陽炎の森66   そのころ笑美とメイは常陸屋に立ちよっていたのです、助右衛門が奥から出て来て笑美姫様わざわざのお越し何事ですか、言ってくださればこちらから出向きました、


陽炎の森66

 

そのころ笑美とメイは常陸屋に立ちよっていたのです、助右衛門が奥から出て来て笑美姫様わざわざのお越し何事ですか、言ってくださればこちらから出向きました、

のにというので、江戸より立ち戻ったのでメイを連れてきたのだよと笑うと、ひとまず奥へと奥座敷に案内しお茶を差し出し、一服すると、何か大事なお話ですね、

と人を遠ざけたのです、


笑美姫が実はこのメイと真一朗殿が深い仲になってしまったのだ、そこでメイを真一朗殿の嫁に下さらぬか、勿論これは父上もご存知の事だがと話しを切りだすと、

助右衛門はいやな顔をせず、メイにお前は真一朗様と添い遂げたいのかと聞くと、はい、添遂げとうございます、ぞうぞ許してくださいと頭を下げたのです、

それで真一朗様はどうなんですかと聞くので、


勿論嫁に貰いたいといっている、本人がそなたに話すというていたが、この場合は他人を入れてすじを通すべきだと、私が来たわけだと笑美姫がはなすと、わかり、

ました、婿を取りこのお店を継いでもらうつもりでしたが、真一朗様なら依存があるはずは御座いません、実をゆうと私が真一朗様にほれたのでございます、


刀を捨ててメイの婿になってこの店を継いでくれないものかと考えていたのですが、将軍様の覚えもめでたくおなりになった、お方に刀を捨てろとは申すわけには、

まいりません、どうぞ、お持ちになってくださいとお伝えください、メイ望みが叶って良かったな、この店は吉次郎に継いでもらうと話したのです、お父様、

ありがとうとメイがいうと、めでたし、めでたしだな、


しかし今回の旅が終わってからの祝言になるぞ、来月から北の方の掃除にいかなければならないので、3月もすれば帰ってこれるだろう、それからの祝言だと笑美姫、

がいい、承知つかまつりましたと、助右衛門が承諾したのです、それでは今日は実家に泊まると良いというと、お屋敷に帰ってはいけませんかというので、一時も、

真一朗殿と離れたくないのだなと笑ったのです、


わかったお屋敷に帰り、真一朗殿へ承諾したと話し、明日二人で来ておくれ、そして一日二人で泊まっておくれと、助右衛門がいい、笑美姫様今日はどうぞ連れて、

帰ってくださいと頭を下げたのです、わかった、それでは帰るぞと常陸屋を出たのです、番頭が旦那様本当に宜しいのですかと言うと、いいのだよ、可愛い娘が、

お慕いしているお人だし、


人柄も申し分ない、メイの母さんも冥土で喜んでいる事だろう、明日はお祝いだその支度をしておくれと番頭に頼んだのです、真一朗と伊織が屋敷に戻ると、

笑美姫とメイはすてに戻っており部屋に入ると、メイが笑美姫様が待っておられますというので、部屋に行き座ると、助右衛門がこころよく承諾してくれましたよ、


明日二人で挨拶に行きなさい、そして一泊泊まって、助右衛門を慰労するのですというので、ありがとうございますとお礼を述べると、さあそれでは、伊織殿と、

立会いましょうと、道場へ向かったのです、道場に着くと、伊織殿まずは私が相手ですと木刀を渡し、二人が正眼にかまえ、じりじりと間合いをつめたのです、


二人のにらみ合いはまるで炎が燃え盛るような緊迫感です、間合いが詰まると、伊織がえ~いと踏み込み、木刀を振り下ろすとガキ~と音がして笑美姫が受け止め、

たのですが、伊織の体が笑美姫の胸に当たると、一瞬笑美姫がたじろぎその隙に素早く離れ笑美の左肩へ木刀を振り切りピタッと止めたのです、一瞬の出来事、

です、まいったと笑美姫がいい二人は木刀を納めたのです、


笑美姫はくやしそうな顔をしています、伊織の呼吸が静まるのを待って、それではこんどわ私がお相手すると木刀を持ち、正眼に構え間合いをじりじりつめ、

先程と同じように伊織が踏み込もうとした時、真一朗はくるりと回り背中を見せたのです、伊織は一瞬木刀を振り下ろすのを躊躇したがえ~いと振り卸すと、

一瞬早く真一朗は右に回り伊織の背後回りこんだのです、


伊織の木刀が空を切ると、後ろからえ~いと声がして伊織の右肩でピタリと止ると、まいったと伊織が声をかけ二人は木刀を納めたのです、笑美姫は肥前の葉隠道場、

で経験した事をつぶさに見て、同じ事をやった真一朗にビックリしたのです、


笑美姫は自分が負けた悔しさはケロッとわすれ、真一朗殿どこで葉隠流を学んだのですかと聞くので、これは一刀流の極意で御座る、葉隠流も一刀流の流れですよ、

というと、伊織殿、真一朗殿が背中を向けた時、一瞬躊躇したのはなぜですかと聞くと、踏み込もうとした時背中をみせられれば、どの剣客も躊躇しますよと答え、

たのです、


笑美姫があ~っ、後ろに回り込む為、わざと隙をみせ相手が躊躇したのを利用したのですね、あのまま躊躇せず振り下ろせば勝てたのですねと聞くので、その通り、

です、自分が立ちあっていると分からないのですが、外から見ていると良くわかるものなのです、したがって、二度とは同じ人には使えない邪剣ですよと笑った、

のです、


伊織もなるほど、剣の流儀は奥深いですまいりましたと頭を下げたのです、笑美姫が私も一瞬ひるんだとこを、伊織殿にやられてしまいました、まいりましたよ、

真一朗どのには気をつけなさい、どんな手でくるかしれませんと、言ったではないですかと笑美姫が伊織を慰めたのです、


それでは湯殿に入ってサッパリしたら私の部屋で夕餉をとりましょうといい部屋に戻ったのです、それでは湯殿に入りましょうと伊織と連れ立って行くとメイは、

来ません、真一朗以外の裸をみるのははずかしかったのです、湯殿にはいり、伊織にほら怒らなかったでしょうというと、おかげで助かりました、


まともにた打ち合っていたら負けたかもしれませんと答えたのです、湯殿をあがり部屋にもどるとメイがいたので今日は背中を流してくれなかったねと笑うと、

真一朗様以外の男の裸を見るのは恥ずかしゅう御座いますと顔を赤らめたのです、




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