陽炎の森29 その頃奉行所では奉行の青木が与力の塩原をよび、まずい事になった、公方様の巡察方の話は大阪城代から聞いていたが、まさか大阪に現れるとは、船戸屋に言って、


陽炎の森29


その頃奉行所では奉行の青木が与力の塩原をよび、まずい事になった、公方様の巡察方の話は大阪城代から聞いていたが、まさか大阪に現れるとは、船戸屋に言って、

そうそうにアヘンを隠すように指示しろ、寺まで目をつけるとは、今夜アヘン中毒者もろとも、あの古寺に火をつけ焼き殺して証拠を隠滅する、一人も逃れない、

ように戸板を打ちつけてから火をつけろと指示したのです、


この話しはゆうの手の者の小頭が天井裏で残らず聞いており、さつそくゆうに知らせたのです、ゆうが真一朗に知らせると、ヤツパリつるんでいたか、わざと身分、

をばらしたのが効きましたねと笑うと、それで堂々と名乗ったのですねと笑美がいい、まったく何をするか分からない人だわと感心したのです、


その寺を突き止めて、みんなを救わなければなりません、尚に今夜大阪城代に言ってその寺まで出動してもらおう、時機が来たら走ってもらうよ、メイは船戸屋の、

居場所を調べておいてくれと頼んだのです、


さつそく船戸屋に出向き、ノレンを潜ると、公儀巡察方の村上真一朗である皆の者うごくな、主人はおるかというと、奥から、船戸屋伝衛門で御座います、御用の、

おもむきは何で御座いますかというので、抜け荷ならびにご禁制品のアヘン売買についてである、蔵を改める、蔵に案内しろと言ったのです、


そのような物は扱っておりません、こころい行くまでお調べ下さいといい蔵に案内したのです、蔵の中を調べ、おくの棚に行き、指で棚をなぞり、何だこの粉はと、

指を見せると、そんなと不思議がっています、懐から紙を取り出し、紙に擦りつけ、まさかアヘンではあるまいな、持ち帰って調べる、それまでは、この町から、

出てはならんぞと申し渡し、店を出たのです、


笑美が本当にアヘンですかと聞くので、小麦粉だよというので、そんな物がなぜ蔵の中にというと、最初から持っていたんですよ、あるはずの無いアヘンがあった、

のだから伝衛門はさぞかしビックリしたでしょうとケラケラ笑ったのです、まつたく真一朗殿は人が悪いというと、


これで慌てまくって何もせずに、皆で逃亡を企てればいいのですが、さあ今夜はどうでますかねと真一朗が笑ったのです、そのころ伝衛門は奉行と与力に会っていた、

棚にあった粉を見せ、なぜあそこにあったかと首をかしげるので、与力がなめて見て、なんだこれはただの小麦粉ではないかと言ったのです、え~と伝衛門がなめる、

とたしかに小麦粉である、


畜生わざと脅かして反応をみたのか、なんと言う奴だと言ったのです、そうと分かれば、慌てて逃げる必要はない、計画通り今夜、実行するぞと、奉行が言った、

のです、船戸屋お前は今夜何食わぬ顔してどこぞで遊んでいろ、後は万事こちらでうまくやるといったのです、


そのころメイは置屋にいたのです、女将に芸者として雇ってくれるように頼んでいたのです、踊ってみろというので踊ると、ビックリしてたいしたもんだ、今日から、

来てくれるかと言うので、きょうの座敷はと聞くと、回船問屋の船戸屋だよというので、あの大店のご主人ですか、ぜひやらてくださいと言うと、その着物では町娘、

だからこれに着替えてというので、芸者の黒小袖に着替えたのです、


チョット用足しに言ってきます、夕方には戻ってきますと置屋をでて、旅籠にもどったのです、真一朗と笑美がメイの芸者の格好をみて、どうしたのと聞くので、

今日は臨時の芸者ですよ、お座敷は船戸屋ですってと笑ったのです、危ない事はしてはいけないよ、危ないと思ったらすぐ逃げ出すのだよと言うと、ゆうが大丈夫、

ですよ、手の者に天井裏から見張らせますといったのです、


後は与力と奉行の後をつけ寺を探し、悪人を懲らしめるだけですねと笑ったのです、夜になりメイは置屋へもどり、船戸屋の座敷に出たのです、踊りを披露すると、

これは素晴らしい、こちらへ来て酌をしてくれと伝衛門がいい、酌をしたのです、メイは楽しいのは今の内よ、その内寒気がしてくるわよと心の中で笑ったのです、


ゆうの手の者から今奉行と与力が動きましたと知らせが入り、暫くして、場所は、梅田のはずれの瑞巌寺という古寺ですと、連絡が入ったので、尚に朱印状を渡し、

大阪城代に知らせてくれと頼み、その寺へ向かったのです、


寺に着き裏から覗くと、大勢の者がアヘンを吸い恍惚な顔をしています、暫くして奉行と与力が出て来て、手の者に合図をすると板戸をクギで打ちつけています、

終わると樽から油を流し、火をつけようとした時、そこまでだ、町奉行ならびに与力ともあろう者が、抜け荷並びにアヘン売買に手を貸すとはごんご同断だという、

と、くそ~、ワナだったのか、


こうなれば破れかぶれだ、構わん切り捨てろというと、刀を抜いて切りかかって来たのです、笑美とゆうと真一朗が片っ端から足や肩を払うと、転がってうめいて、

いたのです、奉行と与力が逃げようとするので、観念しろというと、切りかかつてきたので、肩を打ち据えると、前のめりに倒れたのです、


大阪城代が手勢をつれて駆けつけ、大阪奉行、青木一郎、与力、塩原伊助なんという事だ、捕縛しろと部下に声をかけ、こと如く捕縛し引き立てのです、村上殿、

この度は面目次第も御座らぬ、あの者達は老中にいうて厳重に処罰いたしますと言ったのです、


大掃除が出来て良かった、中にいる者は医者にみせ、二度と中毒にならぬよう治療させ、宜しくお願い申すというと、その通りに計らいますといったのです、

次にメイの場所へ行き、船戸屋伝衛門ほ捕縛され引き立てられたのです、それでは大掃除も終わったので、メイの芸者に酌をして貰って乾杯しましょうと、

盃を重ねたのです、


さらにメイが真一朗様おひとつと色っぽく酌をしたのです、皆でほんにメイは芸者がよく似合うのおと大笑いしたのです、大掃除も終わったので旅籠に帰ったのです、

旅籠に帰ると利隆からの書状がとどいており、中を見ると、肥前まで行きバテレン信者の様子を見てきてほしいとの依頼であった、


笑美に話すと、めったに行ける場所ではありません、喜んでお供しますと言ったので、それではゆるりと肥前まで行きましょうと真一朗が言ったのです、



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る