陽炎の森5 次ぎの朝メイが真一朗様お目覚めですかというので、今起きるよと言って寝間をでると、おはようございます、これで顔を洗ってくださいと、塩と手拭いを、


陽炎の森5


次ぎの朝メイが真一朗様お目覚めですかというので、今起きるよと言って寝間をでると、おはようございます、これで顔を洗ってくださいと、塩と手拭いを、

渡したのです、塩は赤穂の塩です、あまい味がします、指につけて歯を磨くのですと教えてくれたのです、


メイが言った通り。少しあまい味がします、指につけ歯にこすり付けて磨くとサツパリしたのです、うがいをし顔を洗いサッパリすると、これに着替えてください、

というので、着流しではダメかなというと、そうですね、殿様とあうわけではないのでよろしいですよ、姫様も堅苦しいことはさせないようにと言っておられ、

ましたよと笑ったのです、


ほどなく朝餉が運ばれてきて、メイが給仕をして食べたのです、食べ終わると、お茶を差し出し、姫様付の腰元が呼びにくるまでゆっくりしてくださいと、メイは

お膳を持って出ていったのです、しばらくして戻って来て、姫様が風邪をめされた見たいで、今日の野がけは取りやめにすると言う事でしたと言ったのです、


そうか、それでは見舞いに行くかと、メイを伴って姫の部屋に行くと、姫が起き上がろうとするので、そのまま寝ててください、傍にいた腰元に熱はあるか聞くと、

少しあるみたいです、今薬師を呼んでいますというので、それでは台所へ案内してくれとメイに頼むと、男は台所には入らぬものですがと言うので、かまわない、

案内するようにいい、台所について行き、


生姜は無いかと聞くとありますと差し出したので、私の言うとおりに調理してくれと頼み、蜂蜜はと聞くと、これも御座いますというので、それではまず生姜、

をすり潰し、そこの布にいれこの湯のみに絞るのだ、絞り終わったら蜂蜜を加え、熱いお湯を加えるのだと指示したのです、後はゆりの球根をすり潰し手ぬぐい、

をぬらし、その中に入れて巻き部屋まで持ってきてくれと頼み、


メイにその湯のみを持って姫様の部屋へ行くぞと声をかけ、部屋へ戻り、腰元に姫様を起こしてくれと頼み、姫に湯のみを差し出すと、くすりかと聞くので、生姜湯、

です、これを飲めば体が温かくなりますよ、と渡したのです、姫が飲むと、あまいではないか、なかなか美味しいぞと言ったのです、


台所から腰元が球根をすり潰した手ぬぐいを持ってきたので頭にあてると、ひんやりするので、気持ちがいいと姫がいい、そなたは医術の心得もあるのかと聞くので、

こんな物は医術の内に入りませんよと笑ったのです、


これで体が暖かくなるので汗をかいたら直ぐ下着を取り替えなさいと、姫付の腰元に指示したのです、今日は、野がけの相手が出来なくてすまんと謝るので、

いいんですよ、これで良くなるので直ぐ行けますよ、それでは生姜湯はまた昼過ぎに飲ませてくださいと頼み、部屋にもどったのです、


メイがまたまたすご~いと感心するので、私が教えた事を何かにき書いておけば後で役に立つよと笑うと、そうですねと、どこかから、日記帳みたいなものを、

持ってきて書き、これはメイの虎の巻ですよとはしゃいでいたのです、


今日は暇だから、また城下を案内してくれるかなと言うと、承知しました、今日は芝居見物でもしましょうと喜んでいると、先ほどの姫付の腰元が部屋に来たのです、

私は姫様付きの腰元で尚と申します、城下に柳生の手のものが入り込み、なにやら、様子を探っているらしいので気をつけてくださいと言って、帰っていったのです、


メイが尚さんはくの一で姫様の警護役でもあるんですよと言い、お殿様と柳生様で何かあるのでしょうかというので、多分将軍の後継者の紛争の続きだろう、

どういう事ですかと聞くので、世継ぎは長男の家光様と決まったが、秀忠公の奥方お江の方と忠長様が納得できないらしく、不穏な動きがあるらしい、女がカラムと、

めんどくさくなるのさ、


ここの殿様が巻き込まれなければいいが、柳生が力を得る為に将軍後継に暗躍しているのだろう、真一朗はこんな事に巻き込まれたくはないなあと言ったのです

屋敷を出て、本木町の見世物小屋へ行くと、勧進著帳の看板がかかっています、へえこの時代からあるんだと感心していると、この芝居はご存知ですかと聞くので、


武蔵坊弁慶が義経公を逃がす為、主人である義経公を関所で金剛杖で打ち吸え、それをみた関所の役人が、感動し関所を通すという芝居ではないのと聞くと、

その通りですよ、よくご存知でね、私はあの義経公を演じている役者、坂東妻三郎が大好きなんです、とても凛々しいんですよとほほお赤らめたのです、


芝居を見るとなかなかの歌舞伎です、随分古くからあるんだ~と感心していると、素晴らしいでしょう、何度見ても惚れ惚れしますとメイが言ったのです、

枡席に座ると、二幕が終わったところで、小屋の者が弁当を持って来たのです、ほう弁当付かとお重箱をあけると、幕の内弁当です、さあ食べましょうとメイが、

言ったのです、


なかなかの味付けです、美味しいと言い、姫が病気なのに芝居を見てていいのかなあというと、真一朗様と一緒に芝居見物に行ったと、姫様に言ったら私はそんな、

物は好かんといいますよと笑ったのです、そうか、芝居みたいな軟弱なものはお嫌いなのか、それは困ったなあと真一朗は頭をかいたのです、

しかしこの二人を見張っている、浪人の格好をした男がいる事を二人は知りません、すぐそこに危機が迫っていたのです、


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る