陽炎の森25  ゆうの手の者が各宿場の探索を終え柳生屋敷に戻ってきたが、領民が痛めつけられている事もなくつつがなく暮らしているとの知らせであった、西へ向かう事にし、


陽炎の森25 


ゆうの手の者が各宿場の探索を終え柳生屋敷に戻ってきたが、領民が痛めつけられている事もなくつつがなく暮らしているとの知らせであった、西へ向かう事にし、

たのです、最後に柳生十兵衛に出立の挨拶に行くと、そうですか、それではゆう、真一朗殿を良くお助けするのだぞ、私にもしもの事があったら、私の知行地は、

そなたの父宗冬に譲る、


そなたの父の知行地と合わせれば1万2000石となり、以前と同じ大名にもどれる、宗冬に宜しく言ってくれと言ったのです、それから、荒木又衛門が騒ぎにまきこまれ、

ている、知ってのとおり、渡辺数馬と又衛門は義兄弟であり、助成をたのまれれば受けざるを得ない、


この騒動は河合又五郎を旗本が庇っている為、外様大名と旗本との争いに発展してしまった、又衛門が柳生一門であっても柳生とは一切関係ない、直接又衛門に助成、

してはならないぞと言ったのです、ゆうが承知しました、直接にはしませんが何らかの形では助成しますよと返事したのです、


最近江戸追放になった河合又五郎が奈良に潜んでいる事がわかり、又衛門に住家が知れたと知った河合又五郎が江戸へ逃げ帰る公算大である、これから西へいく、

そなたが出くわさんとも限らないので話したまでの事よと言ったのです、


真一朗はそうかこれが後世にのこる3大敵討ちの一つ荒木又衛門、渡辺数馬と河合又五郎、一党との鍵屋の辻での決闘であり、又衛門は35人切りをしたと伝えられる、

が実際には2人切っただけである、


第一の敵討ちは蘇我の十郎、五郎の富士の巻き狩りでの工藤祐経への敵討ちである、これは伊東一族の内紛であり、後世の日向の守護である伊東氏は工藤祐経の、

子孫にあたり、討ち取られたのが7月7日であった為、徳川幕府時代は七夕祭りを禁止していたのである、


3番目は赤穂浪士が吉良家に討ち入り、吉良上野介を討ち取った敵討ちである、現代では、いずれも歌舞伎で上演され定番となっている、真一朗は伊勢街道から、

奈良街道を進み、紀伊和歌山から摂津(大阪)に出る道を選んだのです、現在でも名古屋から名鉄が走っており、東海道を通るよりも近道なのです、


尾張の熱田から七里を船で伊勢の桑名に渡る、これを『七里の渡し』という、 揖斐川の河口を少し上がった所に船着き場があり、ここから一行は船に乗ったのです、

桑名に着くと、ここからは伊勢の国である、ハマグリが沢山とれるところであり、街道の茶店ではハマグリを焼いており、いい匂いが漂っていたのです、


メイが美味しそうな匂い、もうたまりませんわ、清之進様この茶店で休みましょうと言うので、お昼にしょうと傍の茶店に入ったのです、焼きハマグリを4人分頼み、

弁当を広げたのです、焼きハマグリが来たので、メイが一口食べおいしいといい、みんなで食べたのです、なかなかの味です、


真一朗がもう一皿注文しましょうというと、清之進が物見遊山にきているわけではありませんよ、もう一皿だけですよと言ったのです、メイがうれしい、頂きますと、

手をつけるので、メイは段々真一朗殿のように子供になって来たようだなと清之進が笑ったのです、


桑名の城下はさすがに藤堂藩のお膝元なので、特別悪さをする者もいなかったので、今日の泊まりは次ぎの宿場四日市にする事にしたのです、桑名からは3里(12km)、

とちょっとです、ゆるりと歩き四日市の旅籠に止まろうとした時、風体の悪い者達がそこの旅籠はやめなさいというのでどうしてだと聞くと、料理はまずいし部屋は、

汚い、こっちがいいですよと向かいの旅籠を指さしたのです、


お前達は客引きかごろつきかと聞くと、なんだと、人が親切に教えてやっているのにと殴りかかろうとしたので、又をけりあげるとそこにうずくまったのです、

一緒にいた連中が匕首を抜きかかってきたので、よせ怪我するぞというなり、刀を抜き上段から降りぬいたのです、一人の男の帯がスパーと切れ、下帯が丸見え、

です、次ぎの一撃で隣の男の匕首を叩くと下に飛び横の男のぞうりに突き刺さったのです、


次は手加減しないぞと笑うと、ひや~といって、一目散に逃げ出したのです、清之進がどうやら掃除が必要みたいですねと、最初に入ろうとした旅籠伊勢屋のノレン、

を潜ったのです、よくぞいらっしゃいました、まずはすすぎをと、水のはいったたらいを出したので、足を洗うと、女中が部屋へ案内したのです、


他の泊り客はいないようなので、他に客はいないのと聞くと、先程のごろつきが泊まろうとする客を脅かして、この店の商売の邪魔をするのです、でもお侍さんが、

懲らしめてくれましたので、これから入って来ると思いますと答えたのです、


一人の女性が入って来て、ここの女将のみちで御座います、先程はありがとうございましたというので、あのごろつきどもは誰に雇われているのだと聞くと、宿場、

を仕切っている、地蔵の親分の手下なのですと言うので、なぜ嫌がらせをと聞くと、


私の娘をここの代官様の屋敷へ行儀見習いに出すようにとの事なのですが、承知しないので、嫌がらせをするのです、私の一人娘です、婿を取ってこの店をついで、

貰わねばなりません、行儀見習いなんて言っていますが、おめかけにするつもりなのですと、女将が困った顔をしたのです、


まずはお風呂に入って旅の疲れを取ってください、その後でご食事をお持ちしますと部屋を出て行ったのです、それでは、皆で風呂に入って来てください、私は、

荷物の番をしていますというと、取られる物はありませんよと笑い、笑美がそれでは先に行きましょうと、風呂へ行ったのです、






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