第13話 考古学
無事ケンタウロス倒し、いい感じの雰囲気になっているギルドハウス基自宅。
そんなアットホームな空間で、俺一人難しい顔をしていた。
冒険者の嫌われようについて悩んでいたのだ。
普通冒険者は皆に慕われる。子供達の憧れの的。それが冒険者じゃないのか?
それなのにこの世界冒険者は皆に嫌われ、話を聞いたところ進出来ない者の末路だとだと言う。
ちっとも慕われてないしちっとも憧れじゃないじゃん!
「どうしたんや小吉。汚い顔して」
「浮かない顔な。ちょっと冒険者の事考えててさ」
軽くツッコミを入れて話を戻す。
「ああ。嫌われとるってことやな。直に慣れるで」
慣れたくねえよ。
「嫌われてんのが嫌なんじゃなくて、なんで冒険者嫌う風潮があんのかなってさ」
「ああそれな」
エドルはポケットから紙を取り出して俺に渡した。
「こいつんところ行けばわかるで」
渡された紙は名刺だ。『考古学者、ユーリ・マギウス』と書かれている。
考古学者なら色々教えてくれそうだ。
名刺の裏にあった地図を頼りに、その考古学者の家まで来た。和風のでっかい屋敷だ。
一言で言える。ヤバい。それ以外出てこない。
取り敢えず中に入る事にした。
玄関にはインターホンがついている。もちろん押した。
中からピンポンという音が聞こえたような気がする。
少しするとドアが開いた。
「ど、どうぞお入りください」
小さい獣人の少女だ。結構可愛らしい。
「失礼します」
一応丁寧に言って俺は中に入った。
外見は和風だったが、中はところどころ洋風だ。
さっきの少女についていき、一番奥の部屋に案内された。
「こちらです」
少女が障子を開くと、そこは本が沢山ある部屋、書斎だった。
「お父様。お客様です」
少女が歩いていく方向では眼鏡をかけた獣人の男性が本を読んでいる。
男性は本を閉じ、一度少女を見ると俺の方に向き直した。
「やあ。木下君だね。僕はユーリ・マギウス。この子は娘のエフェナ。よろしく」
笑顔で挨拶をする、この人がユーリ。考古学者か。
「木下小吉です。ところで、なんで俺の名前を?」
「エドルから今さっき電話があってね。君が来ることを知らされた」
エドル、電話したのかよ。
「それで、君は確か冒険者が何故嫌われるか知りたいんだよね」
「ええ。その通りで……」
ユーリは単刀直入に本題に入る。まあ、別に良いのだが……。雑談をちょっとしたかった。
「そうか……。ではまずは異世界転生という現象から話すべきかな?」
「え?異世界転生の事を知っているんですか?」
なんと。異世界人が転生を知っているとは。
「勿論だよ。僕は考古学者だ。今まで起こった歴史的な出来事はだいたい知っている」
「す、すげえ」
考古学者ってこんなに凄かったのか。いや、ユーリが異常なのか?異世界だからか?
「えっと確かこの本だな」
ユーリは本を一冊取り出し、中間くらいのページを開いた。
「ここには異世界転生について記されている」
まさか、異世界転生のことまで知る事になるとは……。
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