陽炎の森37 備前を領有する池田家の先祖に池田 恒興(いけだ つねおき)がいた、彼は織田信長の家臣であったが信長が死ぬと豊臣秀吉の家臣となったのです、秀吉が、


陽炎の森37


備前を領有する池田家の先祖に池田 恒興(いけだ つねおき)がいた、彼は織田信長の家臣であったが信長が死ぬと豊臣秀吉の家臣となったのです、秀吉が、

徳川家康と小牧、長久手で対峙した時の事である、にらみ合いが続いたが池田 恒興がこのままではらちがあかないので、一隊をもって家康の本拠地三河を攻める、

べきだと主張したのです、


秀吉は中入り(奇襲戦法)は敵にきずかれれば全滅になる為なかなか許可しなかったのだが、秀吉の養子である秀次を総大将として奇襲をかけると食い下がり、

秀吉はこれを許可したのである、夜陰に紛れ恒興は小牧、長久手の陣を抜け三河に向かって進軍したが、家康はこれに気ずき、途中で待ち伏せしたのです、


池田軍は支離滅裂となり、恒興、親子はあえなく討ち死にしてしまい、次男の輝政が後をついだのです、秀吉が亡くなった時、徳川につくか、豊臣につくかで内紛が、

起こつたが、家康が輝政に娘をめとらせた為、輝政は家康側にき、関が原で東軍が勝利した事により、加増を受け大大名となったのである、


正室が家康の娘であった為、その後も加増をうけ、因幡、備中、備後の親族の領有もいれて、ゆうに100万石となる、この為池田家の家老はのきなみ大名並の万石を、

領有し、知行地には陣屋があったが、幕府に遠慮して陣屋とは呼ばずお茶屋と称していたのです、


関が原で徳川につくか、豊臣につくかと対立した家老達は歴代、何かと対立し輝政をなやましていたのです、この時代は輝政の子供の時代であるが、まだ尾をひいて、

おり、幹部が派閥を作り何かと足を引っ張るのは昔も今も変わらないのです、


翌日娘と手代を商家に迎えに行き、西国街道を西へ向かったのです、若い娘なのに疲れた様子もなく歩くので、お妙えさんは健脚ですねと聞くと、そうですか、私の、

知っている人はこんなもんですけどと答えたのです、


メイが真一朗様が特別軟弱なんですよと笑っていたのです、そのころ、ゆうは真一朗より速く出立し一つ先の宿場についていたのです、この宿場は池田藩の重役で、

ある、次席家老の知行地です、お茶屋の前を通りかかると、一人の百姓姿をした男が懐に手をあてて、何かを大事そうに押さえて宿場を出て行ったのです、

なんとなく気になって後をついて行くと、


宿場を出た所に古びた神社があり、そこへ入っていったのです、お参りでもしているのかと思い、通りすぎると、ぎや~、助けてくれ~と声が聞こえたので、石段、

をのぼり、神社の境内にでると、遊び人風の男5人が百姓を取り囲んでいたのです、


一人の男が命がおしければ懐の物をだしなと言うと、堪忍してくれ、これはご家老様に渡す年貢の金だ、これがないと首をくくらなければならなくなると手を合わせて、

いたのです、男が殴りつけ、懐の物を奪おうとしていたので、ゆうが石をその男の背中に投げつけると、のけぞりかえり、


ふり向いて、なんだてめーはと、一斉に殴りかかって来たので、小股を蹴り上げ、足払いをかけると、地べたに転がったのです、起き上がり、匕首を抜いたので、

刀を抜き、最初にかかってきた奴の胸に振り下ろすと、ぐわ~といって前向きに倒れたので、柳生新陰流、山田一之助だ死にたい物はかかってこいというと、逃げよう、

とするので、動けば命はないぞと刀を突き出し、


この男を介抱してやれ切ってはおらぬ、気絶しているだけだと背中を突くと、息を吹き返したので、他の物が抱きかかえ、一斉に逃げだしたのです、百姓がありがと、

ごぜみいやしたと頭をさげるので、どうしたのだ、話してみろと言うと、今年は不作で年貢が納められず、娘を茶屋奉公に出し10両の金を作っただ、神様に参って、

帰ろうとしたら、お堂の後ろから出て来て懐のものを出せと脅かしただと言ったのです、


知っている奴らかと聞くと、いや知らねえと言うので、お前が金を持っている事を知っている奴はだれだと聞くと、茶屋の源一どん以外はしらねえと思うだといった、

のです、そうか、村まで送って行こうといい後をついて行ったのです、


村に着き、その百姓を連れ庄屋を訪て事情をはなすと、ありがとう御座いました、この者の言うとおり、今年は不作で年貢を少なくして貰うよう、嘆願書を出して、

いるのですが、聞き届けてもらえず、百姓衆は大変難儀をしているので御座いますと話したのです、


おそらく、ご用人様が握りつぶし、ご家老様には届いていないのではないかと思い、直訴しょうと相談しているのですが、直訴はご法度で、直訴した者は厳しいお咎め、

をうけるのです、その為なかなか人が決まらないのです、そうか、それでは暫く待ってくれ、もうすぐ公儀巡察方がこの宿場を通られる、それがしから、取り上げて、

もらえるように頼んでやろうと言うと、


わかりました、3日までは待ちます、首をくくる者もでるかも知れませんので、それ以上は待てないのですと庄屋が言ったのです、宿場にもどり、茶屋の天井裏に、

もぐり込むと、先程の奴らが、とんでもない邪魔が入りましてと頭をかいています、源一がバカヤロウと一人を殴りつけ、邪魔したのは誰だというと、


へい、柳生新陰流、山田一之助と名乗っていやしたと答えると、なに柳生、それは大変だ、公儀の隠密かもしれない、これからご用人様にあってくるぞと、店を出て、

行ったのです、後をつけると陣屋に入ったので、忍び込み、天井裏から調べると、奥の座敷に源一が待っていたのです、


用人が現れ座ると、何だ火急の用とはと聞くと、大変です、柳生の者がこの宿場に入り込み、手下が痛めつけられたようです、公儀の隠密やも知れませんというと、

なに、それはまずい、百姓の嘆願書を握り潰している事が知れれば一大事だ、にぎり潰せばお前のとこに娘を売るしかなくなり、おまえは他へ売り飛ばして儲け、

わしへの賂も増えると思うたが一時中止にせい、


今夜でも宿改めをして、そ奴を捕まえ、ひそかに始末すればいいだろう、隠密は見つけ次第処断してもよい事になっているでな、まかしておけと用人がいうと、

おねがいしますと、源一は陣屋を後にしたのです、






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