陽炎の森24  十兵衛と話しているうちに夜もふけてきたので、それではそれがしは忠長様の元に帰りますと切り出すと、ついつい引きとめてしもうた、ぞうぞお行きなされ、


陽炎の森24 


十兵衛と話しているうちに夜もふけてきたので、それではそれがしは忠長様の元に帰りますと切り出すと、ついつい引きとめてしもうた、ぞうぞお行きなされ、

今日は楽しゅう御座ったと十兵衛がいい、2~3日は逗留しますのでまた伺いますと席を辞すと、そこまで送りますとゆうが屋敷の門までついてきて、今日は、

ありがとう御座いました、叔父上の楽しそうな姿をみて安心いたしましたというので、


それがしよりも、かわいい姪御のゆう殿に会えて元気を取り戻されたのですよといい、屋敷を後にし忠長様の所へもどったのです、忠長様の笑い声が聞こえている、

ので、ご機嫌がよろしいようでと席に座ると、


色々と道中話を聴いておった所だ、しかし真一朗は食えぬ男だのう、おぬしにかかれば、あの地獄の閻魔大王も凋落されると、笑美がいうていたぞ、ほんにその、

通りと余も思うぞとケラケラ笑ったのです、


真一朗の料理もなかなかなものよのう、久ぶりに腹一杯食うたぞというので、それでは明日はそれがしと野がけなどやりましょう、でないと、まるまる肥えたタイ、

になってしまいますぞというと、そうだの、隠密にやるかというので、笑美殿の馬術の腕はなかなかのもので御座りまする、


私など到底かないませんと話すと、そうか女子の身であまり腕があると、婿の来てがなく、義清もさぞ心配な事よのうと忠長がゆうと、ほんに何処かに、業の者、

はいないものでしょうかと笑美が言い、あしたは忠長様と勝負に御座りますよ笑ったのです、


そうだ、笑美とメイと尚に一緒に食せいと言うたのだがと忠長がいうと、笑美が一緒に膳を囲むなどおそれ多い事に御座りますると言うので、それは忠長様の、

ご命令で御座いますかと真一朗が尋ねると、そうだ命令であると忠長が言うので、


お三方命令では仕方ありません、馳走になりましょう、お膳を4つ程頼みますというと、承知しましたと腰元がお膳をもってきたので、真一朗がお膳にとり分け、

綺麗に並べると、ほう真一朗は給仕もたいしたものだのうと忠長が感心していたのです、


皆で箸を付けると、初めてじゃ、こんな風にして食するのは、ほんに楽しいものよのうと言うので、美味しいものは皆で食すると、さらに美味しいので御座います、

と真一朗が笑ったのです、


まだ時間も早いので一つ真一朗に尋ねたい事があるのだかというので、なんで御座りますかと聞くと、余の家来どもは家康公の強いとこしか話さぬが、ほんに、

そうであったのか、そなたなら歯に衣を着せぬと但馬が言うておったので本当の事を教えてくれぬかと頼むので、


わかりました、本当の家康公の事を話しましょうと話し始めたのです、ご存知のように家康公は小さい頃は人質として今川義元の駿河の国におられたのですが、

本国の城は今川の重臣が城代家老として治め、年貢のほとんどは今川に吸い取られていたのです、これに逆らえば国は滅びてしまいます、


大変な忍従をされたのです、しかし、いつかはと心にちかい、学問に武術に修練の毎日だったのです、そのうち、隣国の尾張の織田信長公が勢力を広げ、尾張一国、

を平定したのです、しかし兵力は2千5百人しかいなく、今川は3万人からの兵力を持ちとうてい勝ち目などなかったのです、


今川義元はここのままにしておいては信長公の力が増してくるので、早めに叩きつぶそうとして2万5千の軍勢で尾張へ攻め入ったのです、家康公は今川方として、

先方をまかされます、一番犠牲の多い役目です、しかし、逆らえないのです、必死に攻めかかり、織田方の出城を落とす手柄をたてたのです、


今川義元は勝ち戦の報告を次々と受け油断して、桶狭間で休息をとります、それを見つけたのが、織田の足軽で磯村裕一郎という小者です、さつそく本陣の場所、

を信長に知らせます、信長は喜んで磯村裕一郎の案内で桶狭間に軍を進めます、おりしも雷雨が激しくなりますが、これが、織田軍を有利に導きます、


信長公は2千5百の兵を引き連れ今川の本陣を目指します、軍馬の音は雷雨にかき消され、今川方は本陣のすぐ傍まで織田軍が来ている事を知らなかったのです、

今川の本陣に突然現れた2千5百の軍勢に狼狽し、支離滅裂となり、今川義元は討ち取られたのです、織田軍はそうそうに引き上げたのです、


信長公は一番の手柄は磯村裕一郎であるとして、足軽大将に取り立て3百の兵を預けてます、この男は信長公、秀吉公、家康公に使え5万石の大名として明治まで、

家系は続くのです、大将が討ち取られ、軍は崩壊します、2万5千の軍勢は一斉に国に向かって引き上げたのです、家康公も直ぐに浜松に向かって退却したのです、


浜松城の今川義元の城代は逃げ去った後でした、家康公は城を取り返し、籠城の用意をしたのです、信長公は東にはあんまり興味は無かったのです、西の京都に、

登る事が大事なので、家康公と和議を結びます、家康公はそのまま駿河には戻らず、人質である、子供と正室を取り戻すのです、


簡単に取り戻せたのは、今川義元の跡継ぎは凡庸で戦う気力もなく、信長と和議を結んだ家康公の人質を殺せば、信長が攻め入る恐れがあるので人質と城を帰した、

のです、それから信長公を盟友として家康公は遠江国を平定するのです、そして駿河の国を分割する事で武田と手を結び東から武田信玄、西から家康公が攻め入り、

今川家は滅んでしまい、家康公は遠江国と駿河の半分を領有し戦国大名にのし上がっていくのです、


なるほど、真一朗はなぜそこまで詳しいのだと忠長が聞くので、未来の国から来たので全て知っているというわけにもいかず、躊躇していると、

笑美が我が家は元々北信濃の村上郡の出目でございます、我が家に残っていた日記に書いてあるのを真一朗殿は調べたのですと助け舟をだしたのです、


それでは夜も遅くなったので次ぎの機会に続きを聞かせてくれと忠長がいい、席を辞し、家老の屋敷に戻ったのです、戻ると、笑美に危ないところを助かりました、

というと、真一朗殿は本当に話すのがお上手ですね、思わす引き込まれてしまいましたよと笑ったのです、



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