第12話 救援

俺とサテナで出した技、ファイアーなんちゃらはケンタウロスの喉にクリティカルヒットした。

「やった!悪魔の技すげえな!」

「当たり前だヨ。何せ悪魔の、しかもあたしのお父様が編み出した技なんだから」

「ん?お前の父さんってなんか凄いのか?」

「そりゃ、あたしのお父様は悪魔の……あ、やっぱり言わない方がいいね」

サテナは何かを隠すように言うのをやめた。

「じゃあ言わなくていいぜ」

俺は着地しながら功績あげた優越感に浸っている。

少し右上を見るとケンタウロス頭が燃えながら落ちてきていた。

「ここはちょっと危ねえかもな」

そう言って広いところに移動する。

「よくやったね小吉。悪魔の加護はここまで凄いのか」

「木下のおかげじゃなくて、サテナちゃんのおかげだもんね」

「それでもサテナさんの力を借りた小吉さんかっこよかったです」

「お前ら殆ど俺を褒めてないだろ」

サテナの事ばかり褒めて……

まあ確かにサテナのおかげだが。

そんな話をしながら俺らは勝利を喜びあった。

しかし警察何人かが声をあげ、話は途切れた。

「ケンタウロスがまだ生きてるぞ!」

「首が再製してきてる!」

俺達は一斉にケンタウロスを見た。

歩き出そうとしている。

「サテナ。さっきのもう一発いけるか?」

「魔力の消費が激しいから多分無理ヨ」

くそっ。

「他に技は?」

「今、刀して使える魔法がさっきのだけだヨ」

小悪魔こいつ使えない。ただでさえ使えない俺が言えることじゃないが。

何か、何かないか……

「待たせましたねぇ!」

俺が悩んでいると後から声がした。

エドルだ!

振り向くとそこにいたのは……

「私はギルド『Life on the ded』マスター、エドルギウス・ホルドコンティ……デス!」

リイチのボテルギウスのコスプレをしたエドルだった。

「お前何してんの」

「いえいえ。仕方がなかったのデスよ。会場にコスプレセットが売っていた。勤勉なリイチ教徒ならば買うべきなのデス」

そうとは限らないが……

リムロム言ってた奴がボテルギウスを買った事に不満をいだきながらも

俺はもう1度ケンタウロスと対峙した。

歩く速度が速くなっている。向かっている方向は……俺だ。

「って、なんで俺なんだよ!首返せばいいのか?もにょにょけ姫デイダラボッチか!だったら首横にあったろ!拾えよ!」

と、ツッコミを入れ、もう一度作戦を考える。

……………………………………………………

思いつかない。

「成程成程。あなた、怠惰デスね」

「黙ってろボテルギウス!」

今はそれどころじゃないことをわかって欲しい。

しかしエドルギウスは話を続ける。

「あなたは何故、私という救世主がいながらも自分でなんとかしようとしてるのですか?それはもはや狂気の沙汰。狂人というのデス」

一番の狂人はお前だ。と。

「というわけで私が助けましょう」

「な、お前作戦があるのか?」

そういうとエドルはクククと笑い、顔をあげて思いっきり叫んだ。

「怠惰の特権、見えない手!」

「いやそれお前の触手!思いっきし見えてるから!」

声と同時に出てきた触手でケンタウロスを襲った。

にしても、紫色の手。こいつの触手はこんな事も出来んのか。

エドルから出た触手はケンタウロスを包み込み、ケンタウロスをぐちゃぐちゃにしていく。手で隠れて見えないが指の間からは血が吹き出ている。おおなんともグロテスク。大舞やアナ、警察の数人は嘔吐していた。

そして触手がエドルに戻るとケンタウロスはモザイクなしでは見ていられない状態に劇的ビフォーアフターしているではありませんか。

「怠惰デスね」

「そういう問題かこれ」

日本でグロ映画見まくってて良かった。……良くないけど。

ケンタウロスはその後二度と動かなかった。

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