第12話 包丁

大魔王(母)は、大酒飲みでした。

最盛期には、ウイスキー2本はかるく開けて飲んでました。

まあ、それはいいんですが、飲むと勿論、酒乱です。

三日くらい酔っ払ってる事も多かったです。

この時は、完全に魔界モードに「確変中」なので、もしタゲられたら大変なことになります。(親も子もない)


ある日、高校から子魔王が帰ると、また部屋が荒れてます。

「なんか、がっつり、やばい」

家の中を見渡しますが、静かです。

「でも、こりゃ逃げた方がいいな」

と、静かに家から出ようとすると

「こらー!逃げるな!」

う、やばい。

(血が凍るって、体験した事はありますか?)

「逃げるな!」その言葉は子魔王ではなく、他の人に向けられた

もののようです。

「ぶっ殺す!」

声が近づいてきます。

どうやら、外のようですが、かなり近い。


じいが一生懸命走っています……

その後ろから魔王が牛刀3本抱えて、追っかけています。

魔王は「逃げると殺す!」

といいながら、じいを追ってます。

普通、身内なので、殺すといっても、刺す分けない~

なんて、甘い考えは通用しません。

魔王はそんな余裕など、まったく与えてくれません。

中々追いつけないので(じいも命がけ)で、魔王は

一本を掴んで、じいに向かって、スローイング(投げ!)

包丁はじいの側に、グサリと刺さりました。

「ひぇ~」

「こら~!なんでかわす!」

そんな無茶な……助けたいのですが、タゲがこっちに来たら困る。

二刀流になった、大魔王は、ずーと追いかけていきます。

「牛刀を真剣に、人に当てようとする奴、始めてみた」じい談


俺も魔王以外では、見たことないです。

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