第7話 ここだよ~病院にて

実は魔王は心臓が悪くて、今は身体障害者の認定を受ける程です。

しかし、例え死にそうであっても、魔王の諸行は変わりません。

ある日、子魔王が大学病院に、大魔王を見舞いに行った時です。

その頃は、携帯の持ち込みは、病院で禁止されてました。

でも魔王はこっそり、携帯電話を持ち込んでいました。

その時の、魔王の携帯の着信音は、くまのぷーさんの声で

「こ こ だ よ !」でした。

朝の回診が始まりました。大魔王のところに先生が来ます。

「調子はどうですか?」

と先生が聞いたその時です。

魔王の電話に着信が……

「こ こ だ よ!」

「こ こ だ よ!」

「え?」

先生が辺りを見渡します。

「まずい……」困った魔王。


「お れ だ よ!」

魔王は自分の声で、着信音のぷーさんの声を真似ました……

しかもセリフが、なんか違うし。

電話が鳴るたびに

「こ こ だ よ!」

「お れ だ よ!」

が繰り返されます。

一同「………」

その様子をしばらく見ていた先生が言いました。

「げ、げんきそうですね」


死にそうでも、笑いを取りにいく魔王でした。

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