陽炎の森52 翌日に山田長政が旅籠に尋ねてきたのです、外洋に出られる交易船4隻が有明湾に停泊してあり、一隻に80人は乗せられるとの事である、


陽炎の森52


翌日に山田長政が旅籠に尋ねてきたのです、外洋に出られる交易船4隻が有明湾に停泊してあり、一隻に80人は乗せられるとの事である、

城の外で待つように依頼し、4人で原城に向かったのです、城への道は板倉藩が封鎖していましたが、諸国巡察方のお墨付きをみせると、

ご苦労様ですと通したのです、


原城の門前に行き4人で賛美歌を歌うと門が開き、一人の武士がよく来られたそなた達はバテレン信者かと聞くので、そうだ、イエス様、

の使いである、天草四郎に神の言葉を伝えにまいった案内せよというと、なにイエスの使いだと本当かと言うので、懐からかんしやく玉、

を取り出しその男の足元になげたのです、


パン、パン、パンと凄い音がしビックリして尻餅をついたのです、私が手をかざせばそなたは吹き飛ぶぞと脅かすと、わかったと天草四郎、

のところへ案内したのです、窓のない部屋なので昼間でも行灯に火が入っています、横柄に上座に立ちこれからイエス様のこ言葉を伝える、

というと、


傍にいた武士がそれがしは島左近というものです、黄泉の国よりイエス様の招きにより、天草四郎殿を助けるようよみがえった者でござる、

そなた達がイエスの本当の使いなら、石田光成様をよみがえらせてみろと言うので、よく見られよと行灯の火をけし懐からライトを取り出し、

壁に投影したのです、そこに写っている私がイエスの使いである、


周りにいた者達がどよめき真一朗に十字を切り拝んだのです、ライトを消しマッチで行灯をつけると手から火が出たと思いさらにびっくり、

しています、石田光成殿はバテレンではありません、イエスがよみがえらす事はできないのです、


島左近殿はバテレン信者なのですかというと、黙っているので、この者は島左近ではありません、皆を扇動する為に偽りを言っているのです、

天草四郎そうであろうというと、うなだれています、


島左近が神の使いなら拙者を打ち据える事は簡単なはずだと刀を抜いたのです、皆のもの手を出してはいけないと真一朗がいい、左近の前に、

立ち塞がり、神をも恐れぬ不心得者と前にでると、上段から刀を振り下ろそうとしたので、かんしやく玉を足元に投げつけると、パン、パン、

パンと凄い音がしてのけぞったので、


懐に飛び込み、刀の柄を握り足で思い切り蹴飛ばすと、そこに尻餅をついたのです、奪い取った刀を上段から振りおろし、肩先で寸止めし、

神は殺生はされないと刀を返したのです、左近は恐れ入りました、拙者はおっしゃる通り島左近では御座いません、島左近の親戚の者で、

御座います、士気をあげる為に偽りを申したのですと頭を下げたのです、


ここには仕方なくこの騒動に参加したものが数多くいます、そのものを解放せとイエス様は言っておられます、幕府に不満のある武士が、

1万5000人もいるのです、戦いはその者だけでやれば良いではないか、また寄せてにも大勢の浪人者がいます、手柄を立て仕官しようとの、

者たちです、それに比べればここに立てこもって幕府と一戦やるとは見上げた心意気です、


わかりましたかと言うと四郎が幕府がキリシタンを迫害しているのでバテレン信者はここを出ていけば殺されますというので、そんな事、

はない、幕府もこの騒動にはビックリしています、城から出ても殺される事はありません、


改宗を迫られますが、改宗した事にするのです、仏像の中をくりぬきそこに十字架をはめ込み、毎日拝めは、イエス様を拝んでいる事になり、

ます、幕府も過酷な弾圧はしなくなります、どうしてもと言う人はこの有明湾に4隻の船が停泊しています、ルソン(フイリピン)に渡れば、

自由にイエス様を信仰できます、希望があれば船にのせますよと話したのです、


四郎がわかりました、そうしましよう、皆に伝えてくださいといい、各隊の指揮官を集めて、百姓、町人を盾にとり幕府と戦うなんてのは、

武士の風上にもおけないというと、出て行きたいものは行かせて、意地のある者だけで戦おうと指揮官達が言ったので、見事な心意気です、

と褒めたのです、


真一朗に連れられて大勢の人が城から出て行き、1万6000人程が残ったのです、城の外には山田長政が出迎えルソンに行きたい人を船まで、

連れていき、他の物はそれぞれの村へ帰らせたのです、板倉藩の重役に村に帰っても弾圧はしてはいけない、これは公方様の命令である、

一人でも傷つければ必ず改易になると脅かすと、


わかりました、城から出たものには手を出しませんと約束したのです、夕方になると、鍋島藩、細川藩、立花藩等西国の大名が藩兵を連れて、

原城をとり囲みその数は10万に達したのです、真一朗達は一旦旅籠に引き上げたのです、笑美が間に合ってよかったですね、取り囲まれて、

からは藩兵がどんな狼藉をしたかもしれません、ほんに間一髪でしたと胸をなでおろしたのです、


暫くして女将が松平様がお越しですと、部屋に案内したのです、上座にすわると、村上真一朗殿ですか、みどもが今回寄せての総大将を、

おおせつかった松平信綱でござる、板倉の家老に聞いたところ、籠城していた1万数千人が城から村上殿のお計らいで出たとの事を聞き、

ましたこれで無用な血を流さずに住みます、かたじけのう御座ると頭を下げたのです、


城から出てくれて本当によかったですと答えると、公方様が真一朗殿は知恵者ゆえ、民、百姓を何らかの手で助けるだろう、そこもとは、

真一朗殿を頼りにせよと仰せにございました、しかしよく多くのものが城からでましたな、さすがで御座ると感心していたのです、


ここに控えていますのが、みどもと同じ巡察方の土井家中、国家老村上様のご息女笑美殿と腰元のメイと尚ですと紹介すると、おう笑美殿、

で御座るか女子なのに剣の達人だと公方様が言うてましたぞ、ぜひ我が陣屋に逗留してくだされというので、


諸国巡察方は町屋に逗留する事になっていますのでと辞去すると、そうであったそなた達は私の目付けでもあるわけだ、それでは明日からの、

軍儀には出てくだされと帰っていったのです、




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