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 アルスたちは今警察署に向かっている、隣を歩く青年が脇に抱えている男を引き渡すためだ。

 着くまでの間の数分だけ青年と話していて分かったことがある、青年の名前はクラウス・メビウス、アルスの比較にならない高身長にブロンドの髪、着ている服は紺色の上着に黒色のズボンと地味な服装にしている、しかしすれ違えば誰もが振り返りそうな優れた容貌が服装など気にさせない。


 クラウスは十八歳で兵士をしているが、今日は非番だったため実家で一人暮らしをしている妹が経営するレストランのコロンを手伝いに帰っていたらしい、そしてクラウスが食材の買い出しをしている最中に襲撃があったというのが話の一部始終だ。


 警察署が遠目に見える場所に着くとアルスに待っていてほしいと言い残してクラウスは一人で警察署に出向いていった。

 もしかすると同業者同士で他人に聞かれてはいけない話があるのかもしれない、アルスは勝手に納得した。


 クラウスは数分程度で戻ってきた、ただ行った時と変わっている部分があるそれは右腰に剣が携えられている。

 そういえば妹が兄さんの剣を返してと言っていたのを思い出した、あの男が隠し持っていた剣を取り返したということだろう、鞘には文字のような刻印がされているが読むことはできない、クラウスの剣もアルスと同じくらいの長さである、アルスと違うところは長身のクラウスは身の丈に合っていて英雄然としているということだろう。


 「遅れてしまってすまない、犯人が持っていた四次元袋にぼくの剣が入れられているのは知っていたんだが、袋を探すのに手間取ってしまった」


 柄の頭を叩いて遅れた理由を謝罪した。


 四次元袋とは巾着程度の大きさの袋だが、機能がどんな物や生物でも入れることのできる魔法のような袋だ、ただし入れることのできる物は大小関係なく一つのみである。


 しかし四次元袋はこの世界に数えるほどしか発見されておらず制作者も不明、そんな代物を中々見ることはできない、犯人も自ら見つけて所持していたとは考えずらい。


 それに四次元袋と当たり前のように口にしたクラウスは平然としている、その方がよっぽど不気味である、一兵士がそんなものを目にしたら目が眩みそうなものだ。

 事実アルスは四次元袋と聞いて、目が眩むまではいかずとも警察署に行って見てみたいぐらいには思っていた。

 

 「それよりこんなところで立ち話も何だから、どこかの店で飲みながら話そう」


 おう!と返事をするが、あれ?ぼく未成年・・・・・・

 まあいいかと開き直り、クラウスが一押しするお店へと入店した。

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