陽炎の森44 徳山から下関は25里(100km)で3日の道のりです、途中の宿場では特別不穏な事もなく3日目に下関に着いたのです、下関は長州藩の支藩で長府藩6万石、毛利秀元の、


陽炎の森44


徳山から下関は25里(100km)で3日の道のりです、途中の宿場では特別不穏な事もなく3日目に下関に着いたのです、下関は長州藩の支藩で長府藩6万石、毛利秀元の、

領地である、古くから交易の盛んなところで、鎖国にかる前は朝鮮との交易の中継地でありにぎわっていたのです、


関屋という旅籠にわらじを抜ぎ、早速巡察に出かけたのです、海の向こうには宮本武蔵と佐々木小次郎が戦った巌流島があり、とても海流の流れの速い場所でも、

あります、すぐ傍に魚市場があり大勢の町人でにぎわっていたのです、


やはり、ふぐと牡蠣が名産らしく、おおくの店に沢山ならんでいたのです、店先で七輪に金網をのせ魚を焼いているので、この魚はなんだと聞くと、へいふくですよ、

ゆうので、食せるのかというと、奥の方にこ上がりがありますよ、こちらへぞうぞと案内したのです、


座敷にあがり、ヒレ酒とふく焼きを頼み、なにか珍しいものはないかと聞くと、へい鯨がありますよと言うので、この辺で鯨が取れるのかというと、土佐沖では、

たくさん取れるらしいですが、この海でも時々とれるんですよと答え、


なんでもめりけんから来た鯨が土佐沖を蝦夷に向かっていくのと、豊後水道から玄海灘を通り周防沖を蝦夷にいくらしいのです、ここの鯨は玄海灘で取れたやつで、

今日上がったやつがありますので刺身で食べられますよと言うので、注文したのです、


メイが鯨とはどんな魚ですかと聞くので、小さいもので2間(3m)から、大きいもので5間(10m)もあり、背中から潮を吹くんだよというと、え~、恐ろしいというので、

取る漁師は命がけだよ、しかし一頭とれれば1000人分の食べ物になるから安上がりになると言ったのです、


ヒレ酒とふく焼きがきたので、ヒレ酒の入った湯のみの蓋とり火をつけて、ではと一口飲み、焼きふくをつまむと、これは上手いというと、メイがおいしいですね、

ほんに、真一朗様と一緒に旅が出来てよかったです、でもこのままおいしい物ばかり食べていると、江戸に帰るころには肥えてしまいますというので、


ははははそうかもしれないねと顔をみると、そうなったらメイの事、嫌いになるのですかと、それだったら食べませんと箸をおいたのです、そんな事はないよ、魚は、

一杯食べても太らないから大丈夫だよというと、


ほんと、それではいただきますと食べ始めたのです、仲居がお待ちどう様、鯨の刺身ですと台に置いたのです、だいこんと、しょうがのすったのが添えてあります、

しょうが醤油で食べてくださいといったので、一切れ食べると、うんこれもうまいといい、メイも食べてこれは魚ではないですね、鶏肉の柔らかいものみたい、

おいしいと目をまるくしたのです、


仲居にこの鯨とふく焼きをお土産にできるか聞くと、できますというので、帰りに寄るのでと用意してくれるように頼むと、それでは寄られた時にすぐ用意しますと、

答えたのです、あんまり、休んでいると笑美姫さまに怒られるといけない、そろそろ巡察に出かけようと店をでたのです、


ひと回しして別段異常もないので、先程の店に行き、土産をもって旅籠に向かったのです、先程より後ろを誰かつけているみたいです、メイに誰かにつけられている、

後ろを振り向かないでといい、次ぎの路地を曲がったのです、


どうも武家の女みたいです、角を曲がってきて目の前に真一朗が立っているので、びっくりした顔をしています、後をつけられているようだが、何か私に御用かなと、

聞くと、申し訳ありませぬ、村上真一朗殿ではありませんかと聞くので、


ほう私を知っておられるのかと聞くと、わたしは毛利秀元様の腰元で雪ともうします、江戸詰めのおり土井様のお屋敷に何度か行きお見かけしておりますと言った、

のです、それで私に何かというと、ここではと言うので、ついてこられよと旅籠に案内したのです、


まだ笑美姫達は戻ってきていませんでした、雪が実は秀元様ご病気で明日も知れない命なのです、秀元様には2人の男の子がありまして、それぞれ奥方様は違うの、

ですというので、跡継ぎは長男と決まっているはずですがと言うと、それが長男の光行様を押す家臣と次男、光広様を押す家臣で家中が二つに割れていまして、


このままではお家騒動になり、それを理由で取り潰される事になる事を心配された、秀元様が公儀巡察方の真一朗様に相談するようにと、元気な時に言われていた、

ものですから、お待ちしていたのですといったのです、私は秀元公とはあった事もありません、なのになぜ私なのですかと聞くと、


土井利隆様からかねがね困った事があれば、いい知恵をだす、村上真一朗に相談なされよ、なんと言っても、柳生但馬もかなわぬ策を考える、不思議な者だというて、

おられたそうですと答えたのです、


まつたく利隆様のかいかぶりで御座るよ、困りましたなというと、何とかいいお知恵を拝借願えないでしょうかと懇願したのです、知恵がでるかどうかは分かり、

ませんが話しだけは伺いますというと、ありがとう御座りますと畳に頭をつけるので、さあ頭を上げてそれがしの質問に答えてくだされといったのです、



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