陽炎の森49 武蔵がそれがしは細川藩の食客であるが、公儀巡察方の件は殿様から聞いています、公方様じきじきの役目と聞き及んでいますが、
陽炎の森49
武蔵がそれがしは細川藩の食客であるが、公儀巡察方の件は殿様から聞いています、公方様じきじきの役目と聞き及んでいますが、
所詮公儀の手のものであり、藩に落ち度があれば老中の耳に入り、それをネタに取り潰されてはたまらんので注意するようにとの事、
あったというので、
そのような事は御座いません、領民が暮らし易いように、掃除するのが仕事ですよと笑うと、真一朗殿がそう思っても老中どもは、
そう思わないでしょう、幕府の支配体制を強固にする為には手段は選びませんよ、しかしそれが国を平和に保つ唯一の方法やも、
知れませんと言ったのです、
道中の無事を祈って乾杯し居酒屋を出て旅籠に戻ったのです、そのころ笑美姫は葉隠れ流、山田玄斉という道場へ立ち寄っていた、
他流試合を所望すると道場へ案内されたのです、
門弟が木刀を渡しみどもが立ち会いますと言うと、道場主と思われる老人がまて、そなたの太刀打ちできる相手ではない、拙者が立ち、
会おうと立ち上がったのです、二人は正眼に構え間合いをじりじりとつめ、笑美が踏み込もうとした時、玄斉はくるりと背中を向けた、
のです、
笑美が木刀を振り下ろすと木刀は空を切り、玄斉の姿はどこにもありません、後ろに殺気を感じ振り返ると、肩めがけて木刀が振り、
卸され肩口でピタッと止ったのです、まいったと笑美が言うと、影を見失いましたなと笑って木刀を納めたのです、
席に座ると、土井様家中の国家老の御息女、笑美姫でござるなというので、私を知っているのですかと尋ねると、数年前に柳生十兵衛、
殿が立ち寄られたときに、女人ながら凄腕の弟子がいる事を申されていたので、そなただとすぐ分かり申したと答えたのです、
ところでただの旅では無いと見ましたが、なにか私に聞きたい事でもござるのかなと言うので、私は公儀巡察方として諸国見回りの、
途中なのです、今回の肥前の騒動を見届けるためにこの城下に宿を取っているのです、ただの一揆からバテレン信者、改易された、
西国大名の家臣が加わり大騒動になっているとの事なのですがと尋ねると、
最初は板倉藩の過酷な年貢取立てに反発する農民から始まったのでござるが、今や一揆勢は1万500千人を数え、島原の原城に立て、
こもって気勢を上げているとの事です、わが藩にも討伐の兵を出すよう公儀から命令が来るでしょう、
九州の大名にも要請があるはずです、おそらく軍勢は5万人はくだらないでしょう、早く囲みを解いてくれればいいのですが、なんでも、
天草四郎という若者がイエスから使わされた者との事で死を恐れぬ者たちですから、かなりの犠牲がでると思います、その者を一揆勢、
から隔離すれば旗印をうしない沈静化するかもしれませんと瞑目したのです、
旅籠に帰ると真一朗も帰ってきており、武蔵との経緯を笑美姫に話したのです、笑美姫が山田玄斉から聞いた現状を話し、ところで、
イエスとはどのような人なのですかと聞くので、キリスト教のことを話し始めたのです、
今から1700年前の事になりますがユダヤという国があったのです、そのころイタリヤのローマ帝国がヨーロッパを次ぎ次ぎと侵略し、
たのです、ユダヤもローマ帝国に侵略され、ローマ帝国の総督がユダヤの国を治めていたのです、この国の鍛冶職人が旅の途中、
立ち寄った町の旅館に宿をとろうとしましたが、あいにく満室になっていたのです、妻のマリアは妊娠しており野宿するわけには、
いかず、どこでもいいから泊めてくれるよう頼んだところ、馬屋の隅ならあいているという事なのでそこに泊まることにしたのです、
しかしここでマリアが産気つき一人の男の赤ちゃんを産んだのです、そこに東の国から来た金持ちが立ち寄り、伝説によると今日、
馬小屋で生まれた子供こそ世の中を平和にする神の使いであると言い、財宝を差し出したのです、
そのお陰もありすくすくと成長し立派な青年になったのです、不思議な力をもっており、病人の頭に手をかざすとたちまち病気が、
なおったということで、全国から彼のもとに人が集まったのです、かれは私は神の使いであり、皆を幸せにする為にこの世に、
生まれてきたことを語り、隣人を慈しみ愛せよと説いたのです、
しかし彼の力を恐れたローマ帝国の総督が、国を騒がした罪により死刑の判決を下し、ゴルダの丘で張り付けの刑にし殺してしまった、
のです、イエスは死ぬ前に、私は皆の罪を背負って死ぬが、直ぐに生返ると言い残して処刑されたのです、
弟子が彼の遺骸を洞窟に安置したのですが、次ぎの日見に行くとその洞窟にはイエスの遺骸はなく忽然と消えてしまったのです、
この日は復活際としてキリスト教徒の重要な儀式の日になっているのです、日本でいえばお釈迦様みたいな存在なのですと話すと、
笑美姫が織田信長公が攝津の石山本願寺を攻めたとき、一向衆の信者は死を恐れないので攻めての兵は大変だったそうです、
宗教がからむとやっかいな事になるのですね、明日は長崎にたちより、長崎奉行よりより詳細な状況を聞き、なるべく多くの人を、
助けましょうと言ったのです、
真一朗が居酒屋から酒のつまみをもつて来たので一献やりましょうと包みを広げると、タコ、イカ、アジの刺身が入っています、
メイが姫様このイカを召し上がってください、とてもおいしいですよと言うので一口食べると、甘みがありこれは美味しい、酒の、
肴にピッタリだわと言うので、
ひかり物には人間の脳を活性かするものが沢山入っているのですと答えると、それで真一朗殿は機転がきくのですねと笑ったのです、
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