陽炎の森75 ところで山根どの吉川殿のおめかけであった女中は何か知っていたのですかと聞くと、それがそれがしが来た時は使いに出ていたそうで帰りを待っていたのですが、人


陽炎の森75


ところで山根どの吉川殿のおめかけであった女中は何か知っていたのですかと聞くと、それがそれがしが来た時は使いに出ていたそうで帰りを待っていたのですが、人を使って、急用が、

出来たので休ませて欲しいと言づけがあったそうで、旅籠には戻らないそうです、それは危ない、何か知ってて喋るといけないと連れ去られたのかもしれないというと、清之進が伊織殿、

と尚でここの女中を借りて探してみますと部屋を出ていったのです、


すれ違いに尚が入って来て、尚に御座いますと挨拶するので、山根が公儀巡察方の村上真一朗殿です、吉川先生を闇討ちした者の探索をしていただいていますと紹介したのです、

私儀を公儀のお役人様の手を煩わして申し訳ありませんというので、なぜ本当の事を山根殿話さなかったのですかと言うと、申し訳ございませんと謝るので、貴方は吉川殿の娘ではない、

のでしょう、


吉川殿のお内儀ですねと言うと、隠してて申し訳ありません、山根様にお会いした時には吉川先生のお手がついていたのです、歳が離れすぎておりましたので娘と紹介されたのです、

私は江戸の貧乏な大工の娘で御座いました、先生が江戸で剣術の修行をなされていた時同じ長屋に住んでいたのです、先生が修行を終えられ、推挙されてこの藩に仕官なされましたが、


私は町娘なので正式に婚礼を挙げる事はできません、先生には正式にどこぞ武家の娘をお内儀にお迎えください、私はそばめのままで良いと申し上げていたのですが、それなら一生、

内儀は迎えないともうされて、そのまま先生のお世話をしていたのです、とても山根様には申し上げる事はできませんでした、藩の方々は娘だと思っているのです、


ご重役様から山根様を婿に迎えれば吉川家を継ぐことができるといわれて、ここを出て行けば行くところもありません、迷いましたが、山根様に嘘は通せません、こちらに伺って、

本当の事を言おうと思い来たのですというので、しかしここにいた女中は先生のおめかけではと聞くと、私はそう思っているのです、先生も男です、他に女子が欲しくなっても、不思議、

ではありませんと下を向いたのです、


山根がよくお話くだされた、藩の方々がそう思っていらっしゃるなら、それでいいでは有りませんか、私は尚殿が好きです、私の妻になってください、この藩に仕官せずとも良い、

のです、腕には自信があります、必ずやどこかの藩に仕官し尚殿を幸せにしますと山根がいうと、先生が亡くなって四十九日もたつていないのにこのような話をしても良いので、

しょうかというので、山根が申し訳ござりませぬ、直ぐという話ではありませぬと謝ったのです、


お二人の気持ちはわかりました、まずは先生の仇打ちが先でございます、あの浪人と須田屋、裏にいる者をあぶりだす策を考えますと真一朗がいい、お二人は屋敷に戻っていなされ、

時がくればお知らせ申す、あの浪人のやり口は分かったので大丈夫でござろう、尚殿と一緒にお帰りなされと旅籠を送り出したのです、


その頃メイは須田屋の宴席に出ていたのです、須田屋はすっかりメイが気に入ったようで、白菊流れ芸者はやめてこの城下に落ち着きなさい、美味しいものを食べ、綺麗な着物を着て、

一生遊んでくらせるようにしてあげるとメイを口説いていたのです、メイがもう少し旦那さんを知ってからですよとやんわりことわると、そうだね、いくらなんでも今日の明日とは、

いわないよ、いい返事をしておくれと手を握ったのです、


袖口にカニみたいな刺青があるので、旦那それはカニですかと聞くと、これはさそりだよというので、さそりて何ですかそれはと聞くと、遠い国にいる強い海老みたいなものさと、

笑ったのです、そこへ浪人が入って来て頭と呼ぶので、旦那でしようと須田屋がいうと、旦那、邪魔が入りましてというので、なんですかだらしない、たかが剣客一人にてこずる、

とは、大きな仕事が会津である前ですよ、


早くかたずけなさいといい、なぜあの剣客にこだわるのだとその浪人が聞くと、あの屋敷にうろうろされては困るだろう、もし尚喋れば水の泡ですよ、ひょっとして尚は旦那の、

これですかと小指を立てると、何をいっているのだ、もう昔の事だよといったのです、メイがあら旦那には尚といういい人がいるではないですかとふくれると、もう終わった女だよ、


しつこく付きまとわれていてこまっているのさと答えたのです、あれだけ歳が離れていれば、先生はもう役にたたなかったのだよ、女はあれを覚えると体がほてるのさ、口説いたら、

すぐ乗ってきたよと笑ったのです、悪い人ねとメイがつねると、最初から私の金目当てだったんだよ、剣術指南といってもたいした録はもらっていないからなあと言ったのです、


今夜寝入ったころ押し入ればいいだろう、尚には裏木戸をあけておくようにいっておくよ、二人とも消しておしまい、こんどこそ失敗しないように頼むよというと、承知と部屋を出て、

いったのです、チョットお手水をと部屋を出て縁側にいる小頭の配下に先程の話をしたのです、承知というと旅籠に戻り、この話を真一朗に話すと何だって食えぬ女だなあ、それでメイは、

大丈夫かと聞くと、3人が何かあれば飛び出して助ける事になっていますと言ったのです、


笑美姫たちが戻って来てどこにも見当たらない、在所に行ってみたがそんな女は知らないとのことであった、何かおかしい、女将にその女の事を聞くと休んでいる女中なんていません、

というので、笑美がここの女中のお梅というものが在所を教えたのだぞというと、お梅なんていませんよと女将が言ったのです、そのお梅が山根にうそを言ったのだ、そうか尚は須田屋、

の色であの浪人に襲わせる為に嘘を言ってこの旅籠に泊まらせのだ、


浪人が失敗したので屋敷につれもどし今夜寝入ったところを襲わせるつもりだと言ったのです、ここの女将もあやしいとゆうと、尚がが腕にさそりの刺青といえばさそりの源蔵といって、

急ぎ働きの大泥棒ですよ、東海道を荒らしまわり、2年前にプツリと音沙汰が無くなったと聞いています、今まで20人から人を殺めている奴ですと、江戸の配下が言っていたのを覚えて、

いますと言ったので、


これで全てわかりました、須田屋の席へ乗り込みひっとらえましょう、その後悪者を屋敷で待ち伏せします、明日は城に乗り込みますと、旅籠を出てお茶屋に向かったのです、旅籠を出て、

向かっている振りをして隠れていると、女将が慌てて出て来てどこかえ行こうとしています、前に立ちふさがり、須田屋に知らせに行くのだなと腕を捻り、縛り上げ神社の中に猿轡をし、

縛りつけたのです、なんといったって奉行がぐるだから奉行所につれて行くわけにはいかないのです、


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