初陣ですじゃ
第9話 クエスト
「おい小吉、はよ起きぃ」
エドルに起こされ、俺は目を覚ます。
「おはようエドル」
「おはようやない。今何時やと思ってはるん?昼の一時やぞ?」
「PM……一時…………マジか!」
どうやら俺は寝過ごしすぎたらしい。
「はよ着替えて。クエスト行くで」
「わかった。……クエスト?」
俺は起き上がり、着替えがないので昨日のパーカーを着ながら聞いた。
「せや。渋谷で大型のモンスターが暴れとるらしい。はよ行かんと」
「それ結構ヤバいんじゃ……よし、急ごう!」
状況を聞いた俺は部屋を飛び出し、玄関に向かった。
「ちょっと待ちい!お前……」
エドルに呼び止められて俺は振り向く。
「なんだよ。モンスター暴れてんだろ?早く行かねえと」
「いやお前、ご飯食べとらんやろ」
「そんなの気にしてちゃ……」
『ぐぅぅぅぅーーー』
「………………」
「………………」
俺は靴を脱いで食卓向かった。
食事を終え、俺たちは渋谷に向かう電車に乗っている。
「そういえば木下、あんた渋谷行ったことあんの?」
「いや、一回もねえ。行く理由もねえし」
「そりゃそうか。オタクボッチのあんたには行く理由なんて無いもんね」
コイツ!
てか、言ったっけ?俺がオタクだって。
「ちゃう。俺らはあくまで
エドルもオタクだったのか。てかオタクを文化人とする…………いいな。こいつ俺の師匠だ。
「でもオタクみたいに絵でエッチなこと考える人はやっぱり気持ち悪いです」
アナは予想通り非オタ。
「いや、エドルは確かにアニメ好きだけど、
「な!なんでお前俺のオカズ知ってるんだよ!」
「そりゃ、あれだけ大きい声出してれば覗きたくなるのが人間だろう。それとも、現場を目撃されて何か言いたい事でもあるのかい?『JCスク水S◯X』さん」
エドル……電車の中で可哀想に…………
エドルが涙目なって俺の隣で下を向いているが、俺は気にしない。
「そういや真はどっちだ?オタクか?非オタか?」
「ホモは大好物だが、アニメで男同士のストーリーを楽しむのも大好きだ。勿論、ドラマでのBLもばっちこいだね」
「お前腐女子かよ」
「真さん普通にエッチなこと考える人じゃないですか」
いや、真は腐女子だがエロシーンが好きとは一言も……これを言うと話がややこしくなるのでやめておこう。
「木下はアニメでムラムラするド変態だよね」
「いや、俺は単純にストーリーを楽しむ。だから気になるのがあればドラマとかも見るし実写化反対派ではない。ただ実写化でキャラの味がなくなったりするのは嫌だな。例えば『
「はいわかった!もういいよありがとう!」
「エッチなこと考える人より小吉さんの方が何倍も気持ち悪いです!」
「え!?俺……なんかまずいことでも言った?」
俺はただ実写版の話をしていただけで……
「あ、そうか。文化人ではない人には難しい話だったか」
「お前みたいなやつのせいで
「え?俺何がダメだったの!?」
何がダメか言わないで距離をとるのは悲しくなるし腹が立つ。
そこでアナウンスが聞こえた。
『次は、秋葉原。秋葉原』
秋葉原……行きたいが流石にクエストに行く途中は……
「アキバや。降りるで」
「え、エドルさん。モンスターは渋谷にいるはずですよね?」
「そうだよ。秋葉原で降りる必要がどこにあるの?」
非オタ二人に言い返されるエドル。だがエドルの欲望、
「「今日は『Re:イチから始める高校生活』のイベントなんや(だ)!」」
その台詞で俺の心にも火がついた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます