陽炎の森20 将軍家光は土井利隆と真一朗を召しだし、傍には老中の堀田と青山それに柳生宗冬が座っていたのです、家光が利隆今回はそなたに苦労けたなと言うと、利隆はなに、


陽炎の森20


将軍家光は土井利隆と真一朗を召しだし、傍には老中の堀田と青山それに柳生宗冬が座っていたのです、家光が利隆今回はそなたに苦労けたなと言うと、利隆はなに、

をおおせられます、今回の騒動は後見役としての、みどものいたらなさから出た事ですと答えたのです、


今回召しだしたのはそなたを余のご意見番にする為だ、余人を通さずいつなりと登城し直接意見をのべよと言ったのです、おそれ多い事と存知あげます、老中を、

差し置いての意見などもってのほかと心得まするとゆうと、


堀田備中の守がいやいや、先程上様より今回の騒動の詳細をお聞き申した、それによると利隆殿はあえて火中の栗を拾われたよし、まったく気がつかず、面目次第、

も御座らぬ、どうぞ遠慮なく上様のお言いつけに従いなされと言ったのです、


表向きの政(政治)は老中にまかせる事にして、世の中には余の目の届かないことがいくつもあるであろう、そちが頭となりそれをただしてくれぬかと言ったのです、

具体的に言ますとどうすれば良いのでございますかと聞くと、そこに控えおる真一朗に全国を回ってもらい、無体な事をするやからや不正をして領民を苦しめる、

やからを成敗するのだ、


これは全国の大名を改易に追い込む為ではないぞ、あくまでも庶民の暮らしを守る為の巡察であると言い、そのための費用は堀田が勘定奉行にいってそちに下しおく、

事にする、遠慮なく申し出よ、また真一朗は書状にて利隆に報告しそれを余に伝えるのだ、なにも無い場合は報告はいらぬぞと言ったのです、


ここに余の朱印状がある、内容は、真一朗の要請は余の申しつけとして便宜をはかるよにしたためてある、これを持っていくがよいと朱印状を渡したのです、

承知つかまりましたと平伏したのです、ここにいる柳生宗冬の手のものが陰からそなた達を助けるというと、


柳生宗冬がこちらに入れと合図すると、一人の忍びの姿をした女性が入って来た、それがしの娘のゆうです、以前家光さまが屋敷におなりの際お会いしてござると、

言ったのです、くの一のゆうで御座います、我らの手の者がお手伝いいたしますると挨拶したのです、


屋敷に下がると、利隆がご苦労な事だが一つ引き受けてくれ、同行は笑美と尚とメイだ宜しく頼むぞといったので、承知しました、支度が出来次第出立いたします、

と笑美姫の部屋へ向かったのです、姫と尚、メイに話すと、姫がそれでは、私と尚は真一朗殿の警護役、メイは柳生との連絡係りとする宜しく頼む、私をこれ以降、

姫と呼ぶな、道中、村上清之進の名で通すといったのです、


それではまず東海道を西へ下ります、途中尾張の忠長様にお会いしましょう、明朝出立しますと言って部屋に戻ったのです、メイが私もお連れ頂くなんてうれしゅう、

御座いますと言ったのです、しかし皆と一緒では情けを交わす事はできないぞと真一朗がいうと、


それでは今日は目一杯情けをお掛け下さいと、メイが蝋燭を消し寝間に引っ張っていき、二人で激しく燃え上がったのです、翌日旅支度をして東海道を西へ向かった、

のです、そのころ柳生のくの一のゆうは若侍の格好をし、仲間と早くに出立し小田原宿で真一朗たちを待っていたのです、


小田原宿に着くと桔梗屋という旅籠に宿を取ったのです、ゆうは町の様子を探る為町並みを歩いていると、ひょうたんという居酒屋があったので、ノレンを潜ったの、

です、酒を頼むと、娘がここの鯉こくソウメンはおいしいんですよと言うのでそれを一つと頼んだのです、


酒と料理が来たので、見ると鯉の皮を火であぶり細かくしてソーメンと酢で混ぜてあり、ネギがかけてあります、一口食べると鯉の皮の香ばしさとソーメンが、

ピッタリ合うのでこれはうまいと言うと、そうでしょうと娘が笑っていたのです、名前はなんと申すと聞くと美々と申しますというので、おう良いなでござるなあ、

と言っていると、


5~6人の侍が入って来て、酒を頼み、美々、酒の相手をせいと着物の袖を引っ張ったので、娘がおやめ下さい、私は芸者ではありませんと振りほどくと、立ち上がり、

いきなり娘の胸に手を入れたので、きや~とひめいを上げて泣き出したのです、ゆうがこれやめなさいと、その男の手を掴み捻ると、イテテと手を離したのです、


表てに出ろというので外に出ると、一人の男が刀を抜き切りかかってきたので、太刀で受け止め、刀を持ち替え、峰で肩を打ち据えるとギヤーといってその場に、

倒れたのです、他の連中は叶わないと思ったのか、倒れている仲間を抱きかかえて一目散に逃げたのです、


美々と店主がありがとうございましたと礼をゆうので、いつもこんな嫌がらせをするのか、あの者は小田原藩の侍かと聞くと、そうなんです、ここに女郎屋を造ろ、

とする五郎蔵一家の回しものです、役人はどうして黙っているのだと聞くと、町奉行様もつるんでいるのですと答えたのです、


それでは何か有ったら桔梗屋に逗留しているのですぐ知らせてくれといい、旅籠に戻ったのです、ゆうの仲間が真一朗殿一行がただ今この桔梗屋に到着なさいました、

部屋へ案内しますと、真一朗達の部屋へ案内したのです、部屋に入り挨拶しさつそく先程の話しをすると、それはご苦労にござる、しかし、町奉行とごろつきがつる、

んでるとはなんという事だ、懲らしめなければなりませんと真一朗が言ったのです、


今夜奉行宅へ忍び込み、不正の書付がないか調べてみますといい、私は山田一之助と名乗っています、笑美殿はと聞くので村上清之進ですと答えると、ほう、

いい名前ですねと笑い部屋を出ていったのです、


















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