第8話 悪魔少女

「小吉、聞いてもええか?」

男子部屋でベットに寝ながらエドルが聞いてきた。

「おう」

俺が返事をすると、すぐに次の返事が返ってくる。

「オ◯ってもええか?」

「何言ってんだよ。頭湧いてんじゃねえの?」

普通しないだろ。しても便所行けよ。

「いやあ、昨日もたっぷり抜いたけどさあ……やっぱり女増えるとムラムラするじゃん?」

「よし。ちょっと首切ろうか」

俺は今日ガチャ……もとい、くじ引きで手に入れた「妖刀小悪魔」を握り、鞘から抜こうとした。すると……

「そんな事に使わないでヨ!」

「だ、誰だ!?」

どこから聞こえてくるんだ!?この声は!

「あたしだヨ!あ・た・し!」

その声は刀から聞こえてくる。

ふいに刀が赤く光り、前が見えなくなる。

「フフフフフ」

さっきの声が笑っているが、何も見えない――――――――――――


気がつくとリビングにいた。

周りを見ると、エドルや他の奴らがいる。どうやら気絶していたらしい。

「目ぇ覚ましたか。心配したで」

「大丈夫ですか?」

「気分はどう?」

「なんとか大丈夫そうだね」

皆が声をかけている。

そして……

「びっくりしちゃったヨ。急に倒れちゃうんだからさあ」

……なんか増えてる。

「お前……誰だよ」

質問してみた。

「せや!小吉起きたで!自己紹介して貰おうか?」

どうやら俺が目覚める前にも一度こいつと話していたようだ。

「仕方ないね。あたしは大悪魔サテナだヨ!よろしくね」

なるほど。悪魔か。

「……って、悪魔!?」

「そうだヨ。君の持ってるその刀、妖刀小悪魔に宿ってた悪魔」

俺は握ったままの刀を見た。

この刀にか。確かに名前に『悪魔』とある。納得だ。

しかし……

「大悪魔なのに刀の名前は小悪魔なのな」

「そ、それは……名付けた人がセンスなかったんだヨ!」

焦ってるし。

「でも、どうして今でてきたんですか?」

「実はね……」

サテナは少し下を向いて答えた。

「『刀に宿る』と言うよりは『刀に封印』されてたんだヨ」

「封印?」

「うん。『誠の使い手』が現れし時、封印は解かれるだろうって。小吉が『誠の使い手』だったから封印が解けたんだヨ」

俺が……『誠の使い手』?

マジデスカイ。

「プー!ははははは!き、木下が誠の使い手って!ありえないんだけど!」

「うるせえ!俺でも信じられねえよ!」

「小吉は誠の使い手だヨ。あたしの封印を解いたんだから」

まさか俺なんかがそんな凄そうなやつになるとはな。人生何が起こるかわからないとは本当のようだ。

「おいメテナド!いたら答えてくれ!俺はこのために異世界転生したのか?」

「ここにメテナドがいるわけないだろう」

真に言われた。確かにそうかもしれないが……

「いますよ」

「「「「「いるんかい!!!!!」」」」」

5人の声が重なった。

メテナドはウフフと笑い、話を始める。

「残念ですが木下小吉さんの異世界転生はこれを目的としたものではありません。しかし、転生前に既に天界で定められていた事ではあります」

「天界で定められていた?」

「それってつまり、俺らの未来は既に全部決まっとるっちゅうことなんか?」

「はい。全部ではありませんが」

それじゃあ俺の異世界転生の目的はいったいなんなんだ?

「それでは私はこれで」

「ちょっと待て!」

言い終わる前にメテナドは返った。

「……小吉。さっきのって女神メテナド?」

「サテナ、お前あいつを知ってるのか?というか、女神?」

あいつ女神なのか?

「ううん。なんでもないヨ。それより……」

サテナは嫌な事を思い出し立ち直った、というような言い方だった。

「小吉はあたし封印を解いたからさ」

「お、おう」

何を言ってくるのか……

「あたし、小吉を『ご主人様』って呼ぶヨ!」

…………は?

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