第5話 12/22(金) 22:00

「少し、整理をしてみよう」

食後、お風呂にも入り自室で机に向かい、そう口にする。

部屋に一人でいる時など、自分の考えを整理するのに、リョウコは口と手を動かす方法をよくとっていた。

口にすること、文字を書くこと、で思考を言語化。

耳と目からも情報を再インプットし、自分が何をどう理解していて、わからないことは何か、を明確にすることができるのだ。


「まずは、出現条件について。

 ①サンタを信じること

 ②『良い子ポイント』を貯める事

 これについては、ほぼ間違いない。

 判定方法については……仮説として、おかーちゃんがジャッジして報告、のセンが出てきた。

 学校から帰って、部屋に戻るまでの間に、その日に起こったことなんかは大体おかーちゃんに話しているし。

 報告先は…うーん、わからないけど、仮にサンタ組織としておこう。

 組織があることは疑いようもないし。

 で、サンタ組織には、もしかしたらおとーちゃんも所属しているかもしれない」

言いながら、紙に『出現条件』を書き、その下に『おかーちゃん→サンタ組織』及び矢印の上に『報告』と追記する。

さらに、『サンタ組織』を○で囲った後、○の中には『おとーちゃん?』と書き込む。

これまで、過去4年間で書いてきた図と比べて、仮説まみれではあるが具体性は出てきた。


「次。

 サンタ出現時の状況。

 ①出現の前後でビデオが映らなくなる

 …いや、違う。

 ①23:55~24:01までの間、ビデオに映らなくなる。

 この時間は、決まっているのかな。

 あれ?23:55……??」

ペンを止め、記憶を掘り起こす。

1年前、2年前、3年前……。

「うん、そうだ、間違いない…と、思う。

 何故か毎年23:55になると急激に眠気が来てる。

 今年こそ、って時計を見ながら待機してるのに、23:55を最後に記憶がない。

 と、いうことは…

 ①23:55になると、何故か眠ってしまう。

 ②23:55以降、ビデオには何も映らなくなる。

 が正解、か」

ふぅ、と息を吐き、ぐぐっと伸びをする。

凝り固まった肩を回し、深呼吸をして頭をリフレッシュ。

「うん、これまでとは、違う気がしてきた」

きっかけはやはり、友人の一言だろう。

「よし、では捕まえるために、なにをしたらいいかな…」


その夜、日付を回ってもリョウコの部屋の電気は消えることはなかった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る