陽炎の森55 翌日各軍勢の指揮官を集め、先日の細川殿のお働き見事であったと褒め、本日の攻撃の先手は鍋島殿にお願いしたいというと、松倉、寺沢がもう一度我々に先手を、


陽炎の森55


翌日各軍勢の指揮官を集め、先日の細川殿のお働き見事であったと褒め、本日の攻撃の先手は鍋島殿にお願いしたいというと、松倉、寺沢がもう一度我々に先手を、

お願いしたい、本日は死に者狂いで働き申すというので、それはならぬ、命令を無視し抜け駆けするとは言語道断、両者は別命あるまでその場で待機しなされと、

厳しく言い渡したのです、


一気に攻め落とすと敵は死に者狂いになり多大な損失を招くので、じりじり締めあげる作戦でござる、まずは大砲にて大手門を打ち壊し、鍋島勢が大手門から攻め込、

めみ持ち場をつくり固め、絡めての小倉藩、薩摩藩の軍勢は大手門に救援に行くと見せかけ両脇に散会してくだされ、そうすれば必ず絡めてから打って出るでしょう、

そこで両脇から攻めかかり敵を分断するのです、


さすれば一隊は城へ引き上げ、分断されたもう一隊は城外へ逃げさるでしょう、追ってはなりません、現状位置まで速やかにもどるのです、こうやれば城方は除々に、

数が減ります、今回は天草四郎以下幹部の首を取った藩に恩賞を与えます、兵の首をいくら取っても恩賞にはなりませんぞと言ったのです、


それでは軍師どの詳細を話してくだされと信綱がいうので、ここに竹を縛った筒があります、これは鉄砲よけの盾で御座る、鍋島勢の先頭の兵に持たせて進軍します、

大手門を壊された敵は一斉に鉄砲を撃ちかけ進軍を阻もうとするでしょう、残念ながら鉄砲ではこの筒は貫通しません、敵は白兵戦に持ち込むしかなくなり、


一斉に打って出てきます、そこで筒の後ろに控えていた鉄砲隊が打ちかければ、慌てて引くはずです、敵を3の丸まで追いたてて次には大砲で3の丸を砲撃するのです、

というと、それでは敵の首を取れないではないかと鍋島公が言うので今回は敵兵を本丸まで締め上げ一揆に攻撃する作戦です、そこまで行けば敵の雑兵は逃げ去り、

幹部のみ残るでしょう、その時点で首はとり放題になりますと答えると、


なるほど幹部のみ討ち取る作戦で御座るな、あい分かりもうしたと返事をし、各将とも承知したのです、3門の大砲で大手門に砲撃するとほどなく大手門が壊れ、

鍋島勢がゆっくりと進軍したのです、敵は一斉に鉄砲を撃ちかけてきましたが、竹の筒の盾の為なんの効果もありません、たまらず一斉に騎馬体が突撃しましたが、

鉄砲の一斉射撃でバタ、バタと倒れたのです、


騎馬隊の後に兵が突撃してきましたが、数で上回る鍋島勢に追い立てられ、徐々に後退したのです、そのころ絡めて門の小倉、島頭軍が大手門へ行こうと移動、

すると案の定ここぞとばかり2000人の兵が突撃してきたのです、時をみて、小倉、島津の5000の兵が襲い掛かり敵を分断したのです、慌てた兵は城へ戻ろう、

としましたが半数以上がとり残されたのです、


ほうほうのていで500人程度が逃げかえれり、500人が打ちとられ、後は城外へ逃げ去り、両軍は追撃せず元の位置にもどったのです、城からこれを見ていた、

島左近は手の内をみすかされ、敵には恐ろしい軍師がいると知り積極的な攻撃は危険だと思ったのです、4時間の戦いで敵は3の丸まで退き戦線は膠着状態に陥った、

のです、


信綱の陣へ鍋島、小倉、島津の将が戦況報告に来たのです、各将のお働き見事で御座った、さっそく公方様にお知らせしましょう、これで城方はおよそ1万3000に、

減りもうした、5日もたてば半減するでありましよう、夜の警戒はそこそこで良いでござる、なるべく油断するようにみせ掛ければ城から逃亡するものが増える、

でしょう、打ってでてきたら城外へ誘いだし二度と城へ返さないようにしてくだされと頼んだのです、


真一朗殿の作戦見事で御座るというので、おそれいりますが、まだまだで御座る、これで島左近は警戒してなかなか打ってでないでしょう、もう少し策をろうせねば、

なりません、ゆう殿、城の裏側は海になっており各藩の兵はおりませんそこから脱出するように兵に教えてくだされ、城の裏手に船を3舟用意します、


対岸は細川藩の領土です、細川殿対岸の兵をこちらの陣に呼んでくだされ、そうすれば城から出る人も増えるでしょうというと、細川公が分かり申した、対岸の警備、

では手柄は立てられないので喜びますよと笑ったのです、

ゆうが城にはまだ女、子供が残っています、それらを逃げるよう説得してみます、また兵糧の倉庫からぼやを出しおびえさせましょう、といい陣を出ていったのです、

それではそれがしはこれで失礼いたします、旅籠の笑美殿に報告しますというと、この陣は安全でござるので明日は皆を連れてきても構いませんよと言うので、

されではそうしますと陣を出たのです、


旅籠に戻り戦況報告をし、明日は信綱殿の陣へ案内します、信綱殿も了承しておりますというと、メイがよかった姫様は真一朗殿が無茶をするんではないかと、

心配されているのですよというと、笑美姫がそれはメイでしょうと笑ったのです、それでは尚とメイは姫と同じ若武者の格好をするのですよというと、


メイが髪の毛は切るのですかというので、少し切ったほうがいいと答えると、悲しそうな顔をするので、そうかこの時代は女にとって髪の毛は命だからなあ、

それならメイは旅籠に残っていなさいというと、いやです、髪の毛は切りますので連れていってくださいと答えたのです、それでは私が切ってあげましょうと、

ハサミを取り出しジョキ、ジョキと切ったのです、


メイと尚が若武者の和服に着替えると、なかなか似合います、凛々しい若武者にみえますよと笑美姫が笑ったのです、それでは町に出かけましようと、連れ立って、

出かけたのです、戦場の町ですが信綱の命で警備はゆるやかで、とても戦場の町とは思えません、この町は原城から離れており普段通り人々が生活していたのです、


一軒の居酒屋に入り酒と肴を注文すると、奥のほうから武士が近づいて来たのでみると、宮本武蔵である、こちらに来てのみませんかというので、立ち上がり、

奥の部屋に行くと、細川公と小笠原公、伊織がおり、さあこちらへ案内されたのです、3人を紹介すると見事な若武者の化けっぷりですなと皆感心しています、


小笠原公が細川殿へ宮本伊織を当家へと頼んでいるのだがなかなかいい返事をくれないので御座る、真一朗殿からも口ぞえよろしくと頭をさげたのです、

酒が来たので武蔵がまずと乾杯すると、ほう土井家家中の村上殿のご息女でござるかというので、父をご存知なのですかと笑美が聞くと、村上殿が土井家の、

付家老になる前に、


みどもは部屋住みでござって、いろいろ城中のしきたりを伝授してもらったのでござる、蘭学にも詳しく、お陰で蘭学も好きになってしもうたので御座るよ、

と笑ったのです、しかし真一朗殿の策は見事で御座る、柳生但馬がかなわないと言ったのがよう分かりもうしたと感心していたのです、


ところで伊織殿は小笠原家というわけにはいきませんかと言うと、う~ん、これくらいの人物を、はいそうですかと他家にやる大名はいないだろうと言うので、

条件はなんですかと聞くと仕官後、家老に取り立てるならいい返事もしょうが、いくらなんでもいっかいの剣客を家老にとはいくまいと笑うと


小笠原公がよろしゅう御座る、即刻家老に取り立てましょうと返事したので、え~っ、まことで御座るかと聞くので、まことで御座ると小笠原公が答えたのです、

しかし他の家臣の手前があろう、そんな事をすれば家臣団と伊織の間に亀裂ができるのでは御座らぬかと細川公がいうと、小笠原公がごもっともで御座ると瞑目、

したのです、


真一朗がご懸念にはおよびません、小笠原公の祖先は、武田信玄に敗れた時、武田信玄が領土はそのまま安堵するので家来になるように説得したのですが、

断ったのです、普通は切腹なのですが、武田信玄は命は助けたのです、浪人となり祖先は剣術修行の旅にでて、念流を編み出し、その後一刀流が出来るのです、


そのような剣客の家がらですから家老が剣客でも問題ないと思いますがと助け舟をだすと、小笠原公がそうでござる、家臣も納得するでしょうと答えたのです、

細川公がそこまで言われるならしかたござらぬ、よろしくお頼みもうす、武蔵依存はないであろうなというと、もったいなき事でござる、伊織懸命に励む、

のだぞと言ったのです、


真一朗はこれで歴通りだ、ヤッパリ自分は歴史を修正する為にこの世界にきたのかもしれないと思ったのです、





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