陽炎の森69   祝言がお開きとなり、大勢の祝い客の盃をうけすっかり酔っ払ってしまい、部屋にもどるとそのまま倒れてしまったのです、人の気配がし目を開けると、そこには、


陽炎の森69

 

祝言がお開きとなり、大勢の祝い客の盃をうけすっかり酔っ払ってしまい、部屋にもどるとそのまま倒れてしまったのです、人の気配がし目を開けると、そこには、

白無垢姿のメイが心配そうに顔をのぞきこんでいたのです、起き上がると、大丈夫ですか旦那様といい、末永くお願いしますと三つ指ついたのです、


やさしく手をにぎり、宜しくといい抱き寄せ唇をあわせ、とわの契りを結ぶと、メイは幸せそうな顔をして朝まで寄り添っていたのです、真一朗もすぐに、深い眠り、

に落ち、誰かが呼ぶ声がしたので目を開けると、メイがお目覚めですか旦那様、昨日はずいぶんお酒を召し上がりましたよと、にこにこ笑っていたのです、


歯を磨き顔を洗うと朝餉の支度が出来ており、まずこれをと湯のみを差し出すので飲むとうめ酢である、渋い顔をし、向かい酒かと思ったらうめ酢でないのというと、

これが二日酔いには一番きくのですと笑ったのです、


朝餉が終わると、助衛門が部屋に入って来て、仮祝言も終わりましたのでこれで本当の夫婦です、メイはもう返す事はできませんよ、宜しいですねというので、

わかつています、私の行く場所にはどこでも連れていきます、しゅうと殿が寂しくても返しませんと笑ったのです、帰りぎわに助衛門に長崎で求めた老眼鏡を、

渡すとなんでごさいますかと聞くので、


老眼というとまだ老人ではないというと思って、拡大鏡ですこれをかけて見るとよく見えますといい、これで小さい字をみてくださいというと、相撲の番付表を、

持ってきて見たのです、これは凄い幕下の字まではっきり見えます、これをいただけるのですかというので、長崎で求めたものです、どうぞと言うと、ありがとう、

ございます、


年寄りにはまたとないものです、ありがたく頂戴します、そろそろお屋敷にお帰りなされ、皆さんがお待ちかねだと思いますというので、また帰ってきますと、

常陸屋を出て屋敷に向かったのです、屋敷に帰り笑美姫の部屋へ行き婚礼のお礼をいうと、離れを用意しました、今日からはメイと一緒にそこで暮らしなさいと、

言ったのです、


お礼を言って離れに行くと家財道具と真一朗の荷物が運びこまれていて、メイが朝まで一緒にいられるのですねとうれしそうな顔をしたのです、それからひと月、

メイとの生活が続き、巡察に行く日がきたのでまずは日光へいく事ににし、日光街道を北へ向かったのです、


日光に着き金剛屋という旅籠に宿をとったのです、日光は門前町です、いくらなんでも家康公が祭ってあるお膝元が掃除の必要があるわけないと思ったのですが、

笑美姫と伊織と尚、真一朗とメイで巡察に町へ出たのです、一軒の居酒屋に入り酒を頼み、おいしい肴は何か娘に聞くとイワナの塩焼というので注文したのです、


見渡すとこ上がりに3人の坊主がいて、一人は立派な袈裟をかけています、娘が酒を持っていくと酌をするように坊主がいい、私は酌婦でありませんと娘が断ると、

一人の坊主がなにを言うかと腕を引っ張ったのです、坊主が昼間から酒を飲むとは見たことがないと思い、そばに行きこれ止めなさいというと、たかが浪人風情、

が引っ込んでおれというので、


娘の手を握っている坊主の手を叩くと痛いと手を離したので、娘さんあちらへ行きなさいと遠ざけたのです、先生方と坊主がいうと、となりのこ上がりにいた、

浪人3人がおりて来て邪魔をするなと殴りかかつたので小股を蹴り上げると、うっと声を出ししやがんだのです、もう一人の浪人が刀に手をかけたので、ここでは、

迷惑だ外にでなさいというと、


3人が外に出て一斉に刀を抜いたのです、仕方ないので刀を抜くと、先程の浪人が切りかかってきたので峰で手を払うと痛てと刀を落としたので、肩を叩き、

残りの二人も足を払うとひっくり返ったのです、まだやるのか、こんどは手加減しないそというと、立ち上がり一斉に逃げ去り、坊主どももこそこそと店を、

出て行ったのです、


店の主人がありがとう御座いますというので、坊主は昼間から酒を飲むのかと聞くと、これは私の娘で佳代といいます、顕生様のめかけにと無体な事を言われて、

おりますが、断っているので時々嫌がらせに来るのでございます、顕生とはあの立派な袈裟をかけていた坊主の事かと聞くと、そうでございますというので、

役人はどうしたのだと聞くと、


お偉い坊さんなので、役人も手がだせないので御座いますと答えたのです、そうかまた来たら金剛屋という旅籠に逗留しているから直ぐに知らせてくれというと、

へい、わかりました、ありがとう御座います、さあ食べてください、これはお礼ですと湯豆腐を出したのです、


旅籠へ戻ると笑美姫達は戻って来ていて、真一朗が先程の事を報告すると、そうらしいですね、何でも日光では3番目に大きい寺の住職だそうです、家康公のお膝元、

で悪坊主がいるとは言語道断ですと笑美姫が憤慨していたのです、そこに柳生の小頭が入って来て、顕生という坊主はそうとう悪い奴らしく、寺では賭場もみずから、

開いているようです、また賭場を仕切っているのは仁蔵という十手持ちで、裏で金貸し、茶屋をやっており相当悪い奴です話したのです、


ゆう殿はと聞くと、実は今回公方様じきじきの用事があって同行できないそうで、宮本伊織様がその代わりだそうです、探索は私達が頭の代わりにやりますので、

心配しないでください、頭が同行できないのでくゃしがっていましたと話したのです、伊織がそうゆう事だったんですか、それでは私は責任重大ですねうなずいた、

のです、


それでは夕餉が終わったら掃除しましょう、私と尚は仁蔵、真一朗殿と伊織殿は博打場をメイは芸者に化けて茶屋を小頭はメイの護衛をと決めましょう、笑美姫が、

一部屋5人では窮屈なので、真一朗殿と伊織殿は別部屋をとりました、メイ、真一朗殿と別々になりますが、旅の間は我慢しなさいというと、メイが承知しましたと、

答えたのです、それから朝餉夕餉は私達の部屋でとりますとつけくわえたのです、


メイがこの髪の毛で芸者はできないですよというと、大丈夫ですよ、置屋には必ずカッラがありますと尚が言ったので、そうですね、カツラをつければいいんですね、

と納得したのです、







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