陽炎の森62 ぶらりと台所に顔を出し、頭にカッオの塩辛は酒の肴にぴったりでしたよと褒めると、真一朗様に褒めていただくと励みになります、今夜の料理はお任せくだされ、
陽炎の森62
ぶらりと台所に顔を出し、頭にカッオの塩辛は酒の肴にぴったりでしたよと褒めると、真一朗様に褒めていただくと励みになります、今夜の料理はお任せくだされ、
というので、どんな料理なのと聞くと、皿に盛った握り寿司を出したのです、頭が自分で巻くのではなく、酢飯の小さい握り飯に魚をのせ箸で掴んでも落ちない、
ように小さいのりで巻いてあります、
これを一口で食べるのです、最初から色んな魚が乗っていますから、めんどくささがなく上品にたべられます、手巻き寿司もいいですが、女子はかぶりつくのは下品、
だと嫌がる人もいるんではないかと思い工夫してみたのですと言ったのです、一口食べてみて下さいと言うので箸を使わず手で持って一口で食べると、丁度いい、
加減のワサビがご飯の上に乗っています、
これはワサビではないかよく気がついたねと褒めると、江戸にワサビの茎の和え物出す居酒屋がありましてピリッと辛くて美味しかったものですから、見せの娘に、
聞きましたら、伊豆には沢山あると言うことで、すり潰すとさらに絡みがでると教えてくれたので、醤油に混ぜるといい感じなのです、どうでしょうかと聞くので、
私は好きだが嫌いな人もいるかもしれない、
ワサビを乗せずすり潰したワサビ小さな小皿にいれその人の好みでつけられるようにしたらどうだろうというと、そうですね、最初は鼻につ~んと来るのでビックリ、
するかも知れませんそうしますと頭が答えたのです、最初から魚を巻いて小さなまき寿司も小さく切ったものも入れておくといいですねというと、それも出しますと、
返事をしたのでそれでは最後に一品作りましょう、
卵を10個ほどくださいといい、殻を割り黄味だけ取り出しかきまぜ、泡が出来ないようにかき混ぜるのです、出来ましたら、鍋にいれ火にかけるのです、
火が通りましたら少しずつ巻き上げると一本の棒のようになりますから、寿司の上に乗る大きさにきり、これを乗せて小さなのりで巻くのですと出来上がったものを、
少し醤油をつけて食べてくださいと渡すと、
頭が一口で食べこれは美味しいと感心し、これもいれましょう、いままで色んな料理を伝授いただきましてありが御座いました、殿が毎日の夕餉を楽しみにされる、
よう励みますと頭を下げたので、いや頭の料理にたいする熱心さは頭が下がりますといい、台所を出て部屋にもどると、メイがまた台所へ顔を出していたのですか、
男子厨房に入らずですよと笑ったのです、
夕餉の時間だと呼びに来たので俊隆の御座所に行くと、膳の上の皿に寿司が綺麗に握ってあります、俊隆が座るなり、これも真一朗の工夫かと聞くのでいえまかない方、
の頭が工夫したのですと答えると、ここに頭を呼べというので、まかない方は殿のお目見えは許されていない、身分の低いものですと笑美がいうと、構わん、
ここに来て工夫を教えよと言ったのです、
頭が縁側にかしこまって座ると、もっと近こうへと俊隆が声をかけ、進みでるとこの料理はそなたの工夫と聞いたぞ大儀である、どう食するのか教えよというと、
そこの小鉢にワサビという辛子が入っています、鼻につ~んときますがなれるとなかなか美味しいくいただけます、寿司の上の魚に少しつけ、箸でひっくり返し、
少し醤油をつけてたべるのですと説明すると、
早速俊隆がワサビをつけひっくり返し醤油をつけ食べると、なるほど鼻につ~んと来るがなかなか上手いぞ、これなら手でまかなくてもいいし、女子どもも上品に食、
せるし、なかなかの工夫だな、後でまかない方全員に褒美をとらすご苦労であったというと、はは~つと頭を下げ部屋を下がったのです、皆も食せいと俊隆がいい、
ほんに美味しいですと笑美姫がいい、
殿に褒められ、まかない方も名誉な事ですと話すと、これも真一朗の伝授のおかげであろう、ご苦労であった、明日江戸を立ち古河に戻りゆっくりしたら、北の巡察、
頼むぞ、そうだ忘れておった、小笠原藩の宮本伊織が同行する事となった、明日出立前に当屋敷に来る事にしてある、剣の腕も相当立つと聞いておる、笑美宜しく頼む、
ぞというと、笑美が承知しましたと返事したのです、
さあ遠慮せずに食せい、真一朗はこれで最後となろうが、笑美はまた江戸に上って余を慰労してくれといい、うまい、うまいと食べたのです、酒を飲みいい気分になる、
と明日の出立には挨拶はいらぬぞ、真一朗もしお前の世界に戻り損ねたらまた帰って来い、決して他の藩に仕官してはならぬぞといい、それではこれでさらばだと部屋、
を出て行ったのです、
それでは私達も休みましょうと、笑美姫が席を立ち、真一朗も部屋に戻ったのです、部屋にもどると手回しよく寝酒の用意がしてあります、用意のいい事だねとメイ、
に言うと、まかない方が用意してくれたのです、身分低き者ゆえこちらには上がれぬので腰元に頼んだのだそうです、頭がお別れに真一朗様の顔がみたいと言って、
いたそうですというので、
それではこれから行こうと、膳を抱えメイも来るかと聞くと、勿論ですと台所へ向かったのです、台所にいくと、まかない方全員がおり、平伏するので皆さん手を上げ、
なされといい座ると、真一朗様のお陰で殿にお褒めの言葉をいただき、まかない方全員感激しておりますと全員が頭を下げるので、いや、いや、皆さんの精進のたまもの、
ですよ、
まだ時間も早い、さあお別れに一緒に飲みましょうというと、え~、真一朗様と同席するなどおこがましい事ですというので、そういわずにメイ、全員に酌をしてくれ、
と頼み、酒が行き渡るとそれでは又会う日まで皆さんの健勝にと乾杯したのです、しかしこのカツオの塩辛は酒が進みますのう、さあメイも飲みなさいと酒を注いだ、
のです、
頭が私どもなどと五分の付き合いをしていただきありがとう御座いますというので、恐縮しなくともこれが、真一朗様は普通なのですと話したのです、和んで酒を飲んで、
いると笑美姫が尚とあらわれヤッパリここでしたかと言うので、どうしたんですかと聞くと部屋にいないから、きっとここだろうと来たのですよと笑ったのです、
頭が申し訳ありませぬ、私がよんだので御座います、このような場所へお越しいただきまことにすみませぬと謝るので、いいのです、私も皆と飲みたかったのです、
言うので、尚が酌をすると、私にもその塩辛をというので頭が差し出すと、美味しい、これは酒が進みますと嬉しそうな顔をしたのです、尚もいただきなさいと勧める、
とメイが尚に酌をし、塩からをつまむと本当に美味しいと目を丸くしていたのです、
頭が皆様にそう言って頂いて嬉しい御座いますと泣くので、これこれ大の大人が泣くものではありませんと、笑美が頭に酌をするともつたいのう御座ります、まるで、
盆と正月が一緒に来たみたいでで顔をくしゃ、くしゃにして笑ったのです、
和んでのんでいるうちに時間もたったので、それでは明日がありますので休みましょう、皆さんもお元気で、これでお別れで御座ると台所をでたのです、笑美に明日、
からまた宜しくお願いしますというと、道中が楽しみです、お休みなされませと部屋へ戻っていったのです、
メイがあのまま部屋で飲んでいれば真一朗様と情けを交わしているところを見られるところでした、台所に行ってよかったですと、胸をなで卸したのです、
部屋に戻ると行灯はつけず、そのままメイを抱きかかえ、寝間へ入り二人とも燃えあがったのです、
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