陽炎の森76 お茶屋に行き、諸国巡方の村上真一朗だと朱印状を女将に見せ須田屋の席に案内するようにいったのです、部屋をあけると、何ですかあなた達はというので、世直し大明


陽炎の森76


お茶屋に行き、諸国巡方の村上真一朗だと朱印状を女将に見せ須田屋の席に案内するようにいったのです、部屋をあけると、何ですかあなた達はというので、世直し大明神ださそりの源蔵、

神妙にしろというと、何かのお間違いではというのでそなたの右うでにさそりの刺青があるだろうそれが証拠だと笑うと、となり部屋から5人の手下が出て来て匕首をぬき飛びかかって、

きたので3人で打ち据えわざと一人を逃がしたのです、


こやつだけは許さぬと大上段に刀を構えふりおろすと、下帯がスパッと切れたので返す刀で頭を払うとまげがぽとりと落ち、へなへなと前に倒れ気を失ったのです、伊織に尚の屋敷に行き、

尚を縛り上げあの浪人者が襲ってくるのを待ち、山根に助太刀して仇をうつて下され、仇打ちだから切り倒してもかまいませんよと行ったのです、一人逃がしたから奉行所にかけ込む、

はずだ尚殿はこの朱印状をもって城代家老に出馬を要請してくだされというと、承知と尚はお茶屋を出たのです、


皆を縛り上げ待っていると程なくして、城下を騒がす不届き者町奉行である神妙に縛につけというので、外にでると、あやしい奴というので、中にさそりの源蔵一味が捕縛してある、自由、

にお受け取りなされというと、それは須田屋だ、ものどもかかれと号令するので、刀を抜き片っぱしから足と肩を払うとあっと言う間に転がったのです、奉行の乗っている馬のたずなを引く、

と馬が前足を上げたので奉行は振り落とされたのです、


刀を抜いたので、えいっと手を叩くと刀をポトリとおとし、町奉行に狼藉を働くとはただでは済まさんぞわめいていたのです、そこに城代家老が現れ、まてそちらにいるのは諸国巡察方の、

村上真一朗殿だぞ控えろ、さそりの源蔵との係わりとは不届きしごくなり、捕縛せよと命令すると家老の部下が縄を打ったのです、今回の不始末申し訳ござらぬ町奉行ともあろう者が、

盗人と懇意にするなど前代未門のことです、さそりの源蔵一党と共に厳罰に処しまするいったのです、


私の一命に免じて、なにとぞわが本多藩に寛大な処置をお願いいたしますというので、我々は諸国の掃除をしているので御座る、今後は御家来衆の目付けを良くして下されといい、中に、

さそりの源蔵一味が捕縛してあります、また、町中の神社に盗人の仲間の女将が縛りつけてあります、お受け取りくだされというと、中から配下が引き立てきたのです、源蔵はよっぽど、

怖かったのか気が抜けた顔をしてフラフラしていたのです、


伊織は尚の屋敷に行き全てを山根にはなすと、尚がいそいで裏口から逃げようとしていたので、小頭が当身を食らわし、縛りあげたのです、伊織、本当かわしには信じられぬというので、

裏木戸をあけ暫くまっていると、あの浪人と5人の盗賊が入って来て、山根の部屋へ行きフトンの上から刀を突き刺したのですが誰もいません、計られたと庭に出ると、山根と伊織が、

立ち塞がり、清田屋と吉川先生を殺害したのはお前達だな

というと一斉に向かって来たので、山根、雑魚は任せろといい、手加減はせぬぞ地獄へ行くがいいと一人の男を右から袈裟切りにし、返す刀で次ぎの男の胸を刺すと、逃げようとする、

ので後ろから二人を突き刺し躊躇した男の前へ出たのです、助けてくれと刀を落としたがいまさら遅いと右袈裟切りに切り倒したのです、


山根は浪人の前に立ち塞がり、今日は薬は使用できぬぞというと、刀を抜き上段から切りかかって来たので右から真一文字に払うとぐわつと言って前向きに倒れたのです、

伊織にかたじけないと山根がいい、二人で返り血を落とし、尚にカツを入れると息を吹き返したのです、尚殿まんまと騙されるところでしたぞ、なぜこのような事をしたのだと聞くと、


人を手籠めにし女にしといて、すぐ役立たずになれば、女は体がほてってたまらないのよ、だから須田屋の旦那に抱かれたのよ、どこが悪いの、剣術指南といってもたかが50石、

では何の贅沢もできないわ、相手が盗人だろうと、体のほてりをほぐしてくれて、お金がある男に女は転ぶのよ、須田屋の女になっていい暮らしをしているのに、先生が余計な詮索を、

するから殺されたのよ、


そんな時あんたが現れて私の婿になって後を継ぎ、また50石の貧乏暮らしに戻るなんてこりごりだからあんたを殺して、家を潰し須田屋の女になれば、いい暮らしが出来ると思う、

つたのよと、へらへら笑ったのです、ここにいるのは山根の知っている尚ではなかったのです、役人が来て尚を引き渡し旅籠にもどると、真一朗達も戻って来ていたのです、

山根が皆におかげで仇討ちができましたと、頭を下げたのです、


女将がつかまって旅籠はてんやわんやです、どうやら源蔵の手下の女達は逃げ去ったようで、関係ない女8人が途方にくれています、まかない方は一味ではないようですので、一番、

しっかりしている、志乃という女に今日からそなたが女将だ、皆を束ねてしっかりやってくれと真一朗がいい、お上には志乃が店を買った事にしておくよというと、ありがとう御座います、

みんなで行くとこもないので途方にくれていたのです、それではお酒と肴をもってきますというと下へ降りていったのです、


今回は善人にできませんでしたねと清之進がいうと、人を殺めた者を許しては、殺された人が浮かばれませんと真一朗がいい、ほんにその通りです、しかし今回は大変でしたね、まさか、

須田屋が盗人だつたとは尚が言わなければ気がつきませんでした、お手柄ですよと褒めたのです、お役にたててよかったですと尚が答え、また腕の刺青を見つけたメイと須田屋の、

みのこなしに気ずいた小頭もお手柄ですよと清之進が褒めたのです、


酒と肴が来たので、伊織が山根に尚のことは忘れてさあ一献と酌をすると、あんなに変わっていたとびっくりしましたというと、やはりあんまり歳が離れているとその内うまくいかなく、

なるものなのですねとメイがいったので、真一朗殿とはあまり歳が離れていなくてよかったですねと伊織がいうと、ええと嬉しそうな顔をしたのです、


もし差配方家老が黒幕だとしたら、このまま放置はしておかないでしょう、今夜この旅籠を取り囲み付け火をして、出ていったところを鉄砲で撃ち取ろうなんて考えているかもしれません、

ワナを仕掛けましょう、道中箱から30個の小さな紙の袋をとりだし、これは火縄銃の火薬を和紙に詰めたものと同じですが中には小麦粉が入っています、


関が原の前までは鉄砲の打ち手が前の筒から火薬をいれ、棒でつつき固めて鉛玉をいれ発射したのですが、それでは時間がかかるので、こうやってあらかじめ作っておけば、鉄砲に

詳しくないものでも打てて、時間が短くなる工夫がされているのですというと、清の進がいつ用意したのですかと聞くので、相手が城下の幹部の場合、鉄砲をつかう事もあろうかと、

便利屋徳之助に頼んでおき飛脚で届けてくれたのです、今後も行く先々で必要あれば送ってくれる事になっていますと答えると、用意のいい事ですねと伊織が感心したのです、


小頭これと城の鉄砲蔵にあるものとすり替えて来てくだされ、火薬はしけるので20~30しか置いてないはずです、12万石の鉄砲の所持数は20丁と決められています、これで足りるはず、

ですと渡したのです、小頭が承知と受け取り部屋をでていったのです、


いきなり火をつけられてはたまりません、家老の飯岡主膳が屋敷をでたら店の前で待ち伏せしましょう、尚殿物見をおねがいします、柳生の者ども、寝ずの番になりますが宜しく、

というと、承知と部屋を出ていったのです、


それでは、酒をのみながら待ちましょう、家老の飯岡主膳をほうっておいては、我々が立ち去った後、意をくんだ部下を町奉行にし、また悪さをする事は必定です、メイが私達が立ち去る、

まで何食わぬ顔をしているのではというので、いや、我々を亡き者にし、ついでに城代家老も暗殺すれば、事は闇の中だ、せっぱつまっているので必ずくるよと笑ったのです、





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