第10話 コラボにおける
リイチのイベント。内容はわからなくてもそれだけで参加する価値がある。
しかし、事前に内容を知っておく事もマナーの一つだ。
よってこれから俺がする質問は既に決まっている。
「エドル、リイチのイベントっつっても、どんなイベントなんだ?」
「そうだ。あたしも聞いてないね」
俺の問いに真も共感したようで、二人ともエドルを見た。
「ふふふっ。聞いて驚くなよ」
エドルはにやけ顔で電車を降りながら言った。
「なんと……コラボイベントだ!」
「な、なんだと!?」
「协作!?」
俺も真も驚いた。真は何と言ったかわからないが。
そりゃそうだ。驚くのも無理はない。あのリイチがコラボするんだ。
「んで、何とコラボするんだ?」
「驚かないか?」
「どうせ知ることだ。結局驚くことになる。だから驚かないのは無理だ」
「なら教えてやる」
どうせ教えるならなんで驚かないか聞いたんだ?
俺はゴクリとつばを飲んだ。
「今回リイチがコラボするのはな…………AKB59だ!」
「おおおおおおおぉぉぉぉぉぉ…………………………お?」
い、今確かに……AKB59と言ったか?
そのAKBはアイドルのAKBだよな…………
それってつまりは……
「三次元との…………コラボ……」
「三次元……不承认」
「真、何言ってるかわからん」
三次元とのコラボ……そんなイベント…………
「……行く必要がないな。渋谷に行くぞ」
「そうだな」
「三次元とコラボすると……」
「アニメは一層キモさを増します」
俺たちはちょうど来た山手線の電車に乗り渋谷へ向かった。
「ちょ、待てよ!リムとロムの限定アイテムが!」
エドルを除いて。
渋谷に着くと人だかりが出来ていた。
「くっ……遅かったようだ」
真は悔しそうな顔をしているが、人だかりが出来ているということはまだ例のモンスターは人を殺す様な暴れ方をしていないということじゃないのか?
そう思った矢先、何処からか声が聞こえてきた。
「いやあ、あのサイズのモンスターをやっつけるなんて、お巡りさんはすげえなあ!」
「そうだねぇ。それに引き換え、冒険者様は今頃ご到着の様だよぉ」
「マジウケる」
お巡りさんがモンスターを倒した?
というか、俺らが冒険者だとわかって、今来たことを馬鹿にしなかったか?
「俺らの方見てるぜ。クソだせえ冒険者だな」
「クソだせえは言い過ぎだよぉ。冒険者は頭が悪いから聞こえたら殺せないのに殺しにくるよぉ?ははは」
「強がりとかマジウケる」
やっぱり、俺たちを馬鹿にしている。
俺はその三人組の方へ行こうとしたが、真が俺を掴み止めた。
「今はやめておくんだ。これがこの世界なんだから」
「で、でも……」
三人組はまだ俺らを馬鹿にしている。
腹は立つが、やめておいた方がいいと思い、代わりに人だかりの前の方へ歩いて行く。警察が倒したモンスターを見てみようと思ったからだ。
最前列に行き前を見ると、そこには元の世界では見たことのない光景が広がっていた。
クジラの様な大きなモンスターをロープで縛り、パトカーロープを繋いで運ぼうとしている。モンスターの下には台車があった。
それだけなら酷く感じないだろうが、見れば吐き気がするような、見るに耐えない光景だ。
…………どこを見ても死体、死体、死体。
警察のものから一般市民のもの。更にはぬいぐるみを持った子供まで転がっていた。
この世界の人々はこれを日常で見るのか。
ショックで俺の体は固まってしまった。
が次の瞬間、その体を動かす大きな振動が渋谷を襲った。
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