陽炎の森9 次ぎの日には越谷宿に泊まり、もう江戸は目の前である、ここまで来ると柳生の陰が


陽炎の森9


次ぎの日には越谷宿に泊まり、もう江戸は目の前である、ここまで来ると柳生の陰がちらほら見えて来たのです、千住まできた時5人の男達が前を遮ったのです、

なにか用でござるかと尋ねると、村上真一朗殿とお見受けいたす、我々は柳生の手の者でござる、一歩たりとも江戸には入れる訳にはいけません、古河へ、

お引き上げ願いますといったのです、


それは困りましたな、どうあっても、お通し願いませんかと言って、懐から黒い丸い粒を取り出し、道に投げたのです、パン、パン、パンと凄い音がしたので、

5人は後ろに下がり刀を抜いたのです、今のは脅かしただけだ、これは今の10倍の威力があり、そなた達は一瞬で粉々になるぞ、と一回り大きな黒い丸い玉を、

出して振りかぶると、


頭らしき男が引けと命令した、ここは一旦引き上げますが、又いずれ江戸で会う事になるでしょうと、刀を納め走りさつたのです、姫が今のはなんですかと聞く、

ので、これはかんしゃく球と言う花火の一種で、私の時代では子供が道に投げつけて遊ぶのです、どうしてそのような物を持っているのだと言うので、


山に入って、熊に出くわした時に、脅かすように持っていたのです、今回何かの役に立つだろうと持って来たのです、もっとも今持っているこの大きなやつは、

偽者ですと、思い切り道に投げると、みんなが、声を出してかがんだのです、何の音もしません、ああ、ビックリした脅かさないでくださいとメイが言うと、


だから偽者と言ったでしょう、あの者達も、先ほどの音を聞いているので、これが破裂したら本当に粉々になると思って、引き上げたのですよと笑ったのです、

姫がまったく、真一朗殿はなにをするのか見当もつかない人ですね、私もビックリしましたよというので、昔から敵を欺くのなら味方からというではありませんか、

驚かして、誠に申し訳ないと頭を下げたのです、


土井家の上屋敷は神田橋御門の西側にあり、屋敷の門を潜り、邸内にある村上家の江戸屋敷に入ったのです、用人が出迎え部屋へ案内したのです、部屋に案内、

され荷を解くと、メイがお茶をたてたのです、それでは着替えてきますと、メイが自分の部屋行くと女中が出迎え、ほこりを落とし着替えたのです、


メイが入って来たので、さっそく、姫の部屋へ行くと、入り口で江戸家老、山脇主善でござると挨拶するので、村上真一朗ですと返礼したのです、

殿も真一朗殿の到着を待ちかねておられました、今宵は笑美様ともども挨拶にくるようにおおせつかっています、


時刻に向かえに来ますので、よろしくと言うと部屋を出ていったのです、笑美が道中ご苦労様、これからが正念場です、よしなにと言うので、柳生のさっそくの、

出迎えご苦労な事でしたと笑うと、ほんに、今頃は真一朗殿の事を手ごわい相手だと但馬の守に報告しているでしょう、


これから、どうしますかと聞くので、明日でもこちらから但馬の守の屋敷にでむきましょう、さぞかし、驚くことでしょうよ、そうですね、戦はまず先制攻撃で、

す、中央突破を試みましょう、なんだか楽しくなってきたわと笑ったのです、


風呂で汗を流し、夕食を済ませ待っていると、江戸家老が向かえに来て、笑美を伴い奥の間につれていったのです、二人で平伏して村上真一朗にございますと、

挨拶すると、さあ二人ともちこうと言うので、案内されたお膳の前に座ったのです、余が利隆じあ、真一朗か義清からの知らせで聞いておるぞ、正座が苦手らしいな、

余も苦手なのだ、さあ足を崩しても良いぞと利隆もあぐらをかいたのです、


笑美も息災であったかと聞くので、奥方様、お殿様にはご機嫌といいかけると、そとのようなかた苦しい挨拶はよい、そなたが義清の娘子かよく出府してきた、大儀、

であると奥方が笑美に声をかけたのです、


義清がメイと尚にもそなた達もご苦労であった、二人の世話は頼むぞと声をかけ、それではと杯を重ねたのです、くに元からの知らせでは真一朗そなたは柳生の者を、

簡単に打ち据えて、酒まで馳走させたそうではないか、さぞかし柳生の者は驚いた事であろうと笑ったのです、


そちは但馬の守が余に忠長様擁立を進める意図はどこにあると思うか、きたんのない所を話してみろというので、後継者は家光様と決まっているのに、画策する、

のはお江の方様へのゴマすりだと思います、いずれは家光様が3代将軍になられるのは間違いありません、但馬の守は忠長様擁立を承知した大名を、家光様が将軍、

になられた時、難癖をつけて取り潰す事を家光様に進言し、


幕閣に取り入り、勢力を拡大しょうとする為だと思います、この一件は家光様はご存知なのかも知れません、と話しを結ぶと、なかなかの見識である、余もその通り、

であると思うのでのらりくらりと話しをかわしているのだがと利隆は言ったのです、


私にお任せ下さい、明日でも柳生に乗り込み、お灸をすえてやりますと言うと、どうするのだと聞くので、道場の弟子を痛めつければ、師範代が出てくるはずです、

これを打ち負かせば柳生流のメンツが立ちません、私を生きて屋敷から出さないようにするでしょう、最後に但馬の守に会わせるようにいえば、必ず出てくるはず、

です、


但馬の守に今の話をして、後継者の家光様が一枚噛んでいると大名達に漏らすといい、手はずは整っている、もし私がもどらなければ、この文書をお江の方、

忠長様へ真っ先にながす事になっており、これを見れば秀忠公も家光様を廃嫡しなければいけなくなり、仕掛けた柳生も口封じに潰されると脅かすのです、


なに柳生を脅迫するだと、但馬の守は恐ろしいぞ、簡単におどかせるかなと聞くので、鳥も懐にはいれば猟師もこれを撃たずということわざ通り、脅かされた事が、

いままで無く、人を脅かしているやからですから、自分が脅かされれば意外と弱いものだと思いますと言ったのです、


分かった明日指定の時刻までに帰えらなかったら、余がじきじきに向かえに行こう、合戦支度でだぞ、これは本当だと笑ったのです、すぐそこに、但馬の守との対決、

が迫っていたのです、この真一朗の破れかぶれの戦術は成功するのでしょうか・・・・・



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