第33話 にゃんにゃん

「覚えてるヨね? 泥棒猫小町」

「そなた……まさか、サテナ・デヴィリか?」

「そうだヨ」

 こいつら知り合いだったのか。小町さんは顔が広いな。

「……ところで、泥棒猫とは?」

「小吉には関係ないヨ。これはあたしとあいつのことだヨ!」

「いやでも、一応俺はサテナのご主人様なもんですし……?」

「……」

 サテナは少し黙り、小町の微笑みを見て答えを出した。

「あいつ、小野小町は、あたしら悪魔から周期の力を奪った泥棒だヨ。そのために……セタが……」

「セタ?」

 誰それ。

 サテナの話を聞くと小町さんはフフフと笑い、頬を赤らめて言った。

「あの男はたいそう美味であったぞ。わっちの力だけでなく、腹の足しにもなった」

「ま、まさか……」

 小町さん、かなり恐ろしく強いんじゃ……。

「サテナ・デヴィリよ! そなたの弟、セタ・デヴィリの力はわっちのもの! つまりそなたはわっちには勝てぬ。引くが身のためじゃ!」

「うるさい! セタの仇だヨ!」

 小町さん、悪魔喰ったんか……。

 セタくん、サテナの弟って、どんな暴れん坊だったんだろう。

「と、傍観者になっとる小吉もかなりのサイコパスやな……」

「勝手に人の脳内をサイコパスにするな。全然違うし」

「ありゃ」

 目の前ではサテナと小町さんのガチバトルが繰り広げられている。そんな状況下で呑気に眺めている俺は、もしかしたらサイコパスで間違いないかもしれ、な……。

「サテナ! 悪魔食うやつなんか倒しちまえ!」

「当たり前だヨ!」

「悪魔族の落ちこぼれにしてはよく吠える小娘じゃのう!」

 小町さんが叫ぶと同時、小町さんから眩い光が放たれた。

 ……嫌な予感がする。お蔵入りになりかけている予言の能力が発動したのかもしれない。

 小町さんから放たれた光はどんどん照度を増し、やがてスイッチをoffにしたようにプツリと消えた。

 目がチカチカしてはっきりと見えない。が、目くらましが目的だったとは思えない。

 目が回復し、小町さんの姿を見て息が止まった。

「さあ、サテナ・デヴィリ。悪魔族の落ちこぼれに集められた人間に期待などしておらぬが、わっちを楽しませてくんなまし」

 泥棒猫。そんな可愛いもんじゃなかった。

 爪、牙、鋭い目。体は5メートルくらいの巨体になり、動きの早そうな引き締まった体。

 そう、あれは、日本でおなじみ

「妖怪、化猫ばけねこ

 こっちの世界ではモンスターだ。

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