第11話 パンの試食

魔王は試食が大好きです。

その日もスーパで試食をしていました。

「これ、あんまりうまくねー」

……声でかい!

パン屋さんのところを通ったとき


「これ食え」

子魔王に差し出された、立派なパン。

「これ、もしかして?これ、売り物でないのか?」

子魔王の問いに、パンを食いながら魔王が答えた。

「試食って書いてある」

「こんな立派な試食はないだろ~」

よく見ると”試食”と書いてある横にカゴに入った

小さく切られたパン。

「こっちが試食だろう?どう見ても……」

嫌な滝汗が子魔王の後頭部から流れる。

「やっぱり試食はこっちで、これは売り物!」

すでに、魔王はで3枚食ってます。

「まずいって!」

子魔王の動揺、お店の人の視線。

しかし、すでに、魔王はそこには居ません。

お店の人が子魔王をジッと見ています。

「まずいのは、おれだったりしている……」


次の試食を開始している魔王を、遠い目で見ていました。

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