陽炎の森23 真一朗が部屋に戻ってくると、今一之助殿より聞いたのですが、柳生十兵衛殿がご病気らしいのです、一刻も早く尾張にいきましょうというと、そうですか、
陽炎の森23
真一朗が部屋に戻ってくると、今一之助殿より聞いたのですが、柳生十兵衛殿がご病気らしいのです、一刻も早く尾張にいきましょうというと、そうですか、
忠長様も気になります、先を急ぎましょう、一之助殿、手のもので手分して宿場の様子を探り、不正な事があれば、尾張まで知らせてくれるよう、手配たのみます、
巡察は尾張の後でも構いませんよと言ったのです、ゆうはご配慮いたみいります、わかりました、さつそく手配しますと、自分の部屋へ戻り、手下の者へ、今日は、
ゆつくり、旅の疲れを癒し、明朝早くに出立しそれぞれの宿場の探索に行くよう指示したのです、
次ぎの日朝早く出立し急ぎ尾張に向かったのです、道中はさして不穏な事には出会わず、数日経つて尾張城下に入ったのです、まずは尾張藩の国家老に面会を求めると、
よくおいでなさいました、殿はただ今江戸勤番につき不在でございますが、真一朗殿が公方様の巡察方として諸国をめぐると江戸よりの知らせがあり、お待ち申し、
あげていたところですと言うので、
まずは忠長様にお会いしたいのだがよろしいかなと聞くと、どうぞ、案内つかまつる、将軍家より自由にすごさせよとの事でありますので、御酒も城外へのお出かけ、
も自由にと申しあげているのですが、そのような事をしては尾張家に迷惑がかかると、ひたすら、恭順なされており、最近では少々気の病にかかっているのではとの、
事で心配しているのです、
そうですか、忠長様はそのようなお気ずかいをされる心の優しい方なのです、なんとか気鬱をはらさなければと思ったのです、しかし、歴史によると程なく病気に、
なり28才の若さで自害をし亡くなるのです、それより前に柳生十兵衛は黄泉の国へ旅たちます、
忠長の前に案内され座ると、おう真一朗よう来た待ちかねておったぞ、正座はにがてであろう、足を崩してもいいぞと忠長があぐらをかいたのです、
一別いらいでございます、お顔の色が優れないようですが今日は道中話などして心を安んじ奉りまするというと、そうか宜しく頼むぞと笑ったのです、その前に、
お願いしたい事があるのですがと言うと、
なんなりと申してみよというので、柳生十兵衛殿がご病気と聞いております、先に見舞いに行ってよろしゃう、ございますかと聞くと、かまわん、先に行って来い、
余も会いたいのだが、配流のみの上ゆえそれもかなわない、見舞いをしても良いと、国家老は言うてくれるが、尾張殿に迷惑が係るでのう、真一朗が余の分も見舞、
ってきてくれと言うので、
それまではこの笑美殿と尚が道中話しのお相手つかまつります、また、行く前に、手前が忠長様に馳走をお作りしていきます、ごゆっくり召し上がってくださりませ、
というと、なに真一朗は料理も出きるのかと関心しているので、笑美がなかなかの腕前にございますと答えると、それは楽しみじやとニコニコ笑ったのです、
それではとメイをつれ台所へ行くと、台所方がこれは村上様、ご家老のいいつけでタイ、あわび、あじ、たこ、イカ、まぐろを用意してありますというので、包丁を、
かり受け、タイの姿つくりと、他は手巻き寿司のながさに、刺身をつくり、最後にメイに酢飯を作ってもらい、のりをそえ、終わると、メイにこれを忠長様といい、
酒は冷えているで御座るかというと、井戸の中につけておきましたのでといったので、
それも持っていくように台所方にたのんだのです、メイが案内し忠長様の部屋へはこんで行ったのです、もうひとつを城を出て柳生屋敷まで運ばせ、門前で面会、
を求めると、ゆうが出迎え、今日は具合がとても良いそうで、起きておいでです、さつそくのお運びかたじけのうございますと、柳生十兵衛の元に案内したのです、
十兵衛の元へ行くと、ようおいでくだれた、このとおりのていたらくで御座る、日ごろの精進のたりなさなのでしょうと笑ったのです、顔色もよさそうで安心、
しました、前回ていもなくひねられましたので、今一度立ち会いたいとおもっているのですというと、わたしもそう思っていたのですよ、私にかまわず、忠長様を、
見舞ってくださいというので、
いや忠長様からも柳生十兵衛殿を見舞うよう、仰せつかったばかりでございます、料理をここへと言うと、お膳に綺麗に乗せ、差し出したのです、ほうこれはと、
言うので、みどもがこしらしらえたと言うと、真一朗殿はまかないの腕も達人ですなあと感心しています、お酒は体にさわりますかなと言うと、なんの酒は百薬、
の長といいます、大丈夫ですというので、
ゆう殿と聞くと、医師に聞きましたが、度を越さねば大丈夫との事でございますというので、酌をし、杯を重ねたのです、十兵衛が一口飲むとこれはうまい、どこの、
酒でござるかと聞くので、井戸水で冷やしたので美味しく感ずるのでごさせるよ、ただの水でも冷たく冷やせば美味しく感ずるのですと笑い、
タイの刺身に山葵醤油をつけて食べてみてくだされと言い、十兵衛が箸をつけると、これもうまい、うまいと喜んでいたのです、ほんに、真一朗殿は人を元気にする、
天才でござりますなあと、ゆうが言い、叔父様よかったですねと十兵衛の顔を見ると、なにしろ、真一朗殿は親父より策士で御座るからのうと笑ったのです、
さあ、ゆう殿も食べてくだされというと、ゆうも箸をつけおいしい、おいしいと言うので、あまり食べると魚になり、くの一はできなくなりますぞと笑うと、良い、
のです、その時は真一朗殿が忍びの者となり私の代わりに働いてくだされと切り替えされたのです、
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