陽炎の森57 ゆうが帰ってきて、昨日の夜襲で敵は動揺がたかまり、逃亡する兵が続出し本丸の付近にいた2500の兵のうち1000人程度が逃亡し、残りは本丸にいる500人と城の外に、


陽炎の森57


ゆうが帰ってきて、昨日の夜襲で敵は動揺がたかまり、逃亡する兵が続出し本丸の付近にいた2500の兵のうち1000人程度が逃亡し、残りは本丸にいる500人と城の外に、

1500人程度に減りました、今夜当たり大方の兵が逃亡し、残るは本丸に籠城している500人程度が残るものと思われますと報告したのです、


信綱がそれは兆帖で御座る、明日にも総攻撃をかけましょうといったのです、真一朗も了承し、各将をあつめ群議をひらいたのです、席上、各藩から前回と同じ業の者、

100名ずつ集め1000名が討ち入ります、さっそく討ち入る順番をクジで決めましょうと話し、各藩がクジを引くと、一番クジは細川藩になったのです、


細川公は陣に帰り当藩が一番に討ち入る事になったと100人の業の者に天草四郎の首を我が手であげよと命令したのです、宮本伊織も選ばれ、細川公が武蔵は今回は、

控えておれ、伊織に任せるのだというと、武蔵が承知しました、伊織手柄を立てるのだぞといったのです、


夜が明けると、物見が本丸の外にいた兵1500人は夕べのうちに逃亡し、本丸に籠城しているのはおよそ500人程度ですと報告したので、本丸の門に大砲を打ちかけ、

またたくまに門が壊れたので、信綱が出撃を命令すると各藩の1000名が城に突撃し激戦がはじまったのです、2時も立つと城兵は上へ上へと押し上げられ、またたく、

間に400人が討ち取られ100人にまで減少したのです、


伊織は乱戦を切り開き最上階に押し入ると島左近と天草四郎をみつけ、いざ尋常に勝負と天草四郎に打ちかかったのです、小笠原藩と鍋島藩の兵が島左近を取り囲み、

乱戦になり、天草四郎もなかなかの腕です、何回か切り結び刀と刀で鍔せりあいを重ねたが勝負はつきません、天草四郎が一つお願いが御座る、奥の納戸に私の姉が、

隠れています、どうか命を助けて下されと言ったのです、


伊織がもとより女子供に手出しはいたさぬご安心あれと答えると、かたじけのうござると礼をいい上段から切り付けてきたので、伊織は右に飛び左から胴をはらうと、

ぐわ~と叫び前のめりに倒れたのです、ごめんと鎧通しでとどめを刺し、急いで奥に駆けつけ納戸を空けると、若い女がいまにも懐剣でのどを刺そうとしているので、

刀の峰ではらうと、お願いです殺してくだされと手を合わせたのです、


伊織がそれはなりませぬ、天草四郎殿の頼みでござる、私についてこられよと手を引いて階段に向かったのです、兵達に手出しはならぬ、不服あればこの宮本伊織が、

お相手申すというと道を明けたので階段を降り信綱の陣へ向かったのです、


伊織が天草四郎を倒しながら首をとらなかったので、小笠原の家老が首を取ったのです、城方は全員討ち死にし、打っても300人程が死傷したのです、小笠原の家老、

が陣へ帰り、小笠原公に首を見せ拾い首でございます、倒したのは宮本伊織どのですと話すと、それでは細川公の陣へ行き首を返してまいれと命令したのです、


伊織は細川公へ事の次第を話し、申し訳御座いませんと頭をさげると、いや首は取らずともそちが倒したのであろう、また四郎の姉の前で首を落とすなどできよう、

もないであろう、そなたの処置みごとであると褒めたのです、そこへ小笠原の家老が四郎の首を持って、お返しつかまつりますと細川公にさしだすと、


いやこの首はそなたが取ったのだから、そなたの者だ、そなたの手柄にせよといったのです、しかたないので家老が首を持って帰り小笠原公に事情をはなすと、

そうか、細川公がそう申されたか、それでは信綱殿の元へもって行き事情をつつみ隠さずはなすのだと家老に言ったのです、


伊織は天草四郎の姉、玉の事情を話し真一朗に預けたのです、真一朗は笑美姫に旅籠に連れて帰るよう頼み、笑美姫一行は玉をつれ旅籠に向かったのです、

城が落城したので、信綱の陣で首実験が行われ、一番の手柄は小笠原藩で次ぎに島左近を討ち取った鍋島藩であると発表し、その他の藩も幹部の首を討ち取った事、

は大手柄で御座るといい、


城の傍に丁重に葬り、首塚にせよと部下に命令し、原城は鍋島藩へお預けもうす、今日は勝利の祝宴をひらきますと言い、なお後始末が終わり次第江戸へ、

引き上げますが、松倉、寺沢、両人はそれがしと一緒に江戸へいき、申し開きをするのですぞと言い渡し、それでは後ほどと各将がひきあげたのです、


真一朗は一旦旅籠に引き上げると、玉が弟を失った悲しみにくれていたのです、四郎殿はイエスに召されたのです、供養の賛美歌をうたいましょうと、

いつくしみ深き 友なるイェスは、罪科(つみとが)憂いを、取り去り給う、心の嘆きを、包まず述べて、などかは下ろさぬ、負える重荷をと4人で歌い四郎の冥福を、

祈ったのです、


玉も歌い、歌い終わると、皆さん方はバテレン信者なのですかと聞くので、いえ違いますと答えると、なぜこの賛美歌を知っているのかと聞くので、手前は蘭学者、

で御座るといい、バテレンでは自害は禁止されているでしょう、早まった事はしないでくだされと玉に言ったのです、玉がこの国でバテレンは禁止されています、

私はどうすればと言うので、仏像の裏をくりぬきそこに十字架をいれ、毎日礼拝するのです、


そうすれば見た目は仏様を拝んでいるようにみえます、また幕府もこの騒動に懲りてこの地方でのバテレン取締りは緩和します、玉殿からこの方法を信者に教えて、

隠れキリシタンになれば良いので御座るよと話したのです、


玉がわかりました、大勢のバテレン信者が救われますと頭を下げたのです、信綱の陣へ戻ると祝宴が始まっていました、信綱が真一朗殿ご苦労で御座ったというので、

この地方は今後騒動がおこらないよう天領地にしてくだされと頼むと、あいわかった上様に言上し、今後過酷な税取立て、バテレンへの弾圧はしないようにしましょう、

と言ったのです、それではみどもはこれで失礼します、


皆様今日はゆっくりしてくだされと信綱の陣を後にして旅籠に再び戻ったのです、笑美姫に今夜は精進料理にしましょうと台所へおり、女将に用意してもらった、

材料で中華料理を作り始めたのです、長崎に近いせいもあり材料は手に入れやすかったのです、


あげだし豆腐、ピーマンと牛肉の細切り炒め。精進料理なので牛肉の代わりに大豆を潰し味をつけ固めたものを炒めたのです、フカひれの姿煮、寒天をつかった、

タピオカプリン、を作ったのです、台所にあった座卓を部屋に運び入れ、ゆうの一党もいれ座卓に並べたのです、皆がものめずらしそうにしています、


さあ中華の精進料理ですと、まずピーマンと牛肉の細きり炒めを笑美姫に勧めると、一口食べて精進料理なのに鳥肉が入っていますよと言うので、それは大豆を潰し、

味をつけ固めたものです、肉ではありませんと笑うと、まるで鳥肉みたいですねと感心していたのです、さあ皆も箸をつけてください、玉殿も遠慮しないでください、

と料理を勧めたのです、


ゆうがほんに真一朗殿は色んな事が出来るのですね、これではメイ殿がお嫁にいったら大変ですよとメイの顔をまじまじと見たのです、






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