蜃気楼12 時間が経つにつれ被害が甚大である事がわかってきました、この地域はいままで地震に見舞われた事は なく長田地区は古い建物が密集しており、ほとんどが崩壊しあちらこちらから火災が


蜃気楼12


時間が経つにつれ被害が甚大である事がわかってきました、この地域はいままで地震に見舞われた事は

なく長田地区は古い建物が密集しており、ほとんどが崩壊しあちらこちらから火災が発生している状態

でした。


放水しても、ガス管に亀裂が入りそのガスに引火し燃えあがってしまうのです、ガス会社はガスの供給を

停止しましたが、ガス管にガスが残っておりそれがなくなるまでは、どうしょうもないのです。


幸弘は村上と担当区域を端から順に声をかけていきました、倒壊した家の下からうめき声が聞こえてきた

ので大丈夫ですかと声をかけると、中から3人閉じ込められていて、一人が頭を怪我している早く助けてと

声が聞こえてきました。


今瓦礫をどけますから、頑張って下さいと声をかけ、二人で瓦礫をどかし始めました、重機を使えば簡単

にどかす事ができますが、さらに倒壊の危険があり、使うことは出来ません、手作業に頼る他ないのです。


しかしその時またもや余震がゴゴーと地鳴りがして激しく横揺れがはじまり、建物は完全に崩壊してしま

ったのです、幸弘と村上は建物のの崩壊に巻き込まれ、建物の瓦礫の下に叩きっけられました。


余震がおさまり、手足を伸ばしてみましたが、どうやら怪我はしていないようでした、村上さ~んと

呼ぶと右の奥のほうから、大丈夫ですかと彼の声が聞こえ、どうやら怪我はしていないようです、

と答えると私も大丈夫ですと答えたのです。


右側の方に小さな穴を見つけ瓦礫を慎重にどけながら這って行くと少し大きな空間にでました、どうやら

蔵みたいで、周りの柱も太く倒壊を免れたようです、そこには村上とさっきの3人がいたのです、

全員無事で良かったと村上が言い、頭を怪我した男の人を応急手当をしたのです。


蔵はスッポリ瓦礫に埋まっているらしく、出口はありません、無線で隊長に連絡し天井に穴を開けて

もらうよう要請し、しばらく待っていると、どうやら建物に引火したらしく右側から煙が充満してきた

のです、頭を低くして煙をさけて、周りを見渡すと奥の方に大きな樽が置いてあるのに気づきました。


何の樽かとたずねると、どうやらここは酒蔵らしく、酒の醸造の樽らしいのです、樽に近づき緊急用

の小型のまさかりで樽に亀裂を入れると、いきよいよく酒が流れ出しました、まだ熟成途中なので

アルコール分は少なく燃えている火を消すことが出来たのです。


どうやら天井に穴が開いたらしく、救急隊員がロープを下ろしてきたので、まず怪我人をロープに巻

きつけ引き上げてもらい、次々と天井から脱出したのです、その直後、蔵にガスが充満したのか

爆発音が聞こえ炎がふきだし、もう少し救出が遅ければバーベーキュウになっていた事を思い背筋が

ゾ~トしたのです。


怪我人を救急車に乗せると、一休みしましょうと村上が言い、差し入れの握り飯と水筒を渡し、本当に

幸弘さんの勇気には感心しますよと言うので、いや毎回こんな危険な仕事に携わっている村上さんこそ

敬服しますよと言うと、


救出した人のホットした顔を見ると救急隊員をやっていて良かったと思うんですが、全員を救出出来なく

て悔しい思いをする時はチョット辛いてすね、と助けられなかった人を思い出したのか寂しげに空を見上

げたのです。


へりの音が聞こえたので空を見ると自衛隊のへりがホーパリングしています、駐車場では着陸できない

ので医薬品、食料、水、毛布等がロープに吊り下ろされました、


少し行くと避難所に指定されている小学校があるのですが、余震の為移動は危険のため被災者はこの

駐車場で暫く様子を見る事になったのです。


救援物資の毛布、食料、水を被災者に配り終わると、隊長がまだ余震が続いているので、ここにて様子

を見ます、不自由でしょうが我慢して下さいと皆にメガホンで言いい、救急隊員は捜索を続けるよう

命令したのです。


幸弘と村上は持ち場に戻り、捜索を開始しました、暫くすると下の方から赤ん坊の泣き声が聞こえて

きたので、誰かいますかと呼びかけましたが、返事がありません。


瓦礫をどけサーチライトを照らして中をみると左奥のタンスの間に人が倒れており、赤ん坊を抱き

抱えています、ロープを使い降りていくと若いお母さんがタンスの隙間に挟まれていました、

声をかけましたが、返事はなく呼吸をしていないようです、


赤ん坊をロープに巻きつけ引き上げてもらい、お母さんに人口呼吸をこころみました、4~5分くらい

続けていると、ピクッと体が動き大きく呼吸をしたのです、もう大丈夫ですよと声をかけ、

ロープを体に巻きつけ引き上げてもらったのです。


自分もロープに引き上げてもらい、外に出るとお母さんが赤ん坊を抱きかかえ、ありがとうございました

と何遍も頭を下げました、無事でよかったと話しかけ、赤ん坊の顔を見るとニコニコ笑っているのを見て

心が安らぐ気がしたのです。


その後何人か救助し日が暮れてきたのですが、休むわけには行きません、災害が起こって24時間以内が

もっとも生存率が高くその後は急激に死亡率が高くなるので、何としても捜索を続ける必要があるのです


しかし幸弘はその後救助中に窮地に陥ることになってしまい、禁を犯した、よしの、への試練が始まる

のです、幸弘を大災害の真ん中に放り出したのも神の意思なのかも知れません。











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