2日目
となるとこの人生で考えられることは2つ。
1つ目は、今後説明文通りの人生に変わっていくという説。
でも、こないだ俺は聞いてしまったんだ。
俺の刑期があと40年もあるということを。
40年後、俺がここから出たら何があるっていうんだい?
申し訳ないが、その時にゼロから始めても面白い人生が待っているとは思えないですね。
となると2つ目。
この人生そのものがある種バグのようなものを持っているという可能性。
すべての人生はNLLのコンピューターによって制御されている。
そうだとするとしっくりこないこともなくはない。
じゃあどうすれば……。
わからないことがあったときは知恵袋かゴーグル先生に聞けばいい。なんて言っていたのは3つくらい前の人生だったっけ。
「そろそろいくか―」
何分くらい潰せただろうか。
俺がわざとらしくお腹の辺りをさすりながらトイレを出ると、
「ああ、まだいたんですか」
俺の長期戦に待たされた看守が立って待っていた。
「……さっさと戻れ」
あれだけ待たされてなんも言わないんだね。やっぱりコイツも暇だったという事だ。
「お勤めご苦労」
席に戻る時、隣に座るかわいらしい少女にねぎらいの言葉をかけてやると、
「うざっ」
見向きもされずに、そう返された。
「あー、やっと終わったー」
トイレ休憩を入れてからは真面目に仕事をした。
仕事が終わった後は多少の談笑が許されている。
……多少の談笑。ふっ。
「おつかれ!」
「おう。んじゃ帰るぞ」
午後の仕事が終わった後は9時の消灯時間まで自由行動。
行動範囲は自分の牢屋の中だけだけどな。
「約束覚えてるよね?」
「やくそく? なんだっけ?」
「はあ? 今日の夜いつもの場所集合っていう約束!」
「ああ、そんな話もあったな。約束はしてないけどな」
「じゃあ情報漏らしちゃうけど?」
いい気になるなよ。この黒髪が。
おっといけね。つい本音が。
「わかったわかった。今日の夜だな。7時でいいか?」
「うん。大丈夫」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます