第2話

 化け物に噛まれたの、と彼女は言った。

 身体は生肉を求めるだろうし、もう家族も家族と思ってくれない。

 きっと私に同情してくれるのはあなただけよ、と彼女は言った。

 そんなことない、クラスのみんなだってきっと。

 きっと蔑むわ。


 絶望的な声で彼女が言う。

 彼女は私に背を向けた。

 そしてフェンスを越えていく。


 駄目。そんなことしたら危ない。ゾンビの身体がいくら頑丈だからって、七階から落ちたら死んじゃうよ。

 死んじゃうためにするのよ、と彼女は笑った。


 さようなら、ロザリア。生まれ変わっても友達になってね。


 透明な笑顔で彼女は、彼女は――。


「リルカ!」


 薔薇十字ロザリアは今日も自分の叫び声で目を覚ました。

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