修練場
フ「お、あんなとこにいた
おーい、新入り二人」
イ「?」
ネ「どうしたんですか、フェゼさん?」
フ「班長からのお達し」
フ「今夜、キースさんが君らの実習を担当するんだって
だから午後5時に正面玄関集合すること」
フ「んで、それまでの間は俺についてきて
警備隊の修練場の利用法を教わること、だって」
イ「しゅうれんじょう?」
フ「まあ特訓するための道場、みたいなものかな」
イ「すみません、なんていうか、建物には詳しくなくて」
イ「ずっと森の中で、狩りとかして生きてたんで
施設とかの名前、よく知らないんです」
ネ「狩猟民族ってこと!?
初耳だ……」
フ「なるほどねえ、なら隠密行動や危険察知はお手の物だろうね
あのクソみたいな試験も、余裕綽々ってやつ?」
イ「いや、そんなことは……」
フ「おっと、悪い悪い脱線した
道草食ってる場合じゃないね、修練所に行こう」
(音)
イ「床が柔らかい……」
フ「ストレッチや筋トレ、体術用の部屋だからね
涼しくなってきた今はまだマシだけど、夏は最悪の匂いがする」
ネ「向こうの部屋はなんですか?
すっごい厳重というか、強固壁に見えますけど」
フ「あっちは武器やら携行品の取り扱いをする部屋だね
拳銃撃ったりナイフとか振り回すスペースだよ」
フ「んで、あっちのやたら長い廊下みたいなのが
特製の狙撃練習所」
フ「100m先の的を狙うっていう原始的な練習しかできないけど
それすらできなけりゃスナイパーにはなれないってこった」
ネ「その言い方からすると
フェゼさんはスナイパーってことですか」
フ「そだね、ちょっとやってみせようか
俺の数少ない自慢できる特技だしね」
イ「いや、大丈夫です」
フ「そんなこと言わないで……」
ネ「お、俺は見てみたいですから!
ぜひご指導ください!」
イ「私もやってみたいです
教えてください!」
フ「あくまでも見たいわけではない、か……
まあいいよ、狙撃手なんて人目から隠れてなんぼだし」
(音・足音&ドア)
フ「弾はこっから入れて、こっちのレバー弾いて
スコープ覗いて吸って……取る!」
(音・銃声)
フ「横のボタンを押せばモータで紙がこっち側に引き寄せられる」
フ「記録は、5mmってところかねえ
やったね! 凄い!」
(音・拍手)
フ「まあこれしかできないんだけどね、俺」
フ「ということで、スナイパーになりたければここで練習しとくこと
部屋を使うときは任務と同じように受付に書類を出すこと」
フ「修練場にはたぶん俺かケティかのどっちかはいると思うから
困ったら遠慮せず聞いて、んじゃね」
ネ「はあ、凄かったなあフェゼさんの狙撃
俺もできるならあんな風に命中させてみてえよ」
ネ「でも、なんで案内役がフェゼさんだったんだろう?」
イ(たぶん、いろんな人にしごかれてるうちに施設に詳しくなった
とか、そういうことなんだろうなあ)
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