陽炎の森19 家光が将軍になり、諸侯が大広間に集められ祝賀の会がもょうされる事になったのです、利隆はその前に家光に呼ばれその席上、今回はそなたに世話になった、
陽炎の森19
家光が将軍になり、諸侯が大広間に集められ祝賀の会がもょうされる事になったのです、利隆はその前に家光に呼ばれその席上、今回はそなたに世話になった、
若年寄、から老中に推挙するがどうだなと言うので、それはなりません、駿河の騒動は皆の知るところです、
騒動の当時者である忠長様、後見役のそれがしを推挙しましては、策をろうした事が露見し将軍様にキズがつく事になります、だんじてなりませんと言うと、
そうか、そなたには苦労をかけると労いの言葉をかけたのです、
老中の堀田備前の守と青山備中の守が今回の騒動の後見役である、土井利隆を若年寄から罷免するべきだと狼煙をあげたのです、裏事情は知っているのだが、
このままにしておいては、利隆が老中になり、自分達を脅かす存在になる事を警戒しての事なのです、二人はなぜそのままにしておくのかと柳生但馬の守に詰め、
寄ったのです、
但馬の守もお手前達のいう通りであるが、その義は公方様がお許しにならないでしょうと逃げ口上を打つたのです、それを聞いた忠長は烈火の如く怒り、家光に、
堀田備前の守と青山備中の守を罷免するように頼んだのです、
しかし罷免すれば今回のはかりごとが前面にでて、再び忠長との仲が悪くなり、そなたを改易にしなければならなくなる、こらえよと言ったのです、このまま、
いけば、私の存在は将軍家にとって災いの種となる、国許に帰って乱行三昧をやるので、時機を見計って駿河60万石を改易してくだされと言ったのです、
そのような事が出来るわけないではないか堪えてくれと家光が頼んだが、それには答えず、忠長は次ぎの日さつさと駿河に帰国したのです、それからは、酒と女、
に乱行三昧の日を重ねるのです、
堀田備前の守と青山備中守は将軍家に断りも無く無断で帰国し、乱行三昧を見逃せば将軍家の威光に傷がつく、何らかの処分をと奏上したのです、家光はほとほと、
困って、但馬の守を呼びどうすれば良いか聞くと、
忠長様は自分がいつも火種になる事をご存知で、家光様に迷惑をかけまいとして、改易を望んでおられるのです、家臣がいなければ、たきつける者もなくなり、
家光様に迷惑をかける事もないだろうとお思いなのです、望み通り改易になさるしかありませんと答えたのです、
江戸に出府命令をだしてもおそらくしたがわないだろう、使者をたてるしかあるまい、但馬の守そなたが行ってくれと頼んだのです、小田原藩と尾張藩に出兵を、
要請し但馬の守は駿府城におもむいたのです、城方は合戦準備をしています、
但馬の守は城を軍勢で取り囲み、城に乗り込んだのです、上意であると伝えると、忠長と家老を始め重役達を前にして、無断帰国及び乱行三昧は不届き至極につき、
駿河60万石を改易にし、忠長を尾張藩、家老以下重役を土井利隆に預けると伝え、もし不服とあれば一合戦いたすが宜しいかと申し送りしたのです、
重役達をさがらせ、忠長を上座にすわらせ、このたびは誠にもって将軍家におかれましても断腸のおもいに御座います、尾張家におきましてつつがなくお暮らし、
下さいませと言うと、あい分かった、利隆によろしゅう言ってくれ、それから真一朗に尾張へ顔を出すように伝えてくれ、ご苦労であった、これで余もつつが、
なく暮らせるぞと言ったのです、
即日少人数を従え忠長は尾張に旅だったのです、この出来事により、家光は親族といえ、幕府の威光に楯突くものは容赦しないと天下に知らしめたのです、
城受け取りは1月後といいつけ但馬の守は江戸に帰り、軍勢も引き上げたのです、
利隆は若年寄の辞任届けを出したのです、即刻受理され、幕府からは家老以下重臣を預かるよう申しつけがあり、特別の咎めはなかったのです、但馬の守から誠、
に申し訳ないとの口上書きが届き、預ける者は自由に過ごさせて良いと添え書きがあったのです、
後に預けられた者は利隆の家臣として取立てられたのです、笑美と真一朗は利隆によばれ、御前に座ると、これで家光様の約定が果たせてよかったとニコニコ笑った、
のです、利隆様には損な役回りなんと言ってお慰めしていいのか分かりませんというと、
そなたの時代の歴史はこの通りになっているのだろう、歴史は誰もかえられないのだよ、忠長様もこれで騒動にも巻き込まれず健やかにお暮らしできるであろうと、
利隆は瞑目したのです、忠長様が時が来たら真一朗に尾張に会いに来るように言われたそうだ、その内ご機嫌伺いに行って来てくれと頼んだのです、
部屋にもどると、先だって真一朗殿が利隆さまの事を凡庸の殿様として名が残るとはこの事だったのですね、というので、殿様自体が凡庸ではなく時代がそうさせる、
事があるから、歴史の人物像なんて当てにならないのですと答えたのです、
但馬の守もこの後直ぐに老齢の為黄泉の国に旅たちます、柳生十兵衛は尾張家の剣術師範として仕官し裏柳生を広めるのです、しかし、これが新しい火種として、
くすぶり、尾張徳川家と将軍家の確執となって行くのです、
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