酒は飲んでも呑まれるな!!
薊
side雛
第1話 出会い side雛
「んきゅう...」
頭がボォ~ってする...
「え、お姉さん!起きて!!こんなとこで寝ないで!!」
ん~?だぁれぇ?起こさないでぇ~。
「ちょっと、お姉さん!!」
「んぅ~。やぁ~!ねるのぉ~。」
せっかくうとうとしてるのにぃ~!
「っ!///ほら、せめて自分の家まで帰ろ??」
「やぁ!」
「やじゃないでしょ?ここ、お店だよ??」
おみせぇ~?
「うん。ここ、お店。」
あれぇ?こえにでてたぁ?
「ふ、ふふ。ふっ...うん。さっきからずっと声に出てるよ?」
「じゃぁ、ねるねぇ~?」
「///っ、それとこれとは別でしょ?ちゃんと家に帰って!それからなら寝てもいいよ?」
「んぅ~」
「え?お姉さん??え、ちょっと!ほ、ほんとに寝たの...?...ねぇ...ちょっ...!!...」
あぁ、こえがとおのいていく...
「んん~...って、え?ここどこ!?」
家にあるのより高級そうなベッドに、高い天井、おまけに超広い。ほんとにどこ!?
昨日は確か...そうだ!彼氏にフラれたからヤケになって居酒屋行って、お酒飲んで隣の席にいた男の子に絡んで...あれ?そっからの記憶がない!!!
「んーと、落ち着け、こういう時はどうすべきだ?」
「ふ、ふふ。大丈夫?お姉さん。」
ビクゥ!!
「誰!?」
「あ、ごめんね、ビックリさせちゃって。」
ん?この声って...
「あれ?覚えてない?ショックだなぁ~、俺、ちゃんと自己紹介したのにぃ~。」
やっぱり!名前は...思い出せないケド(ごめんね!)、昨日私が居酒屋で絡んだ子!!
「あ、思い出してくれた?」
「えーっと、ごめんね?名前、もう一回教えてくれない??」
「えー、名前忘れちゃったの?昨日教えたでしょ~?」
「...ごめんね。昨日、君に絡んだことは覚えてるんだけど、その他の記憶が全く思い出せないの。」
「え、あ~、そっか。だから不思議そうに辺り見渡してたんだね。」
「?」
「ここはね、俺の友達んちだよ。」
「え?なんで??」
「俺さぁ、今家なくてさ、だからお姉さん、居酒屋で寝ちゃった後連れてくとこなくて友達んち貸してもらった。」
「そうなの?」
ていうか、私、居酒屋で寝ちゃったの!?
「ふ、お姉さんってさ、顔に出るタイプだよね。」
え?
「うん、さっきから何考えてるかすっごい分かるもん。」
えぇぇ!?
「ふはっ、ほんと、かわいーね。」
かわっ!?
「ほら、もう、可愛いって言われただけでそんなに真っ赤になっちゃって、ほんとに襲っちゃいそうだよ。」
襲っ!!
「うん。襲っちゃいたい。だってお姉さん昨日、あーんなに無防備に男の前で酔っ払って寝ちゃうんだもん。襲って下さい。って言ってるようなもんだよ??普通は昨日の時点でペロッと美味しく頂かれてんだよ??」
~っっ!///
なんでそんなえっちぃ話するの!!///
「もう!お姉さんほんとうぶなんだね...今もそんなに潤んだ目で真っ赤っかになってさぁ、ほんと男を分かってない。」
男を分かってない??///
「うん。全く分かってない。まず、そんな顔で見られたら襲いたくなる。」
もぉ、この子やだぁ!!
「ほら、また可愛いこと考えてるでしょ?」
??なに?どういうことなのぉ???
「あぁ、もう、その何も分かってなさそうなキョトンって顔!!可愛すぎだから!///」
男の子の顔も真っ赤だ...///こういう顔は可愛ぃ...
「今、なんか失礼なこと思ったでしょ?」
ジト目でこっちを睨んでるけど、顔が真っ赤だから可愛いだけなんだけどな...
「お姉さん~??」
「いひゃい!いひゃい!!」
うぅ~。頬っぺたつねらないでよ!!
「...いひゃいって...///可愛ぃな、もう。しかも睨んでる顔まで可愛いし...ほんと、ムリ///」
ん?なんて??
声が小さすぎて聞こえなかった...
「ねぇ、今、何か言った??」
「っ、なんでもない///」
??ほんとにこの子は謎が多いな...
「...って、あ!」
「!?」
あ、今度は驚かせちゃったかな?男の子の肩がビクッ!ってなったもん。
「なに?お姉さん。」
「名前!!まだ聞いてない。」
「あぁ、名前ね。俺は、
なにか、訳アリって感じだね。うん。いいよ。何も聞かないでおくよ。
「碧君ね。分かった。」
「お姉さんは?」
「え?」
「だから、お姉さんの名前は?」
「えっと、
「じゃあ雛さんって呼んでもい?」
「いいよ。」
「雛さんは、俺のこと碧って呼び捨てでも良いんだからね?」
「さすがに会って間もないんだから、ちゃんと碧君って呼びます!」
「あ、敬語もいらないよ。雛さんの方が年上でしょ?」
「うん、多分。私、今年で23になるよ。」
「ふーん、じゃあ、俺の5つ上だね。」
「5つ...って、18歳!?高校生!?」
「うん。そうだよ?」
「え?でも、居酒屋にいたし、え、お酒...あれ、未成年が飲酒!?それって、えぇぇぇ??」
軽くパニックだよ!あぁ、涙まで出てきちゃった。
「ちょ、雛さん、落ち着いて??」
「ふぇぇ、え、でも、だって?」
「大丈夫、俺、昨日居酒屋にいたけど、酒は飲んでない。」
え?飲んでないの??
「うんうん、飲んでないから。」
「でも、居酒屋にいたよ??」
「あー、もしかして、いや、もしかしなくても雛さんって普段居酒屋に行かないしお酒もそんなに飲まないでしょ。」
「ふぇ?うん。」
「あのね、居酒屋でも、未成年が酒飲まないんだったら入れるとこもあったりすんの。」
「そうなの?」
あ、涙が止まった。
「うん。昨日は俺知り合いと一緒に入って知り合いが先に帰っちゃっただけだもん。あぁ、もうそんなに泣いて。」
「だって、未成年に絡んじゃったんだって思ったら、どうしようってなって...」
「はは、雛さんほんとに23?なんか、俺と同い年です。って言われても納得できるんだけど。いや、年下でもイケるよね。」
「な!失礼だよ!?」
ちゃんと成人してますから!!
「ほら、そういってすぐムキになるとことか。」
か、完全に遊ばれてる...
「ほーら、そんな怒った顔しないで、冗談だから。」
「顔がニヤニヤしてるよ?」
「......」
あ、目ぇ反らした。
...もう怒ったもん!!
「ひ、雛さん?何してるの??」
「...別に。帰る用意してるだけじゃない。」
そう、帰る用意をしてるの。
「え、もう帰るの?てか、この金は??」
「お礼。家無いんでしょ?だったらお金に困ってるんじゃないの?じゃあね、昨日はありがと。助かったよ。」
「え、ちょ、雛さん!?」
なに、焦った声出してるの?別に私社会人なんだから、お礼はちゃんとするよ。
「バイバイ」
「まっ、別に俺、そんなつもりじゃっ!」
「私、社会人なんだからこのくらいの常識は弁えてるつもりだよ?ちゃんとお礼はしなきゃならないでしょう?」
「っ!じゃあ、連絡先教えてよ。また今度奢ってもらうじゃお礼にならないの??」
「...うん。君は遠慮しそうだもん。だから、そのお金は受け取って。じゃあね。」
なんか、どんどん話がずれてく。私はケンカしたい訳じゃないのに。これ以上ここにいたら、絶対後悔するくらいにケンカしちゃう。
「じゃあね、さよなら!!」
「雛さん!!」
後ろで碧君が叫んでるけど、私は振り返るもんかと全力失速で飛び出した。
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