ウリエル

イ「今日の任務はどっこかな〜」

マ「おはよ、イーリちゃん

  今日の担当範囲は……北部だね」

イ「北部かあ……工場しかないから退屈なんですよね」

マ「仕事なんだから、あんまりそういうこと言っちゃダメだよ

  まあ気持ちはわかるけどさ」

イ「んー、じゃあ今日も頑張って行きますか」

マ「うん、いってらっしゃい!」

イ「は〜い」


イ「待機場所はこの辺りか……今日は誰と一緒なんだろ」

フ「よ、残念ながら今日は俺だよ 夕方までのんびり頑張ろう」

イ「あれ? フェゼさん狙撃手ですよね?

  巡回に参加するんですか?」

フ「高台で監視する感じだね、退屈だろうけど我慢してくれ

  イーリもスナイパーになる可能性あるし、見学しとけってことだ」

イ「退屈なんですか〜、ただでさえ北部って何もなくて暇なのに」

フ「歩かなくて済むから、俺は楽だと思うけどな」


イ「……」

フ「……うーん、やっぱり暇だな

  どうやっても誤魔化せねえよ、退屈なのは」

イ「今、この辺りにある工場を全部ドミノ倒しにするには

  どこから始めればいいか、考えてました」

フ「あー、そうするとあそこの鉄塔がすげー邪魔なんだよな」

イ「なんであんなところに建てたですかね

  倒す側の気持ちも考えてくれればいいのに」

フ「発電所に鉄塔なかったらどうやって電気送るんだよ」

イ「あ、あそこ発電所なんですか

  全部同じ建物にしか見えないですけど」

フ「狙撃手として見える範囲を理解しておくのは大事だからさ

  隊員間の連携するにも、場所がわからないと不便だし」

イ「んー、じゃあこの辺りの建物

  何の工場なのか把握してるってことですか」

フ「だいたい、ね」

イ「じゃああれは?」

フ「農薬の研究所だよ」

イ「あっちの煙突があるのは?」

フ「鉄器工場だね 食器から農具まで何でもござれだ」

イ「ふんふん じゃあ端っこにある一番大きい工場は何なんですか?」

フ「ああ、あれか あれはウリエルの工場だよ」


イ「ウリエル?」

フ「知らないの?

  ほら、街中にある照明のことだよ、眩しいやつ」

イ「ああ、あれウリエルって名前だったんですか」

フ「そ、何でも闇の呪いに良く効くんだってよ

  どうやって調べたのか知らないけどさ」

イ「人類を救う大発明! ってやつですね」

フ「でも、原材料の鉱石は大昔からずっと知られてたって話なんだよな

  何の役にも立たないから誰も気にも留めなかっただけで」

フ「今じゃ偽造によって混乱や供給不足が起きないように

  採掘場は国の管理下だよ」

フ「だから直接見に行くことは出来ないぜ

  残念だったな、イーリ」

イ「ちえ〜」

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