陽炎の森53 翌日松平信綱の陣へ顔を出すと寄せての指揮官が顔をそろえており、信綱が公方様じきじきの指名により村上真一郎殿を軍師として向かえておりますと紹介したのです、


陽炎の森53


翌日松平信綱の陣へ顔を出すと寄せての指揮官が顔をそろえており、信綱が公方様じきじきの指名により村上真一郎殿を軍師として向かえておりますと紹介したのです、

軍議が始まりどう攻めるか各将の意見を聞きたいというと、松倉勝家が寄せては10万の大軍でおり一気に攻めかかるべきだと発言したのです、


これにたいして肥後熊本藩の細川光尚が敵をあなどってはいけない、ほとんどが武士であり、無理攻めすれば多大な損失を招きかけないので暫くは様子をみた方がいい、

というと、松倉勝家がなんと細川殿は臆されたのでござるかというと、なにをいうか元を正せば松倉藩の失態から始まった事ではないか、それを今日まで手をこまねいて、


騒ぎを大きくしたのはそこもとで御座ろう、そなたが攻め落とせばいいだろうと怒りをぶつけたのです、二人が立ち上がり険悪な雰囲気になるのを、

信綱が寄せて同士で仲間割れしても仕方ないで御座ろう、気を沈めなされと中に入ったのです、


村上殿どうで御座ろうと信綱が尋ねるので、敵状を知らずして総攻めするわけにはいかないでしよう、まずは敵に投降勧告をするべきでござる、さらに敵状を知る為に、

私の手の者を城内にもぐりこませています、その報告を待つ事が懸命で御座ると答えると、信綱はもつともである別命あるまで、現状位置で待機するようにと発言し、

散会したのです、


動くなと言明したにもかかわらず、罵倒された松倉勝家が家老に他の藩に手柄を取られては我が藩は改易になる、これから大手門に総攻撃をかけて一番乗りをするぞと、

いうと、家老がわが軍だけでは無理でございますと答えると、どうせ改易になるなら一か八かしかない支度をしろと言明したのです、


暫くして時の声をあげ松倉勢が大手門へ攻めかかると、もう一方の当時者である広沢勢も後に続いたのです、大手門に殺到すると城内から一斉に鉄砲が撃ちかけられ、

ひるんだところを門が開き騎馬隊が突撃し松倉勢は包囲されたのです、信綱に知らせが行くと、なに松倉、広沢が抜け駆けだと、それでとうなっているのだと聞くと、

包囲されこのままでは全滅しますと報告したのです、


近くの将兵は細川勢か先ほどの対立があるので困ったというので、真一郎がそれがしが細川殿とかけあってきますと、馬にのり細川光尚の陣へ行き面会を求めると、

光尚が出てきたので、急ぎ救援を依頼すると、あのばか者を助けるのでござるかと言うので、このままほうっておけば城方は士気が上がり容易には開城せず、

長期戦になります、ここが細川殿の力を示す絶好の機会ではないですか、


一番の手柄として公方様の覚えもめでたくなるのですがと言うと、傍に控えていた宮本武蔵が殿、村上殿の言われるとおりです、他の藩が動くまえに動くべきですと、

助言すると、あい分ったみなのもの出陣だわれに続けと馬にまたがり大手門に突撃したのです、


新たな敵が現れたので城方は包囲を解き城内に引き上げ、松倉、広沢勢はかろうじて全滅を免れたのです、しかしこの戦いで松倉勝家はあえなく討ち死にしてしまった、

のです、松平信綱の陣に細川光尚が出向くと、さつそくのお働き見事で御座る、今回一番の手柄でござる、この次第公方様に早速に知らせますぞ、必ずや感状が、

くだされますぞと褒めたのです、


先ほどの見苦しき次第にもかかわらず、それがしに救援の出馬依頼かたじけのうござるというと、なんの礼は村上殿にもうされよ、残念ながら松倉勝家どのは、

討ち死になされたが、これで松倉藩と細川藩の不和はなくなり申したと信綱が言ったのです、


細川光尚が真一郎にかたじけのう御座るというと、いや先ほどの城方との戦いぶり拝見いたしました、とくに武蔵殿と伊織殿の戦いは目覚しく城方はビックリして、

いましたよと言うと、これが終わったら二人には恩賞を取らせますといい、引き上げていったのです、


信綱が、しかしあのへそ曲がりの光尚がよく救援を引き受けたものだ、まさに村上殿は策士でござるな、それがしには説得する自身はありませんでしたと言うので、

傍に宮本武蔵どのがいて、助言してくれたからですよというと、なるほど宮本武蔵も策士でござるからなと笑ったのです、


この話を聞いていた小倉藩の小笠原忠雄がそれがしが細川殿に掛け合って宮本伊織を当家に召抱えとう御座る、信綱どの仲介をお願い申すといったのです、

そうかこの事で伊織は小倉藩に仕官するのかと真一朗は歴史の忠実さにビックリしたのです、


城に使者をたてましょうと、青木左京を呼び、10万の軍勢にかこまれては勝ち目はない、首謀者5人の切腹で他の者は一切のとがめだてしない、そうそうに降伏し、

城から退去するように申し伝えよと口上を述べ城え向かわせたのです、


青木は城に行き天草四郎に面会し口上をのべると、島左近がたとえ100万の軍勢でも降伏しない、全員城を枕に討ち死にする覚悟で御座る、そうそうに攻め立てられよ、

とけんもほろろの回答である、帰ってきて信綱へ口上を述べると、まあその内気がかわる者も出てくるだろう、ご苦労であったと青木をねぎらったのです、


城へ忍び込んでいたゆうが帰ってきて、敵の総勢は2万人でその内浪人者が1万8千人ほどで残りは百姓、バテレン信者です、兵糧、弾薬は半年分はあるものと思われ、

ますと真一朗に話したのです、信綱に長期戦になるかも知れませんというと、いやあまり長引いては幕府へ反乱を企てる大名が出てくるかもしれぬ、3月以内には、

落城させなければなりませんと答えたのです、


無理攻めはいけません、相手は関が原で死に損ねた武士達ですここを死に場所と決めているようです、窮鼠猫を噛むということわざがあるように、全員が討ち死に、

覚悟でかかってきたら、こちらにも同じくらいの死傷者がでます、何か策を考えましょうと真一朗が答えると、信綱が宜しくお願いすると頭を下げたのです、


それではと一旦旅籠に引き上げたのです、女人は戦場に連れて行けないので笑美姫一行は旅籠に留まっていたのです、帰って笑美姫に現状を報告すると尚がバテレン、

信者に聞いた話しによると城方に味方するため、ポルトガルの艦隊がルソンを出て島原に向かっておるとの事でございますといったのです、


そうかそれで島左近は強気なんだな、それでは長崎にいるオランダ、ポルトガルの戦艦から城に向かって砲撃してもらえば、救援は来ないと思って士気が落ちる、

はずである、もしどちらかの国が断れば今後の通商は片方だけにすればいいのであると話すと、簡単に両国が聞くでしょうかというので、


この時機バテレンでも宗派で対立しており特にオランダとポルトガルは仲が悪いのでどちらかが引き受けるはずである、歴史的にはオランダが引き受け、ポルトガル、

が断ったのでこの乱以降オランダのみが幕府と通商を結び貿易を長崎のみで行う事になるのです、ヤツパリ歴史どおり事はすすんでいるのです、













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