蜃気楼5 幸洋は店員に此処の場所を聞こうと思いましたが、おかしいと思われそうで聞けませんでした 駅へ向かうバスの停留所を聞くと、店から右側へ10m行くと富山行きのバスがあると


蜃気楼5


幸洋は店員に此処の場所を聞こうと思いましたが、おかしいと思われそうで聞けませんでした

駅へ向かうバスの停留所を聞くと、店から右側へ10m行くと富山行きのバスがあると店員が言ったので

思わず、えっ、富山と大きな声をだしてしまったのです、店にいた客が不審そうに振り返りました


喫茶店を出て右側に歩いていくと確かに停留所があり、路線図を見ると、確かに富山行きと書いて

あります、幸洋はなんで自分が富山にいるのかわけがわからず、ただ呆然とするだけでした。


バスを待っていると、目の前に一台の車が止まり、男が二人降りてきて、警察のものですと手帳をみせ

車に乗るよううながし、車に押し込まれました。

なにをするんですかと言うと、わけは目的地についたら話しますと言うと、そのまま無言になり

何を聞いても答えてくれません。


30分位走ると、車は塀に囲まれた施設の入り口につきました、そこの入り口には陸上自衛隊富山駐屯地と

かいてあります、車が中に入ると、ヘリポートがあり軍用ジェトへりがロータを回転させています

車を降りるよううながされ、車を降りると、こんどはその軍用へりにのせられたのです。


男は2時間のフライトになります、と言いベルトを閉めるとへりは離陸しました、下をみると富山湾

が一望出来素晴らしい景観です、へりは左に旋回し機首を東に向けました、

やがて右側に富士山が見えてきてその横を東へ進むと海が見えてきました、へりは海上を暫らく

進み、左に旋回すると、町並が見え沢山の高層ビルが見えており、そのの中一つのビルの屋上

へ着陸しました。


へりから降りると、ここは東京の警視庁のビルですと言い、男につれられ、エレベータに乗り

男は16階のボタンを押した、やがてエレベータが止まり、外にでると、ここは警視庁公安部

のフロアーです、こちらにどうぞと奥の一番左の部屋につれていった。


ドアを開けると一人の男の前まで進み、このセクションの責任者で伊東警視正ですと紹介した

どうもお手数をおかけしました、こちらにどうぞと右奥の会議室へ案内され、伊東がドアを開

けるとそこには男がすわっている、


席を勧められ座ると、伊東が東都大学教授の白瀬さんですと紹介し、不思議な事に遭遇し、

さぞかし驚いていらっしゃる事でしょう、いまから一連の出来事について教授に説明してもらいます

と言い、教授はそれではと言うと話しはじめた。


実はわれわれは随分前から、貴方が行った椎葉の洞窟の存在は知っていたんですよ、滝から

入る道は、入れないように封鎖してあるので、まさか人が入るとは思っていなかったですよ


土蔵からの道は、あの入り口がわかるわけがないと、そのままにしてあったのだが

貴方があの入り口を発見した為、どうするか検討しているまに再び貴方が入ってしまった

のでびっくりしたんです。


実は今から10年前に富山のあなたが降りてきた小道で老人の死体が発見され、富山県警で色々

調べてみたが、身元がわからず、身元不明の行き倒れ者として処理をしようとしたのです。


たまたまこの捜査課の伊東さんが別件で富山県警に行っており、調べた所轄の署長が伊東さん

の先輩で、折角きたのだから一杯のもうと誘われ、飲んでるときこの話をしたのである


署長の話によれば、着ていた洋服が年のわりには若い服と靴を履いてたとの事であるが

浮浪者でどこかで盗んだのだろう、年おいてあんなところで行き倒れになるなんてかわいそう

だと話した、


伊東は未解決事件の担当なので、ヒヨットしてこちらの事件にかかわりがある

かもしれないので、遺体を明日でも見せてほしいと頼むと、いいだろうとそばにいた

署員によろしくとりはからってくれと言い、おまえは昔から何でもかんでも首を突っ込み

たがるんだなあと笑っていた。


次の日遺体を見に行くと、検死官が出迎え、わざわざすみませんと挨拶すると、署長さん

の頼みですからねえと迷惑そうな顔をしています、それでは検死の結果ですが

解剖の結果、推定年齢は90から100才で、死因は老衰です、身元のわかるものはなにも

持っていませんでしたと話した。


ただ服装が若者の着るわざと破れたジーパンとナイキのスポーツ靴を履いてるのが、

年に似合わないと言えば、不自然ですが、どこかで盗んだでしょう、

それから、靴底についていた蹉跌の葉っぱですが、この辺では見かけない葉っぱですな

と言った


主にどこに生息しているのかと聞くと、一番多いのは南九州か沖縄くらいです、北の方でも

植物園なら栽培しているかも知れません、ほかに聞きたい事はと言うので、ご面倒をおかけ

しました、結構ですと礼を言い、所轄の署長のもとへたずねて行くと、


なにか新しい事でも解ったかいと聞くので、いやヤッパリ行き倒れでしょうと答え、

これで東京に帰りますと挨拶し、最後に靴底についていた葉っぱと土を貸してくれるよ頼むと

事件の証拠品でもないのでいいよと返事し、署員にもってこらせると伊東にわたした。


伊東はなんとなく気になって、東京にかえると、科捜研に葉っぱと土の分析を依頼し、課員に

南九州、沖縄の行方不明者をコンピュータで調べるように指示した。


しばらくして科捜研から分析結果が出たと連絡があり、さっそく出向いてみると、この葉っぱは

南九州のもので、土もやはり南九州のものだという、


理由を聞くと、植物の葉っぱの葉緑素を分析すれば大体どこで生息しているかわかると言う事であり、

土は含まれている微生物の量にてほぼ特定でき、サンプルと照合したところ南九州にまちがいないと

の事である


とすれば靴底についた葉っぱと土が何で富山へあったのか、伊東は何か事件のにおいがして

ならないと思った

後は行方不明者の照合であるが、課員が調べたところ、富山で発見された90から100才の行方不明

者は該当なしであった、


念のため九州の県警に、顔写真、服装等の照会をする事にしところ、宮崎の県警から、年は違うが

服装がピッタリの行方不明者がいると回答があったのである。










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