第3話 12/22(金) 16:00

「じゃあね、リョウコ。

 もし本当にサンタに会えたらヨロシク言っておいて」

「任せて」

1人、また1人、と別れながら帰り道を歩く。

今はもうリョウコともう一人の友人のみになっていた。


「ねぇ、リョウコ」

「うん?」

「さっきのね、話。

 ちょっと考えてみたんだけどさ、リョウコの母親とサンタは関係あるんじゃないかな?」

歩きながら、おもむろにそう切り出す。

「いや、だからさ。

 親がサンタかも、ってのはもういいんだって」

ひとまず


◎何かはわからないが不思議な事が起こっている、

◎リョウコはそれに対してCN《コードネーム》:サンタと名を付け、正体を知りたがっている


ということで、さっきの話は結論が出ていた。

それを、やっぱり違うのでは?と否定されたことで、苛立ちを隠さずに答える。

「ああ、ごめん、そういう意味じゃないのよ」

リョウコの苛立ちを察してか、慌てて否定を返す。

「そうじゃなくてね。

 リョウコのお母さんが、5年前に言った言葉


 『あなたが信じていたらいるし、信じなければいないのよ』


 が、妙に引っかかるんだよね」

「引っかかる?」

「うん、なんというかね。

 リョウコがサンタの出現条件に満たせるように動いているような印象を受けたのよ。

 そのきっかけが、あの言葉」

「……言われてみたら、そうかもしれない」

過去の、色々な母親との会話を思い出してみると、確かに、思い当たる節がある。

「だからね、母親=サンタ、って話じゃなくてね。

 CN《コードネーム》:サンタを構成する組織があったとして、その関係者なんじゃないかな?ってこと」

「…なるほど……」

今まで、リョウコが考えもしなかった発想である。

だが、CN《コードネーム》:サンタが少なくとも1人ではないことは、プレゼントを配る人数を考えれば当たり前にわかっていることであり、そう考えれば『組織』で動いていることは当然と言えば当然のことである。

「うん、ありがとう。

 もしかしたら、捕まえるためのヒントになるかもしれない」

「役に立ったならよかった」

にっこりと笑い、ちょうど家路への別れ道を逆に曲がっていった。

「じゃあねリョウコ。

 25日には結果教えてね!」

「うん、任せて!」

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