第2話
悪魔は口を開いた。
「俺は今まで色々な人間を見てきた。俺を前にして絶望し全ての感情を捨てる者、泣き叫び許しを乞う者、ただ穏やかに諦める者、崇め拝み讃える者、怒り狂える者…だが、お前はそのどれでもない。お前の様な者は実際初めて見る」
少女は物珍しそうに男の方をじろじろと見た。
「私の様な人間は案外、そこらじゅうにいると思いますよ」
「ほう、俺は余程運が良かったらしいな」
心の底から嘲るような声が男を抉った。男は何とも居心地が悪そうに目を伏せ、唇を何やらモゴモゴと動かしていた。しばらくまた沈黙が二人の間に流たが、やがて悪魔が何か思いついたように男に問うた。
「お前に何か大切なものはあるのか」
汚泥に語る悪魔 明日原 藍 @asupara118
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。汚泥に語る悪魔の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます