蜃気楼11 よしの、は彼と二人で東京にいく事にしたのです、彼は学生だし直ぐには結婚はできません、


蜃気楼11


よしの、は彼と二人で東京にいく事にしたのです、彼は学生だし直ぐには結婚はできません、

ひとまずアパートを借り、働く場所を探しましたが、何の経験もない、彼女はを雇ってくれそうなのは、

水商売くらいしかありませんでした。


そして新橋の割烹料理屋で働く事にしました、暫らくして彼女は妊娠している事に気がつき

彼に打ち明けました、彼は責任を感じたらしく、両親に、よしのと結婚すると話したのですが

猛反対をされてしまったのです。


反対を押し切って結婚すれば、当然親からの援助はなくなり、彼は大学をやめなければなりません

彼女は出来たこどもには申し訳ないけど堕胎すると彼に話すと、それは絶対ダメだと言い自分が大学

をやめて働くと、すぐに大学をやめ運送会社に就職してしまったのです。


やがて華さんを出産し、子供が生まれては仕方ないと両親も許してくれ、貧乏ながらも楽しい生活

が始まったのです。


しかし運命の1月17日がやってきたのです、彼はその日依頼主からの荷物を神戸まで運び長田に

到着しましたが、まだ朝早いので会社の近くの駐車場で仮眠をとっていたのです、


ゴゴゴーと地鳴りがし、びっくりして飛び起きると乗っていたトラックは横倒しになり、あわてて

外に飛び出しました、地面が激しく横にゆれ立っている事はできません、しばらくじっとしていると

ゆれがおさまり、周りを見渡すとあたり一面瓦礫の山であちらこちらで火事が発生しています。


比較的広い駐車場で止まっている車も少ないため、動くのは危険だと思い様子をみていると

被災者がぼろきれをまとい、顔をススだらけにして広い駐車場に集まってきたのです、

あちこちで救急車のサイレンの音が聞こえてきましたが建物が崩壊し道を塞いでいる為思うように

病院に搬送できません、


その時一人の女性がなきながら走ってきて、子供が瓦礫のしたに取り残されており助けて、助けてと

叫んでいます、彼は彼女に大丈夫だよ、大丈夫だょと場所に案内するするように促したのです。


場所に到着すると倒壊した家の中から女の子の泣き声がきこえます、彼は瓦礫をどかし小さな穴

から中にはいりました、少しずつ這いながら隙間を見つけて近づくと、小さな隙間に女の子が

うずくまって泣いています、手を引いて、自分の前の隙間へ押し込み後ろから前に這って行くよう

促し、少しずつ外に出て行きました、早くしないと余震が来ればひとたまりもなく押しつぶされ

てしまいます、


長い時間に感じましたが、少女の手を外にいる人が引いて引き上げとたんに、再びゴゴゴー

とすざましい音がして、余震が起こったのです、建物は完全に崩壊し、彼は左足を柱はさまれ

はずそうとしましたが、抜けません、このまま火災が発生すれば焼け死ぬしかありません


上の方から大丈夫ですかと声が聞こえました、大丈夫だが左足を柱に挟まれて抜けないと答えると

長田消防署のものです、今瓦礫を取り除いています、頑張ってください、チエンソウを使った

事がありますかと聞かれたので、ありますと答えると、今隙間からチエンソウを入れます

受け取ったら教えて下さい、


しばらくして紐でつるしたチエンソウが頭のところに来たので紐をはずし、受け取った事を伝えると

狭いところでの作業だから気をつけてください、紐が三本ありますから挟まれた柱の上1mくらいと、

挟まれた場所のすぐ上に巻きつけてしっかり縛ってください、上に巻きつけた紐の下20cm位をチエンソウ

で切断して下さい、


上から紐で引っ張りていますから、柱が落ちることはありませんよ、それではチエンソウの右の紐を引けば

エンジンがかかります、切断して下さい、


エンジンをかけ柱を切断した事を知らせると、それでは上で紐を引きますよ、どうですか足を抜いて

下さい、左足を力いっぱい引っ張るとスポットぬけたのです、抜けた事を知らせると、それでは

もう一本の紐を捕まってください、引っ張りあげられ外にでると、


救急隊員がどこか怪我をしていますか、とたずねるので足も挟まれただけで大丈夫ですと、答えると

あなたの助けた子供は怪我もなく無事ですよ、御協力感謝します、私しはこの班の隊長で高木と申し

ます、


救急隊員が足りないのでもうしばらく御協力願いませんか、と言うので分かりましたと答えると

それではこの防護服に着替えてください、うちの村上とペアを組んでくださいと、隊員の一人を

紹介しました。


隊長がこれから火災防止のため放水を開始する、放水開始と号令すると、消防車が一斉に瓦礫の

あちらこちらに放水した、しばらくして放水止めと命令し、それでは捜索を開始する、住民に

閉じ込められていそうな場所を聞き各ペアで捜索開始と命令した。


彼は、よしのに、携帯電話で無事である事を連絡すると、電話の向こうで良かった、良かったと

言い、早く帰ってくるよう涙声で懇願しました、今は交通網が寸断されているので帰れないが、

落ち着いたらすぐ帰るよ、連絡を絶やさないようにするからねと話し電話を切ったのです。


この時点では大災害とは分からず、この申し出を受けた為、あの3000人も亡くなった、

修羅場に立ち会う事になるとは夢にも思っていません。















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