陽炎の森64 杉戸を出立し2日目に古河城下に入り笑美姫の屋敷に帰ったのです、用人が出迎え長旅ご苦労様でした、殿ももうすぐ城からお帰りになるでしょう、湯殿にはいって、
陽炎の森64
杉戸を出立し2日目に古河城下に入り笑美姫の屋敷に帰ったのです、用人が出迎え長旅ご苦労様でした、殿ももうすぐ城からお帰りになるでしょう、湯殿にはいって、
くつろぎなされませと挨拶したのです、部屋にあがり旅支度を解き湯船に向かったのです、いつもの通りメイが背中を流しサッパリして部屋にもどりくつろいでいる、
と用人が部屋を訪れ、
忠長様の元家老であった山名殿が当家にお預けになっていたのですが、先ごろ赦免され、仮邸宅に住んでおられます、土井家で召抱える事になったのですが、他のもの、
を召抱えてくだされ、前の不始末はひとえに自分のいたらなさから出た事です、申し出はありがたいが、私への配慮は無用でござると、当家への仕官を断られたのです、
それを聞いた公方様が、それでは捨扶持100石をあたえ、もとの知行地で隠棲し江戸への出仕は無用でよいと、特別の計らいをされたのです、これをお受けなされ、
来週には隠居所へもどられるよしに御座います、その前に真一朗殿にお目にかかりたいと申されているのですがというので、分かりました明日尋ねてみますと返事、
すると、それでは明日うかがうと返事しておきますと部屋を出ていったのです、
メイが自分の身は捨て置き他人を庇う御仁がもう一人いましたねと笑うので、律儀なお方だなあ、これで平穏な余生をおくられれば天国の忠長様もお喜びであろう、
公方様もよき計らいをされたものだと瞑目し、まかない方へ行き、うなぎの蒲焼を伝授し夕餉に出すように頼んだのです、
夕餉の支度が出来たと呼びに来たので、義清の御座所にはいると、お膳に頼んだうなぎの蒲焼が乗っています、笑美姫に何回も出してすみませんというと、構いません、
何回食べてもおいしいですよと答えたのです、義清が入って来て、笑美、真一朗長旅ご苦労であったといい、おういい匂いがするのおこれは、なんじやというので、
うなぎの蒲焼で御座いますと答えると、
これは真一朗の工夫かと聞くので、笑美がそうですよ、父上とても美味しゅうございますというので、義清がこれはふっくらして泥臭くなくうまいのお、さあ皆も箸、
をつけよと言ったのです、笹も遠慮なく飲めといい、腰元が酌をすると一口でのみ、この酒もうまいと感心しているので、井戸水で冷やしておいたのです、いつもの酒、
ですが冷たく冷やすと美味しくなります、
うなぎは醤油と酢と酒を混ぜてタレをつくり、何回も丁寧に焼くと、ふっくらして臭みがとれるので御座います、古河は内陸地ですので海魚の新鮮なのがなくて残念、
ですと答えると、しかたあるまい、しかしうなぎも酒も工夫次第ではこんなにうまくなるのだな、皆も遠慮せずに食せいと上機嫌です、
俊隆様からの便りで真一朗に上手いものを毎日食べされられている、そちは古河にいて気の毒じゃ、そちらに帰ったら、うまいものを食わせてもらえと書いてあった、
がさぞかし喜ばれた事であろう、わしも鼻がたかいぞ、また島原の騒乱のおりの策みごとである、あれでは冥土に行った柳生但馬も驚いている事であろうと笑ったのです、
本当に真一朗殿と旅をしていると思いもかけない策を思いつき、また美味しいものが食べられて楽な旅でござりましたと笑美姫がいうので、そうか、それは兆帖だな、
ひと月休養したら北の掃除に出立してくれ、笑美楽しみであろう、それから側室の峰が身ごもったぞと言うので、皆がおめでとうごいますというと、
笑美安心するのはまだ早い、女子だったら、お前が婿をとらなければならないぞ、まだお嫁にはいけないなあと笑ったのです、大丈夫ですよ今度が女子でも励み、
なさればキット男子がうまれます、母上がみまかってから随分経ちます、正室は向かえられないのですかと笑美が聞くと、側室がいるからいいだろうと答えたのです
父上真一朗殿とメイの婚礼をお許しくださいと笑美姫がいうと、そうかいつも真一朗の世話をしているので、いつかはそうなるのではないかと思っておったぞ、
真一朗は浪人、メイは町娘差し支えなかろう、笑美おまえが段取りしてやれといい、メイ良かったのうと笑美姫がいうと、二人でありがとう御座いますと頭を下げた、
のです、しかし公方様の5000石の旗本への取立てを断ったそうだが、
わしの禄高は4000石で、わしより多い録高だぞ、事情があるのは分かっているが、この世界にのこればいいものを勿体無いというと、公方様の機嫌を損ねたのでは、
とひやひやしたのですが、俊隆様が心配いらないとおおせくださりホットしたのですと答えたのです、
腹一杯食うたぞ、笹もいい具合だわしはこれで休みゆえ、皆はゆっくりしてくれというと部屋を出ていったのです、笑美姫がそれでは私達も休みましょうといい、
明日はメイを連れて常陸屋にいきますよ、真一朗殿は話しが決まってから行くといい、明日はゆっくり休養されよと部屋を出て行ったのです、
真一朗とメイも部屋に戻りメイに寝酒の用意を頼むというと、分かりましたと部屋を出て行ったのです、用意して戻って来たので、膳を持ち伊織の部屋へいき、
飲みなおししましょうと、連れ立つて笑美姫の部屋へ出向いたのです、
部屋に入ると来ると思っていましたよ、さあと席を勧め、まかない方にいうて川海老のから揚げを酒の肴に作ってもらいました、かりかりして美味しいですよと、
勧めたのです、伊織を連れて行ったので笑美姫は上機嫌です、明日馬にて朝駆けしませんかと伊織が笑美姫にいうといいですよ、真一朗殿もどうですかと聞くので、
明日は忠長様の元家老の山名殿の仮邸宅に行く事になっています、
お二人でどうぞというと、そうですか、それでは伊織殿行きましょう、しかし私に勝てますかと笑美姫がいうと、馬術には少々自心がありますと答えるので、
ほう頼もしい、負けて悔しがらないでくざさいよというので、まあ、まあ、そんなに勝負にこだわらないで楽しく朝駆けしてくださいと真一朗が笑ったのです、
しばらくしてそれでは伊織殿ごゆっくりというと、伊織がみどももと立ち上がろうとするので、ゆっくり姫の武勇伝を、聞かせて貰ってくださいと押し留めると、
伊織殿、真一朗殿はメイと二人きりになりたいのですよと笑美姫が笑い、伊織があ、そうですね気がつきませんで失礼しました、それではゆっくり笑美殿のお相手を、
しますと腰をすえたのです、
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