第2話ときめき side雛
ど、どうしよう。思いっきり逃げてきてしまった。介抱してもらったのに!!
後ろを振り返るが、追いかけてくる様子もない。そりゃあそうか。
碧君は18歳。顔もかなりイケメンだった。男の人っていうんじゃなくて、どこか幼さを残す、中性的な顔立ちのイケメンさんだ。
そんな彼にとっては、23歳で何の魅力もない私みたいな女なんか、ただのオバサンだ。
ハハ、なんか、自虐的になっちゃうな...
だってこんなオバサンが酒に呑まれて未成年の子に絡んで介抱してもらうなんて。しかも、絡んだ内容が失恋とか、どんな笑い話よ。幸い碧君が優しい子だったから襲われずに済んだけど、変な人だったら、襲われて、最悪妊娠しちゃったりもする。知らない人の子なんて、嫌に決まってる。なんでこんなことになってんだろ。どこで間違ったのかな?
あぁ、やだなぁ...なんか、もう、色々と辛いな...
振りかえると夕焼けが見える。家に帰ろう。今日と明日はどっちみち会社休みだし。
「居た!雛さん!!」
え?
「はぁ、はぁ、急にとびださないで、!」
「...え?」
「え?じゃない!!いきなり走り出して、どんだけ心配したか...」
息も上がってて、少し肌寒くなってきたのにも関わらず、額には汗が...
どれだけ心配してくれたか嫌でも分かる。
「えっと、ごめんね?ほ、ほら、私は大人だから、大丈夫だよ?」
「大人?」
「へ?う、うん。」
23歳だもん、大人でしょ?...大人だよね?
「いや、年齢じゃない。」
「?」
相変わらず心の声を読み取ってくるけど、年齢じゃないならどういうこと??
「はぁー、あのさぁ、もう少し危機感もって?」
「??」
「あぁ、もう!雛さん、ここがどこかわかってるの!?帰り道もわかるの!!?」
あ...
「ほら、これからどうするつもりだったの...暗くなったらこの辺り物騒なのにさ、女1人で、しかもそんな無防備に歩いてたら襲ってくださいって言ってるようなもんだよ?」
「む、無防備じゃないもん!」
ちゃんと携帯も持ってるし!
「っ///ほら、もんって大人がつかう言い方じゃないでしょ?」
「ーーっ!!///」
「はぁ、でも、ほんとよかった。」
ほんとに安心したような顔。思わずキュンってしたのは碧君がイケメンなせいだ。うん。決して本気でときめいた訳じゃない。
って誰に言い訳してるんだろう...
「とりあえず、雛さん、帰ろう?送ってくから。」
「え、いいい、いいよ!?」
「俺がダメ。雛さんを1人で帰らすとか心配。」
「だから、そんな少女じゃないよ?」
「それでも女でしょ?」
「そうだけど...!!」
「ほら、いーから。一緒に帰るよ。それともさっきの部屋に戻る?」
「~っ!帰る!!」
「はは、じゃあ、ほら、帰ろ?」
そういって強引にだけど、優しく手を繋いでくれた彼に、安心感を覚えたのことはやっぱり私の秘密だ。
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