はらきよ
「直毘である!」
伊豆能売と共に産まれ、力を合わせて仕事をするのだ。
破壊神などと称されるような何かしらではない。
仕事は、全てが仕舞となる定めが定まったのちに腐ってゆく未来のみが残る世界の時間を祓う。祓うのみならず清める。か細く残っている更なる世界の成り立ちをやり直す猶予を生み出す段取りの下地とする。清める場合は更に世界を均すのである。
直毘たる俺の仕事である!
伊豆能売の仕事は俺の四肢のどれかを掴んで世界の中心にブっ込むのみである。
「反省しろ~!」
ぶん投げた。
何回目なのか、もう忘れたわよ!
これまでに何度か直毘の頭を掴んで世界の内容物に叩きつけた事がある。彼自身をやり直させられるのではないかと思って投げつけてしまった。
いまいち何を直すべきか理解していない奴を私は叩きつける。
しかし直後には極めて硬い岩盤等に衝突する事もあるので反省どころではなく、衝突の衝撃で頭が砕けて意識が途切れてしまうから如何ともし難い。頭が無くなった時点で強制オートお祓いお清めの発動ね。
世界のよろしなくなった内容物部分だけを祓うだけでも十分な時間帯であり、様々なモノが残った状態からやり直しをさせられるケースも稀にあった筈。
次男もつい投げつけた事が有ったんだけど、航跡に一直線な雲を曳きながら楽しそうに笑いながらすっ飛んで行く次兄の様を見た。
「うおほあああああーひぇぉおーうううひゃほおうー」
「ぷっ」
猛烈に憤慨と怒りを込めてぶん投げたのについ吹き出して笑ってしまった。
広げて伸ばした四肢と掌の角度を微妙に細かく操作して飛翔するコツを掴んだのか、きゅるきゅると渦を描きながらすっ飛んで行く方向を変えて様々な障害物をすり抜けて、既に営みも熟し果てて文明の終焉すら見えて来そうな程の、そすして文明が巻き散らした
「
「俺ならこの世界の者達によって固められていた人造生物の塊に衝突していたなっ。兄上流石である!」
投げつけられる専門の脳筋は次兄を絶賛しきりだ。まったく気楽で羨ましいよ、もう。
「
次兄は掴んで投げつけても感情的にも情緒的にも何の効果も成果も得られない事実を現認してしまい、怒鳴りながら脱力を来してしまう伊豆能売だった。
当たり前だけど開闢当時に仕込んで以来、予定されていない雲を次兄が野放図に追加してしまったよ。
「アニキー・・・・、中に水をばら撒いちゃったじゃん、どうすんのよ?絶っっっ対お兄様とイクちゃんにイジられるよ?」
全てのモノが混じり合い数多の神々が技巧を尽くし手を加えて仕上げられて、自然発生して増えた生物等が繁栄々枯盛衰の真っ最中の世界は割と過ごし易くバランスが整っていたのにね。
「なっはははあ、直毘よー!雲と水祓ってこいよ!」
「!、・・・・・・・」
水は神の造物だから不可能なのよねえ。
でも格上の次兄からの達成不可能な指示を受けてしまった直毘は思考停止してる、無碍にも程があるわー。
やれやれよ。
近場に通りかかって此方のやり取りを眺めていた
兄貴と次男と三男三女 石窯パリサク @CobaltPudding
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