陽炎の森17 箱根を出てからは特別怪しい人物とは出会うことなく、駿府の城下に入ったのです、城下に入ると様子が一辺しあちこちの寺に浪人ものがたむろしていたのです、


陽炎の森17


箱根を出てからは特別怪しい人物とは出会うことなく、駿府の城下に入ったのです、城下に入ると様子が一辺しあちこちの寺に浪人ものがたむろしていたのです、

通りすがりの町人に何の騒ぎだと聞くと、江戸と戦になると言う事で、手柄を上げようと全国から浪人が城下に押し寄せて気勢を上げているとの事である、


これはまずい、このままにして置けば忠長様は動きがとれなくなり、不貞な者どもに担つがれて本当の戦になるかも知れない、早く江戸に行って貰わねばならない、

忠長様がいなければ不貞の者どもは担ぐものがなくなり、沈静化するだろうと思ったのです、


さつそく城に上がり、口上を述べると国家老が応対にでた、この騒ぎを放置しておくと、将軍家から謀反と思われますぞと言うと、軍勢を出して追い払うわけにも、

いかず困っていると返事したのです、浪人どもに一切の兵糧を出してはいけない、腹が減れば食い扶持を求めて何処かにいなくなるかも知れないと言ったのです、


忠長様に面会すると、余も困っている、真一朗何かいい方法はないかと聞くので、仲間割れを起こさせて一つのグループにまとめさせないようにしましょう、

国家老の山名主膳に、いくつかのグループに分かれているはずなのでそれを調べるように依頼したのです、


忠長が遠路ご苦労である、家老の屋敷に逗留するように言ったので、山名殿は忠長様擁立派なのですかと聞くと、お父上が亡くなってからは、全員が擁立派なのだ、

慎重派は陰をひそめている、このような時こそ慎重派が必要なのだが、今は過激な者どもを恐れて口を閉ざしている、困ったもんだと言ったのです、


これに利隆様の口上がしたためてありますと、書状を差し出したのです、忠長は読み終わると、あい分かった決して、陣振などいたさぬから安心しろと言ったのです、

それでは、その書状は燃やしてくださいというと、なぜだ、これがあれば利隆が余を諌めた証拠ではないか、後日将軍家への言い訳が出来るではないかというので、


利隆様はそのような事で言い訳なさるお人ではありません、忠長様を守る為にはお家の改易など恐れない覚悟をとっくにしているのですというと、そうか、

そのように思ってもらって余は幸せ者よのと笑ったのです、


ほどなく山名主膳がもどってきて、大きくは二つのグループに分かれているようです、長宗我部の残党と宇喜田の残党で御座るといったのです、わかりました、

宇喜田殿は関が原のおり、西軍総崩れのなか最後まで戦った家臣が多いのは有名です、一方長宗我部軍はそうそうに戦場を離脱したのです、


かの者が騒ぎを起こしては、忠長様擁立はままならぬ、同士討ちを画策して駿河から追い払い、改めて、正々堂々と家光様と将軍後継を争うべきでありましょう、

というと、それでは土井利隆様は忠長様擁立にご賛同くださるのかと聞くので、後見役である以上はそれが筋でござると答えたのです、


土井様が後ろ盾とは心強いかぎりでごぞると言うので、その為には不貞の浪人者を駿河から追い出さなければならないのです、忠長様よろしゅう御座いますか、

と真一朗が言うと、忠長がもつともである将軍後継は余人を交えず、堂々と兄上と戦えばよい言ったのです、


それでは山名殿ご厄介になると言うと、山名はそれでは案内つかまっりますと、大手門横の屋敷に案内したのです、部屋に案内されると、尚が仲間からの連絡、

ですが、柳生十兵衛殿が駿府城下はずれの顕正寺という、小さな寺へ入られたとの事です、駿河の様子を見に来られたのでしょう、


それは都合が良い、我々は宇喜田の残党を炊きつけ、柳生十兵衛殿には恩賞を餌に長宗我部の残党を家光様に寝返させよう、そして駿府の手前の安部川で激突させ、

駿府勢が味方しないとわかれば、両方一割もキズつけば全軍離散するだろう、


後は知らぬぞんせぬを十兵衛殿と私が決め込み、汚い役周りを引き受ければいいのだと真一朗が話したのです、先ほどの忠長様との芝居で山名殿は家臣にどちら、

にも味方もせず静観するように説得するだろう、


それではこれから柳生十兵衛殿に会いに行こう、目立つてはいけないので私一人で行く事にする、皆さんはここでゆっくり、旅の垢をおとして下さいと、山名の屋敷、

を出て顕正寺に向かったのです、


都合が良い事に真一朗の顔を知っているものはいないので、堂々と歩けるのです、浪人どもは恩賞にあずかろうとして、集まった一人だと思っているのです、

顕正寺に着くと寺坊主がお待ちになっていますと本堂に案内したのです、十兵衛がここにいる事がすぐに分かるとは、凄腕の忍びがいるのですねと言うので、

前にお会いした尚殿ですよと言うと、


敵に正体をすぐバラスとはさすが真一朗は策士でござるなあ、というので柳生の手の物が全て、十兵衛殿へ報告しているはずですがと言うと、これは一本とられ、

もうしたと笑ったのです、


これからの策を話すと、なるほど名案で御座る、明日から早速長宗我部の残党を凋落する事にしましょう、本来はこのような事は嫌いなのだが、真一朗殿に頼まれ、

ると、汚い事とは思えないので不思議ですよと感心していたのです、長いは無用ですのでこれで失礼します、時機が来たら知らせますのでよしなにと顕正寺を出て、

山名の屋敷にもどったのです、


首尾は上々ですと、笑美に話すと、それは良かったですね、これで、浪人どもを追い払えば、駿府も静かになるでしょうと笑ったのです、山名家の用人が夕餉の、

したくが整いましたと膳を腰元が運んで来たのです、何もありませんが遠慮なくお過ごしくださいと、膳を置いて出ていったのです、


さあ頂ましょうかと笑美がゆうので、ほら頂きますと言うでしょうというと、本当だ真一朗殿の言葉が移ったみたいと笑ったのです、




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