陽炎の森65   伊織と笑美姫は楽しそうに歓談していたのです、真一朗殿とメイ殿はうらやましいです、笑美殿はどなたか好かれている方はいるのですかと聞くと、いますよと答え、


陽炎の森65

 

伊織と笑美姫は楽しそうに歓談していたのです、真一朗殿とメイ殿はうらやましいです、笑美殿はどなたか好かれている方はいるのですかと聞くと、いますよと答え、

たのでそうです、それは残念ですとオチョコを飲み干し、どこのご家中の方ですかと聞くと、笑って答えません、尚がクスと笑い目の前にいるではないですか、

伊織様ですよと言うと、


手前ですか、それは嬉しいというと、でも村上家には男の子がいません、このまま行けば私が婿を取り跡を継がなければなりません、お嫁に行くわけには行、

かないのですと笑美姫がはなすと、尚が大丈夫ですよ、お峰の方が懐妊なさっているので、キット男の子ですよ、そうなればお嫁にいけますというと、


伊織が、笑美殿ぜひそれがしの妻になってくだされというと、まだ伊織殿の腕前は分かりませんから、この旅でしっかり見させてもらいますよと言うと、分かりました、

必ずお見せします、何だか楽しくなってきましたと上機嫌です、尚がもしそうなったら絶対わたしも連れて行って下さいと頼むので、尚もそろそろお嫁にいく年頃、

でしょうと笑美姫がいうと、


大丈夫です我が家には男がちゃんといますし、わたしはお嫁にいかなくてもいいのです、一生姫様のそばでお世話させてくださいと頼んだのです、お嫁に行きたくは、

ないのですかと聞くと、私は忍びの出ですから奥方には向いていないのですと言ったのです、勝手にしなさい後悔してもしりませんよと笑美が笑ったのです、

時間も過ぎ、それでは明日の朝駆にてと伊織は笑美姫の部屋を辞去したのです、


翌日笑美姫と伊織の朝駆けを見送くり、一服して山名の仮邸宅へ向かったのです、家に着くと、山名が狭い所ですが奥へぞうぞと案内し、妻女と二人で、今回は公方様、

へのおとりなし、かたじけのう御座ると頭をさげるので頭をお上げくだされ、俊隆様がいいずらかったようなのでみどもから言上したまてでござるといったのです、


ここに控えおりますのは妻の絹恵で御座ると紹介すると、絹恵にございます、今回はありがとう御座いましたと頭を下げたので、村上真一朗にございます、以後お、

見知りおきをと挨拶したのです、


禁足がとけましたので駿府より呼び寄せたのでござる、挨拶まわりが済んだら江戸により、俊隆様に挨拶して駿府に戻ろうと思っています、なにも有りませんが、

今日は一献差し上げたいと思い用人殿に頼んだしだいで御座る、絹恵酒のしたくをしなさいというと、はい分かりましたと台所へ向かったのです、


真一朗殿は正座は苦手なのでしょう、さあ足をくずしてくだされというので、失礼いたすとあぐらを組んだのです、奥方がお待ちどう様と膳を抱えて来て酌をし、

それではと盃を重ねたのです、一口飲むと冷えてて美味しいので、美味しゅうござるというと、忠長様に教えていただいたのです、井戸の水で冷やしておきました、

真一朗殿が忠長様に教えたのでしょうというので、


お会いになったのですかと聞くと、いや、禁足の身ですが、文のやり取りは構わないという事なので文を送りましたところ、忠長様より返事の文を頂いたのです、

その中に真一朗殿が尋ねてきて、手巻き寿司という料理とうまい酒を馳走してくれたと書いてあり、酒は冷やしてのむと上手いと書いてありました、

さぞかし、お喜びになった事でしょう、かたじけのう御座ると話したのです、


酒の肴をつまむと、ワサビの茎のごま和えである、これは上手いというと、妻に駿府より持たせたものです、お世話になった方々にお配りもうしたら、

大変喜ばれました、帰りに少しですがお持ちかえりくだされというので、ありがとうございますと返事したのです、


酌をしていた妻女がお前様のそのような嬉しそうな顔をしたのは何年振りでしょうかと笑ったので、しかたなかろう、山名が今日は本当に楽しいのだよと言ったのです、

2時で馳走になりもうした、それでは駿府でつつがなくお暮らしくださいと、山名の家を辞去し、時間があるので町中へ向かったのです、


前から伊織が歩いてきたので、朝駆けはどうしましたと聞くと、チョットの差で負け申したと悔しそうな顔をするので、負けるが勝ちともうす、気の強い姫なので、

それで良いので御座る、旅に出る前は毎日朝駆け、暇があれば道場で男相手に竹刀をふっているのですぞ、なかなか勝つのは難しいござるというと、どうしても、

勝たなければならない理由があるのですとしょげた顔をするので、


知っているそばやがありますと、そばやに連れて行き酒と肴をたのみ、酒を注いでさ話してみなされと言うと、昨夜笑美殿にぜひ拙者の妻になってくだされと言ったら、

この旅で腕前を見てから返事するといわれたのです、もう負けてしまいました、これでは脈はないでしょうと言ので、何を言っているのですか、まだ得意な剣がある、

ではないですか、


いくら強いというても女子でござる、懐に飛び込んで胸があたればビックッとして呼吸がみだれます、乱れているうちに素早く離れ面を打てばいいので御座るというと、

そのような手を使っていいのですか、嫌われるのではというので、負けは負けです、あの気性ですからすんなり受け入れますよ、武蔵殿はどような手を使っても勝負、

には勝たなければならないという教えでごさろうと言ったのです、


そうですね、女子と思って勝負しているうちは負けですねと笑ったのです、しかし真一朗殿の策はすばらしい、これも旅のうちに学ばなくては、色々楽しみが、

増えましたと元気を取りもどしたのです、



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