陽炎の森42 広島から徳山までは20里あり3日の道のりです、途中の宿場は平穏無事で3日で徳山城下に到着したのです、徳山藩は萩の毛利本家の支藩で、毛利就隆3万石の城下町、


陽炎の森42


広島から徳山までは20里あり3日の道のりです、途中の宿場は平穏無事で3日で徳山城下に到着したのです、徳山藩は萩の毛利本家の支藩で、毛利就隆3万石の城下町、

で、明治時代の日露戦争の日本陸軍総参謀長、児玉源太郎が生まれた場所でもあるが、これはもっと後の事である。


城下の旅籠にわらじを脱いだのです、長州藩本家の城下町は日本海に面した萩にある、これは関が原で敵対した長州藩を100万石の大名から30万石に減封し、城下を、

山陽道に作る事を幕府が禁止した為である、


このため長州藩の武士は石高の少ない下級武士がほとんどで、この恨みが後の幕末に幕府に反抗する事になり、明治維新の立役者となったのである、いつもの通り、

二手に分かれて巡察に出かけたのです、


歩いていると、敵討ちだ、敵討ちだと騒いでいます、近寄ってみると白装束の女性とまだ前髪を残した子供が、夫、下田伸介の仇、山脇源次郎、尋常に勝負と、

いつて睨みあっていたのです、おお下田殿の妻女かお待ちなされ、そなたの夫を殺害したのはそれがしでは御座らぬと言うと、


この期に及んでみぐるしい、夫を殺害し逐電したのは明白だといったのです、その真相を探る為に萩の城下を離れたのでござる、殺害した者が徳山藩にかかわりが、

ある事がわかった為この城下に来たのだというと、


問答無用とその男に懐剣で突きかかっていくと、男は刀を抜き、刀の峰で懐剣を叩きおとした、子供が切りかかると振り払い足払いをしたのです、真一朗が助成、

するわけにはいきません、ここで手を出せば歴史を変える事になるのです、


男は刀をしまうと、少しお待ちくだされと、人を掻き分け逃げていったのです、二人は待てといったのですが、悔しさでそのままそこにうずくまったのです、

メイが手を差し伸べ、真一朗が子供を起こし、とりあえずそれがしの旅籠へと連れていったのです、


旅籠に戻り、あの男は殺害していないと言っていたが、訳を聞かせてもらえないかと聞くと、そんなはずはありません、夫の殺害場所に山脇源次郎の印籠が落ちて、

いたのです、長州藩の目付けも山脇源次郎に間違いないと仇討ち免許状を下されたのですと、懐から差し出したのです、


私の夫は長州藩の勘定組頭をやっていたのです、山脇源次郎は同じ勘定方で配下だったのです、目付けの話しでは山脇源次郎の不正を夫が見つけ処断しょうとしたと、

ころ逆に待ち伏せして殺害したとの事で、金子1500両の行方が分からない、その金子を山脇源次郎が着服したとの話でございますといったのです、


しかし、殺害場所に印籠が落ちていたとは、上手く出来すぎている、誰かが山脇源次郎に罪を着せる為とも思われます、私は公儀巡察方、村上真一朗ですと挨拶した、

そうとは知らず失礼いたしましたと頭を下げるので、これは、ここだけの話しにしてくだされ、これを理由に長州藩を潰そうなんて考えはもっていません、ご安心、

くださいと言ったのです、


手の者を萩まで行かせて、調べてみましょうといい、ゆう殿というと、ゆうが入って来て、わかりました小頭を始め何人かを萩へやつて調べましょう、私は山脇源次郎、

を探してみますと言って部屋を出ていったのです、


笑美と尚は町を一回りして、旅籠に帰ろうとした時、路地の奥から刀の打ち合う音がしたので、近寄ると、覆面をした侍3人が一人の男をとり囲んで切りあって、

いました、男が家老の手のものだな、私を狙うとはヤッパリこの城下に逃げ込んだ、長州藩勘定方、大山虎次郎は家老の意を受けて組頭を殺害したのだなというと、

それを知られたからには生かしておくわけにはいかないと、切りかかったのです、


間に入り、ご助成つかまつりますと刀を抜くと、何奴だ邪魔立てすると容赦はしないぞと笑美に切りかかってきたので、振り払い肩を峰で打つと、ガクット膝を着き、

次ぎの男の手を峰ではらうと、うつと言って刀を落としたのです、かなわないと思ったのか仲間を抱きかかえ遁走したのです、


その男が、山脇源次郎と申す、ご助成いたみいりますと頭をさげ、このお礼は後ほどと言って立ち去ったのです、旅籠に戻ると真一朗がもどっており、事情を笑美に、

話すと、山脇源次郎ともうされましたかと、笑美は先程の顛末を話したのです、


なるほど、奥方ヤツパリご主人の殺害には藩の家老がかかわっているみたいですね、ゆう殿の調べを待ちましょう、ほどなく下手人と思われる大山虎次郎の行方も、

わかるでしょうと言ったのです、ゆうが戻って来て虎次郎は親戚である、徳山藩の馬周り役、大山典膳にかくまわれております、


また屋敷の様子を伺っていた御仁をおつれしましたといい、こちらえと声をかけると、山脇源次郎が入って来たのです、畳にすわり、いまゆう殿が話された通り、

組頭を殺害したのは大山虎次郎です、また金子を着服したのはご家老なのです、それを組頭が見つけ、ご家老が大山虎次郎に闇討ちさせたのです、


そして私の仕業とする為に、盗んだ印籠を組頭殺害現場に置いたのです、もつとも、確実なる証拠はありません、組頭が調べた不正の勘定書きは家老の手にあると、

おもわれます、これが手にはいるか大山虎次郎が白状するかしか断罪する事は難しいと話したのです、それはどうも失礼な事をしてしまって申し訳ありませんと、

奥方が謝ったのです、




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