんじゃない?」
このまま世界征服してやろう。
だか所詮中学生の考えること。すぐに打ち止めになった。
「はあーい。そこで止めるでーす。」
黒尽くめの男が入ってきた。
「なんだお前!」
警戒心丸出しになった。
「わたーしですか?この際そーれはカンケーないです。」
なんでこう俺の周囲の人は聞いてることに答えてくれないだ。あとその喋り方ハラタツナ
「今、あなーたはきづーきましたね。」
「な、何をだよ?」
「超能力者になーったことを」
いきなり核心を突かれた。
「は、は、なんの話か、わ、わかんないな」
動揺した。どうかバレませんように
「嘘つくーの下手ですね。まぁいいでーす。」
バレないはずがないだろう。我ながら情けない。
「あなーたをとってくったりしまーせんよ。」
「ほっ。じゃあ何しに来たんだよ」
「お礼をいいにきたーのです。」
何かいいことしたかな?いや、覚えがないというよりも覚えていない。
「あなーたが1週間以上寝てーたので。わたーしたちの研究であなーたの身体を調べ尽くーして、人類が皆超能力者になれるようになりーました。ご協力感謝しーます。」
「え?ぇぇえぇ!うっそー!」
自分が特別な人間でなくなり安全が確保されたのだが、なんか虚しいな。
「それーでは、失礼しまーす。」
と、名刺を置いて去っていった。
「近藤 夢。」
一生忘れないような名前だった。
こうして、ここの火星に住んでいる人たちは2070年以内に9割以上が超能力者となったのだった⋯⋯
しかしこの後、超能力者規定法が立案され。
火星国家は超能力者の国になった。
特別扱いされたがった政宗はこの後、地球を含めた世界中に滅茶苦茶注目されるほど特別扱いを受けることになるのだった⋯⋯
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