陽炎の森34 ゆうが帰ってきて、姫路では奈良時代から飾磨の褐染(かちぞめ)として知られた染物があり、羽柴秀吉が織田信長に献上したといわれる人気のある染物だそうです、


陽炎の森34


ゆうが帰ってきて、姫路では奈良時代から飾磨の褐染(かちぞめ)として知られた染物があり、羽柴秀吉が織田信長に献上したといわれる人気のある染物だそうです、

城下に何件か卸問屋があるそうで、池田藩ご用達は播磨屋という問屋なのだそうですが、最近、白鷺屋という問屋が池田藩ご用達を狙って、物産奉行と郡奉行に賂、

をおくっているそうなんです、


3か月前に殿様に献上するはずだった播磨屋の染物の陣羽織が盗まれ、献上できず、播磨屋が出入り差し止めとなり、その心労で播磨屋六衛門が倒れ床に臥せっていた、

そうなんです、どうも白鷺屋のしわざではないかともっぱらの噂です、


この事が起きてから、物産奉行と郡奉行の屋敷に盗人が押し入り、1500両を奪ったようで、播磨屋がかんでいるのではないかと、病気の六衛門が呼ばれ、厳しい詮議、

を受けていま牢にいるとの事です、


どうして播磨屋に疑いがかかったのですかとくと、忍び込んだ屋敷に、播磨屋の商号の入った手ぬぐいがあったので、播磨屋に係わりのある者のしわざだという事に、

なっているそうなんです、そんな盗人の名人がそんな物落としていく分けがない、


病気の六衛門を牢死させ、冤罪をつくり、播磨屋を取り潰し、白鷺屋をご用達にするつもりだろう、1500両盗まれたのも嘘かもしれないと真一郎が言ったのです、

嘘だとしたらその盗人を捕えても金は見つからず言い逃れをすればそのままだし、仮にそいつが陣羽織を盗んだとしても、白鷺屋に渡しているだろう、


今回は城下の奉行宅だ、広すぎてゆう殿でも忍び込んで証拠を見つけるのは難しい、そうだいい方法があると手を叩いた、笑美姫がどうするのですと聞くと、

ゆう殿ここの城を調べて、最近城普請をしていないか調べてください、たとえば白壁のひび割れなどの小さな普請でもいいです、


それくらいは必ずやっているはずです、城普請は幕府の許可がいりますというと、そんなたかが壁のひび割れくらい、お咎めはないのではと笑美が言うと、

普請は普請だと難癖をつけるのです、播磨屋をたいした証拠もなく牢へ入れるのですから、二人の奉行を家老にいって、直接詮議するというのです、


多分証拠も無しに池田藩の奉行を取り調べるとは、池田公をないがしろにする行為と猛反発するはずです、そこで城普請を持ち出し、池田15万石と差し違えても、

いいと脅すのです、そこまで言えば二人の詮議を許すでしょう、そこで1500両(3億円)の出所を聞くのです、奉行職といえば200石か300石でしょう、


そんな金は賂をもらうか、藩から特別の報酬があるか、商売でもしなければ貯まるはずはありません、返答にきゆうするはずです、ムチャかもしれませんが、

ともかく、二人を罷免し白鷺屋を潰せと脅かせば、この連中は我々を襲うはずです、そこで掃除するのです、


公儀の巡察方を襲うのですから、言い訳はできませんよ、家老も承知するしか手はなくなりますと答えたのです、しかし、ムチャな策ですね、土井利隆様に迷惑は、

かからないでしょうかと聞くので、事の次第は私から書状で報告します、殿はキットわかって下さるはずですというと、


そうですよね、家を潰す覚悟で但馬の守の屋敷に打ち込むなんて、ムチャをやろうとする殿ですから、真一朗殿とよく似ていますねと笑ったのです、

ゆうが承知しました、今日中にしらべます、またその盗人調べてみます、義賊でなれけば、その盗人はケチな奴と思われますので、白鷺屋からめくされ金をもらって、

賭場に必ず出入りしてるはずですと言ったのです、


それでは明日が勝負ですね、明日まで播磨屋が無事であればいいがというと、尚が私がくすりと食べ物を持って牢に忍び込み、頑張るよう伝えてきますと部屋を出て、

いったのです、メイも今夜流れ芸者に化けて白鷺屋の座敷に出てみます、ひょっとすると奉行も一緒で何か探れるかも知れませんと言ったのです、


メイが置屋の女将に頼んで、白鷺屋の座敷に行くと案の定、物産奉行が一緒です、踊りを一指し舞うと、これは素晴らしい、こちら来て酌をせいと言うので、

傍により奉行に酌をすると、名前はなんと申すと聞くので白菊ですというと、ほう白菊かこれから懇意にしてつかわすぞと奉行がいい、よろしくお願いしますと、

頭を下げたのです、


本当の芸者だと安心したのか、おい白鷺屋、陣羽織は大丈夫だろうなと奉行が聞くと、蔵の中に大切にしまっております、ご安心下さいというので、横からわざと、

陣羽織を着て戦でもなさるのですかと聞くと、ははははこの太平な世に戦などあるか、だから大切にしまってあるのさと奉行が笑ったのです、


しばらくして、チョット、お手水場へと言って席を中座し、小頭と呼ぶと床下からここにいますというので、陣羽織は白鷺屋の蔵ですというと、あい分かった頭に、

しらせて来るとその場を立ち去ったのです、


ゆうに知らせると分かった、メイ殿から目を離すなといいつけ、白鷺屋の蔵へ向かったのです、蔵の錠前を外し、中を探すと、箱の中に入れてあった、陣羽織、

を見つけ、丸めて懐に入れ、旅籠にもどったのです、


真一朗に見せるとよくやってくれました、これで白鷺屋はぐうの音もでないでしょう、後は二人の奉行ですねと笑美に言ったのです、尚が戻って来て、播磨屋が、

よろしくお願いしますと言ってます、持って言った握り飯をたべましたので、薬も飲ませましたら、元気が出たようですといったのです、


ご苦労様、それは良かったもう一頑張りです、明日には大掃除も終わるでしょうと、真一朗が頭を下げたのです、しかし真一朗殿はいつもみんなを驚かす、奇策を、

思いつくのですね、但馬の守様が生きてらして、この策を聞いたらさぞかし驚かれろでしょうと、みんなが笑ったのです、







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